27日午前11時53分ごろ、木曽郡王滝村と岐阜県境にある御岳山(3067メートル)が噴火した。長野県によると、山小屋関係者の情報として意識不明とみられる人が7人、骨折などのけがをした人が33人おり、同日夜も複数の山小屋や登山道にとどまっているとしている。ほかに多数の軽症者がいる。この日は数百人が入山したとみられ、長野県警によると、同日夜までに約230人が下山したとの情報がある。
紅葉シーズンの週末で、噴火に伴う噴石や火山灰が多くの登山客を襲った。
御岳山の噴火は有史以来、4度目。県内の火山活動で複数のけが人が出たのは1962(昭和37)年、北アルプス焼岳の噴火で4人が負傷して以来。
国土交通省中部地方整備局によると、山頂付近の少なくとも3カ所で噴煙が上がり、王滝村設置のカメラ映像で南側斜面を噴煙が3キロに渡って流れ下るのを確認した。
三宅康幸・信州大教授(火山地質学)は「仮に水蒸気爆発だった場合、100度以上の噴煙が流れた可能性がある。(火山灰や高温の火山ガスなどが一体となり、高速で流れる)いわゆる火砕流と言える」と指摘。噴火時に頂上付近にいた信州大山岳科学研究所の朝日克彦助教も「火砕流とみられる噴出物が高速で斜面を流れるのを見た」と証言した。
気象庁火山課は「79年の中規模噴火と同程度、あるいはそれ以上」とし、噴火警戒レベルを平常の1から入山規制の3に引き上げた。今後も住民の居住地近くに影響を及ぼす噴火の可能性があるとし、火口から4キロ程度の範囲では大きな噴石の飛散などに警戒するよう呼び掛けた。
同庁は27日夜、火山灰は28日未明にかけて南東方向へ飛散する可能性があるとの降灰予報を発表。長野県南部や山梨県西部、静岡県中部にも降る可能性があるとして注意を呼びかけた。
長野県は午後2時半、自衛隊に取り残された人の救助を要請。ただ、有毒ガス発生の恐れがあり、この日の救助は断念した。28日の日の出から警察、消防を含む計約300人で活動を始める。全国の消防隊員らでつくる緊急消防援助隊も出動を準備している。
県は木曽町と王滝村に、救助費用などを国、県が負担する災害救助法を適用した。