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 御嶽山の噴火について、専門家らで作る火山噴火予知連絡会の拡大幹事会は28日、1979年と同じ、マグマを噴き出さない「水蒸気噴火」だったとの見解を示した。噴煙は高さ7千メートルに達し、低温の火砕流が斜面を下ったと認定した。今後も27日と同程度の噴火が起きる恐れがあるという。

 予知連は、今回の噴火を地下水がマグマに熱せられて起こる「水蒸気噴火」と認定した。火山灰の分析結果から、マグマが直接噴出したことを示す成分が検出されなかったからだ。また、マグマが地下から上昇してきたときに地表が変化する地殻変動も観測されなかった。

 産業技術総合研究所のチームは、山頂から東北東約6キロの場所で火山灰を採取し顕微鏡で観察。地下水などによって変化した形跡がある古い岩石による火山灰が大半で、マグマが急に冷えてできたガラス質の物質は確認できなかった。東京大地震研究所などの分析でも同様の結果が得られており、マグマによって熱せられた地下水の爆発で、岩石が火山灰となって降り注いだとみられる。

■低温の火砕流発生

 噴煙の高さは7千メートルと推定され、噴火時の映像で確認された流れ下る噴煙は火砕流と判断したが、雲仙・普賢岳で発生したような高温の火砕流ではなく、低温だった。火砕流は南西方向に3キロ以上流下していた。

 28日、本社ヘリで御嶽山の上空を観察した宇井忠英・北海道大名誉教授(火山地質学)によると、火砕流が流れた場所にある樹木の葉の色合いが変色せずに残り、焦げたような痕跡はなかった。「火砕流は、100度以下の比較的低温なものだっただろう。マグマ噴火なら黒い噴煙が高く上がり、高温の火砕流が発生する」と話しており、噴火が水蒸気噴火だった証拠のひとつとみる。

 火山灰は、心肺停止状態の31人が発見された頂上付近と山の南側にある地獄谷に厚く積もっていたが、山全体をみると限られた場所だった。水蒸気噴火で噴煙が低温だったことが、火山灰をかぶりながらも逃げられた人々に幸いしたようだ。

■数カ月は予断許さず

 今後、火山活動はどう推移するのか。

 予知連は、噴煙が活発に出ており火山性地震が多いことから、28日現在も活動は高まった状態で「今後も同程度の噴火、火砕流の可能性がある」との見解を示した。