香港=延与光貞
2014年9月29日00時12分
香港政府のトップを選ぶ2017年の行政長官選挙をめぐり、中国側が示した改革案に抗議を続ける民主派や学生らは28日、数万人で香港中心部を占拠した。民主派は10月1日に占拠を計画していたが、抗議活動の盛り上がりを受けて前倒し。当局も催涙弾を使うなどして排除に乗り出したが、現場は夜遅くまで混乱した。
28日未明、香港の政府庁舎近くの広場で、学生らの抗議に加わった占拠運動リーダーの戴耀廷氏が「あらゆる資源をこの民主運動に投入する」と占拠の前倒しを宣言。午後からは、数万人が政府庁舎周辺に集結し、香港中心部を貫く幹線道路を埋め尽くした。夜には周辺の道路も完全にストップさせ、「候補者は自分たちで選ばせろ」「民主主義を返せ」などとシュプレヒコールをあげた。
警察当局はしばらく状況を見守っていたが、夕方以降は強硬な姿勢に転換。催涙スプレーを使ったり、催涙弾を撃ち込んだりしたため、一帯は騒然となった。さらに、プラスチック弾の銃を持った警官らも抗議を続ける人たちを威嚇した。学生らはゴーグルやマスクを付け、抗議を続けた。
「一国二制度」の下、高度な自治が認められている香港では、次回17年の長官選から1人1票の「普通選挙」が導入される予定。だが、中国側が先月末、事前に2~3人の候補者に絞り込む仕組みを提示したため、民主派は「中国寄りの人物しか立候補できない」と強く反発してきた。
抗議の輪は、26日から政府庁舎前で活動を続けてきた学生ら70人以上が逮捕され、急速に広まった。
両親と一緒に来たという大学3年の女性は「学生を逮捕するなんておかしい。政府はまず私たちの声を聞くべきだ。政府が力で抑える以上、私たちが怒りを表すのはこういう方法しかない」と訴えた。
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朝日新聞国際報道部
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