伊藤博敏「ニュースの深層」
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岩手県の急回復で見せつけた「小沢一郎---達増拓也コンビ」の底力!

2011年05月26日(木) 伊藤 博敏
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被災者は、仮設住宅を切望しており、そのスピード感は自治体への満足度を押し上げる〔PHOTO〕gettyimages

 ゼネコン幹部が、仮設住宅の建設状況を根拠に、岩手県の"政治力"を誉める。

「仮設住宅の完成見通しは、岩手県が7月前半までに必要戸数(1万4000戸)がすべて完成します。それに対し、宮城県(同2万3000戸)と福島県(同1万5200戸)は8月前半となりそうです」

 発注戸数の差や、福島県には原発事故という特殊事情もあって同列には論じられない。ただ、避難所生活を強いられている被災者は、人目を気にせず一家が過ごせる仮設住宅を切望しており、そのスピード感は自治体への満足度を押し上げる。

 ゼネコン幹部が続ける。

「結局、岩手県は小沢一郎---達増(拓也)知事というコンビで、復興事業を効率よく仕切っているということです。小沢さんが中央省庁に根回し、調整のうえで予算を分捕り、それを"弟子"の達増知事が効率よく配分する。道路や上下水などのライフラインは、業者に丸投げするという緊急随意契約。政治と行政と業者のトライアングルが、こうした非常時には生きるんです」

 達増知事は、外務省キャリアを経て、1996年の総選挙で新進党から出馬して当選。「元祖小沢チルドレン」で、4回、連続当選の後、小沢氏と距離を置いていた増田寛也岩手県知事の4選を阻止するために、07年の知事選に出馬して当選を果たした。

 今も小沢氏への忠誠を隠さず、統一地方選での民主党敗北を受けた4月25日の記者会見で、「政治体制を強化するために小沢一郎元代表を要職に起用すべきだ」と述べた。また、小沢派のメルマガである「日本一新」では、もっと踏み込んで、震災復興における「政治主導」の実態を明かした。

 がれき処理で関係省庁を糾合、平時なら1年かかる調整を2~3日で終わらせたのは小沢氏側近の樋高剛環境政務官だったという。また、被災地の名簿作成は、「住宅地図と名簿を片手に、一軒一軒あたるという小沢一郎さんに習った選挙手法」でもあった。3月28日に現地入りした小沢氏とは、県と国の予算配分などのアドバイスを受けて、「(小沢氏が)財務省にかなりの影響力を行使しているという印象を受けた」という。

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