御嶽山噴火:「携帯つながらない」登山者家族、不安な夜

毎日新聞 2014年09月28日 00時14分(最終更新 09月28日 01時00分)

 御嶽山の噴火の後、連絡が取れなくなっている登山者の家族は、安否を気づかい不安な夜を過ごした。

 「電話が全然つながらない」。御嶽山に登山に行った長野県松本市の男性会社員(57)の妻(53)は27日夜、毎日新聞の取材に応じ、男性と連絡がつかない状況を語った。

 男性は同日早朝、30〜60代の男女6人のパーティーで御嶽山に出かけた。登山経験は豊富だが、噴火が起きた時間帯は、昼食を山頂でとるはずだった。ニュースを見て心配になり、携帯電話にかけた。何度かけてもつながらないままだ。

 一緒に出かけた5人の家族とも連絡を取り合っているが、いずれの家族も本人と連絡が取れない状況だという。

 長野県王滝村役場には27日夜、静岡市駿河区の女性(73)が、御嶽山に登った娘夫婦の安否確認のため駆けつけた。同日正午過ぎに娘から電話があった。「やばい、やばい。山が噴火しちゃった。石が転がってくる」。娘はそう話すと、電話が切れた。その後、電話が通じない。「情報が欲しくてここまで来たのだが……」と女性は表情を曇らせた。

 愛知県豊田市の男性(60)も27日に御嶽山に向けて出発したが、家族と連絡が取れていないという。息子(22)は「夕方、仕事をしていたら母親から『連絡が取れない』と電話があった。今は対策本部からの知らせを待つしかない」と話した。

 長野県の60代女性も、御嶽山に登った可能性がある息子(37)と連絡がとれず、地元警察などに安否情報を求め続けた。女性によると、息子は27日朝、「登山に出かける」と言って自宅を出たという。

 どの山に登ったかは不明だが、御嶽山は自宅から車で1〜2時間の距離にあり、これまでに3回登った経験がある。女性は「噴火に巻き込まれたのではないか」と話した。【斎川瞳、一條優太、杉本修作】

 ◇フリーダイヤルを設置

 御嶽山の登山者の安否確認を促進するため、長野県警本部は、登山者に関する情報・相談フリーダイヤルを設置した。番号は▽同本部0120・008・046▽木曽署0120・007・285。

 岐阜県警も、下呂署0576・52・0110▽高山署0577・32・0110▽県警本部警備2課058・271・2424(内線5761)−−で対応している。

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