危険ドラッグ:好奇心から乱用 若者に急拡大 大麻も
毎日新聞 2014年09月27日 12時21分(最終更新 09月27日 15時17分)
◇厚生労働省研究班調査、健康志向から進む「酒・たばこ離れ」
酒やたばこをたしなむ国民が減る一方で、大麻や危険ドラッグの乱用が急速に広がっている実態が、厚生労働省研究班の調査で分かった。健康志向の高まりで「体に悪い」イメージがある酒やたばこが若者らに敬遠される一方で、「捕まらない」危険ドラッグや「たばこより害が少ない」と宣伝される大麻を好奇心から乱用するケースが増えているとみられる。【江刺正嘉】
調査は1995年から隔年で行われている。最新調査は昨年10月、全国の15〜64歳の男女5000人を対象に実施、2926人(58・5%)から有効回答を得た。
過去1年間に薬物を使った人を身近に知っていると答えた人を薬物別に比べると、大麻が0.9%(26人)で最も多く、調査開始以来、初めてトップになった。今回初めて調査対象になった危険ドラッグは0.8%(24人)でシンナーと並んで2位になり、乱用の広がりが裏付けられた。
薬物を一度でも使ったことがあると答えた人は▽シンナー1.9%▽大麻1.1%▽覚醒剤0.5%▽危険ドラッグ0.4%の順。これを基に全国の15〜64歳の使用者を推計すると▽シンナー約183万人▽大麻約107万人▽覚醒剤約52万人▽危険ドラッグ約40万人−−となる。
使用者の平均年齢は▽シンナー43.8歳▽大麻40.7歳▽覚醒剤40.1歳−−に対し、危険ドラッグは33.8歳と最も若かった。調査対象者の約4割は、危険ドラッグを一度使っただけで呼吸困難に陥ったり意識を失ったりする恐れがあることを知らず、他の薬物より危険性の認識が低かった。
一方、最近1年間に一度でも酒を飲んだことがある人は82.2%、たばこを吸ったことがあるのは27.2%。ともに減少傾向にあり、特に10〜20代の若い層で酒・たばこ離れが目立っている。
研究代表者の国立精神・神経医療研究センターの和田清・薬物依存研究部長は「若者の酒・たばこ離れは健康ブームの影響だが、好奇心もあり他の薬物より安全だろうと安易に大麻や危険ドラッグに手を出している」と指摘。「大麻は意識変容を引き起こし、長期的には精神障害をきたす。危険ドラッグの怖さは最近の事件で明らかだ。学校での薬物乱用防止教育の重点を、従来の覚醒剤とシンナーから大麻と危険ドラッグに早急に改める必要がある」としている。