【社説】韓国経済、利下げより円安対策が急務

 このところの急激な円安ウォン高の進行で、25日にはウォンの対円相場は100円=955ウォンと6年ぶりの円安水準となった。2012年1月には100円=1488ウォンだったウォンの対円相場は13年1月に1198ウォン、14年1月には1024ウォンとじわじわ円安が進み、ついに950ウォン台まで急落したのだ。このままでは来年には円安ウォン高傾向が100円=800ウォン台の半ばまで進むとの見方も出始めている。

 韓国の輸出上位100品目と日本の輸出上位100品目のうち、重複するものは55品目に達する。円安ウォン高が進めば、世界市場で日本の製品とライバル関係にある韓国の輸出商品の価格競争力は低下する。実際に現代・起亜自動車の第2四半期(4-6月)の営業利益は前年より13%落ち込んでおり、他の輸出関連企業の採算性も急速に悪化している。中小の輸出企業の中には日本企業に押され、輸出を諦めざるを得ないケースも少なくない。円安がこれ以上進めば、韓国の輸出は本格的に打撃を受け、景気回復も困難になる可能性が高い。

 円安の根本的な原因は、日本がアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって無制限の金融緩和策を推し進めているからだ。最近では消費税増税ショックで日本の景気回復が遅れ、円安が一層進行している。一方では韓国の経常収支黒字が拡大し、ウォン高が進んでいることで、ウォン・円相場はますますウォン高円安に振れている。韓国経済は昨年、799億ドル(約8兆7300億円)と過去最大の経常収支黒字を計上し、今年は840億ドル(約9兆1800億円)と黒字がさらに拡大すると見込まれている。

 問題は、膨大な経常収支黒字が韓国経済にプラスの効果をもたらさないままウォン高だけが進んでいるという現実だ。これにより、韓国の国内企業の収益性は大幅に悪化し、内需低迷は深刻な状況に陥っている。かつて韓国は、急激な円安の後に深刻な経済危機に襲われるというパターンが2度あった。1997年の通貨危機と2008年の金融危機がそうだ。今の円安傾向が2-3年と長期化すれば、韓国経済は再び致命的な打撃を受ける恐れがある。

 チェ・ギョンファン経済副首相率いる新経済チームは最近、景気回復に向けて韓国銀行(中央銀行)に対しさらなる利下げを要求している。確かに金利の引き下げも検討する必要はある。だが今現在、各企業が必要としているのは円安の衝撃を和らげる為替相場安定策だ。内需拡大策を確実に実施して経常収支黒字を適正水準に抑え、ウォン高圧力を解消しなければならない。今すぐ円安ウォン高の進行を食い止められなければ政府の景気高揚策の効果も半減するだろう。政府は現在の切迫した状況をしっかりと認識すべきだ。

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