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【大相撲】

逸ノ城、きょう白鵬と1敗対決

2014年9月27日 紙面から

逸ノ城(上)がはたき込みで鶴竜を破る=両国国技館で(安藤由華撮影)

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◇大相撲秋場所<13日目>

(26日・両国国技館)

 横綱も倒した−。連日のように新しい記録をつくりながら快進撃を続ける逸ノ城(21)=湊=が、初の横綱戦で鶴竜(29)=井筒=を立ち合いの変化からはたき込み、12勝目を挙げた。幕下付け出しから所要5場所での初金星は、年6場所制となった1958年以降の最速だ。この日初黒星となった横綱白鵬と並ぶ1敗をキープし、ついにトップに浮上。14日目はその白鵬と直接対決を迎える。白鵬に勝てば、1914年5月場所の両国以来、100年ぶりの新入幕優勝が、がぜん現実味を増す。

 初めての結び&横綱戦とは思えない強心臓ぶりを見せた。鶴竜相手に逸ノ城が1度目の立ち合いで突っかける。2度目に成立した立ち合いで、11日目の稀勢の里戦と同じような左への変化。瞬時に横綱をはたき込んだ。幕下付け出しデビューから5場所目で初金星は史上最速で、ざんばら髪でも初めてのこと。さらに41年ぶりの新入幕金星を祝うかのように座布団が舞った。

 「子どものときにテレビで見ていたので、それを思い出した。緊張はしていたけど、土俵に上がったら大丈夫だった。(変化は)本当はダメなんですけど、やるなら思い切りやってみようと。(決まって)うれしかったです」

 対策は朝から決まっていた。鶴竜とは3月下旬に行われた同じ時津風一門の幕下以下の力士によって横綱土俵入りで使われる綱の麻もみで顔を合わせていた。そこには当時、幕下だった逸ノ城の姿もあった。「相撲がうまいし、速いし、力がある」。そう強さを認めていた。だが、場所前の出稽古で胸を借りたときは7番取って全敗。歯が立たなかったことを踏まえて朝稽古後に立ち合いの変化を選択した。

 横綱相手に変化してもいいのか。そんな声もあるかもしれない。北の湖理事長(元横綱)は「この(体の)大きさでよく変われるな」と驚きつつも、「いつまでもこういう相撲を取っていたら力が出なくなる。要注意だよ」とくぎを刺した。

 全勝の白鵬に土がつき、優勝争いも分からなくなった。新入幕Vなら1914年5月場所の両国以来、100年ぶりの快挙となるだけに、部屋も準備を始めた。

 この日の朝、後援会長が築地から優勝祝賀会で使うタイを用意できたと連絡が入った。紅白幕と大漁旗はある。あとはたる酒がない。師匠の湊親方(元幕内湊富士)は「用意しないと。警察ともパレードの打ち合わせをしないといけない」と大慌てだ。

 千秋楽のパーティーは部屋で開催するが、逸ノ城の快進撃で、東京都内の老舗ホテル2件から営業に来るほど周囲もにぎやかだ。

 偉業を成し遂げる前に優勝30回を誇る横綱白鵬と1敗対決を迎える。「ここまで来たので緊張してもしょうがない。思い切りやるだけです」。帰り際、警備員が「開けて! 開けてー!」と絶叫するほどサインや写真撮影を求めるファンにもみくちゃにされた。大関連破に初金星と日々歴史を塗り替える状況に「夢の世界に来たみたい。自分でもびっくりしています」と逸ノ城。もっと驚くはずの賜杯を手にする瞬間が刻一刻と近づいてきた。 (永井響太)

 

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