syrup16g「HURT」リリース記念ツアー「再発」@なんばHatch(2014年9月25日)に行ってまいりました。
セットリストは、アルバム「HURT」の曲の構成を継承しつつ新旧織り交ぜられた構成で、迫力ある演奏からsyrup16gの復活を認識するには十二分なものでした。
普通だったらプロとしてどうなんだろうって所もあったけど、それも含めてシロップらしいというか五十嵐らしいって思うほど愛されているバンドなんだなぁと。
大阪という土地柄か、スタンディングのためかは分からないけど、悲壮感はほとんどなく、ただただ楽しい、カッコイイ、最高、という正のイメージが強く残りました。
武道館での解散からこんな時が本当に来るとは思っていなかったです。実際にこのバンドが、これから続いていくんだと実感でき、その場に参加できて良かった。以降のライブと音源がとても楽しみです。
★
チケット、僕は抽選はずしたけど妻のが当選、それも奇跡的に整理番号が2桁で。そのおかげでステージ右側最前列、五十嵐さんから5mぐらいの距離で観れました。
本編
開演時間も過ぎてステージ前のスタッフの様子に緊張が走りだしBGMも止み、客電が落とされ、ざわめきが歓声と拍手に変わりました。
ステージ左から、歓声に迎えられながら三人が登場。
中畑は無地の黒っぽいTシャツ。
五十嵐とキタダマキはワインレッドっぽい色のシャツ。マキリンはシャツインでキメてたよ。
★
五十嵐は、片膝を付いたままギターをかき鳴らし始めたんです。女王陛下にひざまずく兵士のような。意味はないのだろうけど僕には音楽か何かへ敬服しているかのように見えました。
ナカハタは、会場を見渡すかのように立ったままドラムを力強く叩き始めたよ。
1曲目は”Share the light”。荒々しくて力強くて「HURT」でも印象的な曲。アルバムでも1曲目だから「HURT」のツアーでもあり、新しいsyrup16gの始まりを一気に実感した。開演前から張られたスモークに照明が映え、浮き上がる三人が純粋にかっこ良かった。
2曲目、間髪入れずに続いたのは”神のカルマ”。旧曲を圧倒的な迫力で見せられて、あぁやっぱりsyrup16gが帰ってきたんだと、すでに楽しいんだか感傷的なんだか不思議な感情になった。
曲が終わると、みんな思い思いに「おかえり!」「おかえり」って言ってた。
とてもあったかい感じがしてる中、弾かれたのは”Stop brain”のイントロ、、だけど!まさかのやり直し!!
五十嵐「もうしわけない!」
変な感じで盛り上がる会場から「(五十嵐)らしい!らしい!」ってツッコミw。
五十嵐「らしいってなんだよーくそー。覚えとけよ!」
でもどこか嬉しそうだったよ。
なんだよ、五十嵐元気そうじゃんって思って安心した。
仕切りなおして、”Stop brain”と”ゆびきりをしたのは”と続き「HURT」を強く意識した曲順。揺らぎもある五十嵐のギターと歌だけど、キタダマキとナカハタに力強く支えられて、自由に演奏できてた印象。
Stop brain 思考停止が唯一の希望
君とおんなじように生きてみたいけど
君もおんなじように生きていくのは とても大変で
はっきり断言する 人生楽しくない
だから一瞬だって 繋がってたいんだ
勇気を使いたいんだろ
”ゆびきりをしたのは”が終って、みんなが見守ってる中。
五十嵐「ただいま帰りました。syrup16gです。」
ってものっすごく早口で、大事過ぎるセリフをさらっと言いました。
それをみんな暖かく受け止めていたよ。
続いて奏でられたのは”君待ち” 。東京と名古屋のセットリストでやったのを知ってたけどライブと聴くとすごかった。
ああ このまま君を待ってんの
明日もまた君を待ってんの
真理なんてデタラメ
勇気なんて出さないでくれ
みんなが待ってたよ。おかえりなさいって改めて思いながら観てた。
★
6曲目は、”生活” 。みんなイントロ聴いた瞬間に大盛り上がり!会場が一気にヒートアップ。前列の人口密度が一段と上がりました。みんなやっぱり好きなんだねぇってどこか人事みたいな自分と、純粋に楽しい自分が混在してた。
なのに、最初あたりで
五十嵐「そしてその根拠とは何だ *?☆&#、、、うぉーー!!」
って歌詞を忘れた箇所を全力シャウトでごまかしてた(笑)
でもこんなミスでさえ、愛しいと思わせる恐るべき41歳。(褒めてます)
★★★
「HURT」の構成と曲の意味の繋がりを重視した(と勝手に思ってる)構成のためかほとんどの曲ごとにチューニングやギターの交換がありました。
その度に、サイドテーブルに置かれたタオルをガシっと掴んで、顔全体を豪快に拭いて、水をよく飲んでたな。
中盤辺りだったかな。
客席からの「暑いね!」って言われてるのに
五十嵐は「いや、涼しいと思いますよ」って返してた。
でも誰よりも汗をかいてた五十嵐のシャツはすでにワインレッドじゃなくなってて(ビショビショで)真っ黒に見えてた(笑)
★★★
”哀しきShoegaze”からの「HURT」のリード曲”生きているよりマシさ”。
軽快な曲で、でも暗めの歌詞だけど、ライブだと悲壮な感じはなく、ただいい曲だなぁ、と。
君と居られれたのが嬉しい
間違いだったけど 嬉しい
会えないのはちょっと 寂しい
誰かの君になってもいい 嬉しい
★
9曲目、”ex.人間” 冒頭の《必死こいて人間です 待ってる人がいて それだけでもう十分です》ってところが個人的にダメで、かなり響いてきました。
これは僕の作品です
愛すべき作品です
誰に何言われても
怖いものなどありません
でもね、ライブ始まる前から思ってたけど、マキリンの前にマイクがセッティングされてたんだよね。ぜんぜんコーラスするイメージなかったんだけど。この曲の『はぁ~はぁ~』ってところを演ってたんだわ!(中畑と一緒にね)かなり艶っぽく!めっちゃ意外だった!!
生きているよりマシさ~ex.人間の流れで来たのは、解散前のアルバム「syrup16g」からの”ニセモノ” 。「生還」ライブではこのアルバムからの曲が無かったから、意外だった曲。でも僕が見る限り他の曲よりもさらに気持ちが入ってるように見えたよ。
破滅の美学なんかを利用して
嫌な事は全部逃げてきた
拾った想い吐き出して
愛されたいの まだ
武道館でもやりとりあったけど、間違いなくニセモノじゃないってば。シロップの音楽は。
★
ここでアコギに変えて(五十嵐は椅子に座って)、”ハピネス”~”理想的なスピードで” 新旧ともに引き込まれる曲。感傷的にはならなかったけど、ほんとここに来れて良かったなぁと。
反省だけはしない
無意識にやってるから
反省だけはしない
死ぬまで
愛してみろ 信じてみろ
壊してみろ 自分
「HURT」の流れのとおりに続いたのは”宇宙遊泳” 。アルバムで聴いた時はこの曲で泣いちゃったけど、うわーいい曲だーって純粋に楽しんだよ。歌詞のとおりにただ夢中になって聴いてた。
★★★
ギターチェンジの間を埋めるように、リズム隊からセッション(風のイントロ)が始まって、、、
ここでまさかのメンバー紹介!!!
「スーパー大天才、、*※?、、(なんちゃら)ベーシスト、、(ぜんぜん聞き取れないけど長かったです)。。。ミスター、キタダマキ!」
中畑の時は諦めたのか、逆に短くすぎるぐらい。
「みんなの太陽!だいちゃん!」
でも的確だ!
そのままノンストップでギターも加わりなだれ込んだのは”落堕”。
このあと”リアル”に続くんだけど、この二曲の仕上がりが圧倒的にライブバンド!って感じでかなりカッコ良かったよ!!
”リアル”の時なんか、《圧倒的な存在感、、》でウィスパーボイスに変えて客が歌うように煽ってきたり、、マイクスタンドをクルッと客席側に回して歌えってしたりね。
その流れで最後の《妄想リアル、もっとSO REAL》は会場中が合唱状態だった。今までだったらシロップらしくないって思ってたかもしれないけど、不思議と素直に受け入れてすごく楽しかったよ。
ここで本編は終了。最後の2曲はほんとうにカッコ良かった。
アンコール
五十嵐と中畑が”再発”Tシャツ。マキリンが”目玉”Tシャツに着替えて再登場。あ、マキリンだけ違うって思った。
アンコールは、”イカれたHOLIDAYS”~”エビセン”~”旅立ちの歌”
名古屋では”イマジン”、東京では”希望”をしたところは”エビセン”でした。
”エビセン”もすごく良かったけど、やっぱり”イマジン”聴いてみたかったな。
全然関係ないけど、エビセン観てる途中で、なぜだかブランキーの”鉄の月”を思い出してた、ほんと自分でも分からないけど。
いま書いてて思ったけど”エビセン”って「HURT」の”(You will) never dance tonight”の対となる曲なんだね。”エビセン”の《Please dance tonight again》ってところ。こんなに分かりやすいのに、なんでライブ中に気づかなかったんだろう。
★
”旅立ちの歌”の前ではらしくなく、すこし長めのMCでした。
「今日でたぶん外出なくなると思うですけど、、HURTってアルバム作ったから皆さんに会えたと思うので、また曲作って来たいと思います」
「歌詞とかには書いてたけど、ほんと人と会うのが苦痛で、、でもライブが終って人とあえなくなるのは寂しいって思うので、、皆さんは仲良くなって帰ってください」
「この曲好きじゃないって言ってるんですけど、でもこの曲を演りに来たのかなって思うので聴いて下さい」
MCこんな感じだったと思うんだけど、新曲への意志も聞けたし、嬉しかった。
そして「HURT」の最後の曲”旅立ちの歌”へ。
泣きたくなるから
反応してくれよ
必死に言葉紡いで
君とまた会えるのを 待ってる
元の歌詞”待ってる”だけど、ライブでは最後の”待ってる”だけ”待ってた”に変えてた。
ベタだけど、嫌いじゃないよ。待ってたのはこっちだよ。
”旅立ちの歌”終わったら、恥ずかしさに耐え切れなくなったのかしらないけど、五十嵐は、崩れ落ちてそのまま、前傾の小走りで舞台袖に吐けちゃった。
なんだそれ。可愛すぎるぞ41歳(再)。
アンコール(2回目)
アンコール1回目の再登場は、
五十嵐+中畑:「再発」Tシャツ
キタダマキ:「目玉」Tシャツ
だったけど、アンコール2回目の再登場は
五十嵐+キタダマキ:「再発」Tシャツ
中畑:「目玉」Tシャツ
に(きちんと?)変わってた。
こっちのアンコールでは「HURT」縛りじゃなく、純粋にライブ!って感じで最高でした。ベースも歌ってるみたいな”パープルムカデ”もライブだとまたカッコよくて、最高でした。(東京で宣言してた左足も時たま上がってたよ)
ライブも終盤だけど、絶叫みたいに声が張り上げられ、”coup d'Etat” 。からはもちろん、”空をなくす” 。
もう最後の曲だと思ってたし、ミラーボールは回るし(空をなくすなのにね)、サビの部分では照明がフラッシュになるし、三人はすごいし、僕らもめっちゃくちゃ盛り上がってるわで、すげー楽しかった。
★
あぁー、、終っちゃったって思いながら拍手したり、「ありがとう!」とか言ってたんだけど。
袖にはけずに、五十嵐はステージ中央で縁に腰掛け始めたんです(最初、客席に降りてきたんだと思った)
そしたら、お前らまだ足りないんだろって言ってるわけじゃないけど、ギター鳴らして煽るんです。それを見てた中畑も煽るようにエアギターしたりね。(あ、マキリンはクールに立ってたと思う)
それに応える僕たちを確認してから、なだれ込んだのは、、
正真正銘最後の曲 ”真空”!!!
中畑の渾身の「ロックンローール!!」も飛び出すし、ほんと最高にカッコ良かったよ!!
(蛇足)
でも最後の最後で五十嵐が決めのジャンプしてたけど、、、全然飛べてなくて、低っ!って思ったw 可愛すぎるぞ!41歳(再々)
もしかしたらもう1回アンコールあるかもってみんな拍手を辞めなかったぐらい。
でも終焉のアナウンスがあって、本当に終ったのを確認してからは賞賛の拍手に変わり本当に終わりました。
セットリスト
syrup16g HURT リリース記念ツアー「再発」
2014年9月25日(木)大阪なんばHatch
1. | Share the light |
---|---|
2. | 神のカルマ |
3. | Stop brain |
4. | ゆびきりをしたのは |
5. | 君待ち |
6. | 生活 |
7. | 哀しきShoegaze |
8. | 生きているよりマシさ |
9. | ex.人間 |
10. | ニセモノ |
11. | ハピネス |
12. | 理想的なスピードで |
13. | 宇宙遊泳 |
14. | 落堕 |
15. | リアル |
En1-1. | イカれたHOLIDAYS |
En1-2. | エビセン |
En1-3. | 旅立ちの歌 |
En2-1. | パープルムカデ |
En2-2. | coup d'Etat |
En2-3. | 空をなくす |
En2-4. | 真空 |
太字はアルバム「HURT」よりの楽曲。
名古屋と東京のセットリストは下のエントリーで確認してください。
あとがき
あまり語彙と文章力がないので、”カッコ良い”とか”最高”とかしか書けなかったけど、本当に楽しくて、これからが楽しみで、生きてく理由をひとつ貰えました。
今回のツアーはsyrup16gの復活をお披露目するものでもあるけど、「HURT」リリース記念ツアーと銘打ったものなので、「HURT」の曲の構成とライブとしての構成をとったものとして、「reborn」とか「翌日」とかほかの新曲を敢えてやらなかったのかなぁって思いました。
でも今回のツアーで彼らの健在ぶりも確認できたし(むしろパワーアップしてるんじゃないかと思うぐらい)、新曲への決意もあったし本当にこれからが楽しみです。
「再発」参加できて良かったです。
「再発」の意味が「再出発」でもいいし、シロップ依存症なり症候群の「再発」のどっちでもいいです。
彼らがいい音楽を作り続けるかぎり、 追い続けていきたいと決意しました。
おかえりなさい。syrup16g。