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美玲さん遺棄 容疑者自宅から30メートル

生田美玲さんの遺体が見つかった茂みの周辺
生田美玲さんの遺体が見つかった茂みの周辺

 無事でいてほしいとの願いは届かなかった。神戸市長田区長田天神町の茂みで複数のポリ袋に入った切断遺体が見つかった事件で、兵庫県警は24日、遺体を市立名倉小1年、生田美玲さん(6)と確認した。県警は死体遺棄容疑で現場近くに住む君野康弘容疑者(47)を逮捕。ポリ袋には容疑者の診察券などが入っていた。県警は女児の不明後に容疑者と接触していたが異変に気づけなかった。捜査に落ち度はなかったか。事件は全容解明に向けて動きだした。

 美玲さんが行方不明になってから14日目となった24日未明、事態は最悪の形で急展開した。県警によると、前日23日に雑木林で発見された遺体は頭や胴体、脚が切断され、複数枚重ねて縛られたポリ袋6つに別々に入れられていた。遺体は激しく傷んでいたが、日が変わった24日に女児の親のDNAを鑑定した結果、美玲さんと確認された。

 付近の聞き込みや遺留品の捜索をしていた捜査員が、異臭に気付いて茂みを捜索、発見に至った。ポリ袋は半径数メートルの範囲で無造作に置かれていた。現場は急な坂道の上にあり、昼でもほとんど人通りがない。

 ポリ袋からは君野容疑者の診察券や、たばこの吸い殻が見つかり、遺留物が同容疑者のDNA型と一致、逮捕の決め手になった。女児が失踪時に着ていたワンピースやサンダルも一緒に見つかっている。同容疑者の自宅は、女児の自宅から約100メートル離れた集合住宅で、遺体発見現場から約30メートルと目と鼻の先。近隣住民の話によると、君野容疑者が住む集合住宅2階の部屋のベランダからは、遺体が見つかった雑木林が見えるという。

 県警の矢野浩司捜査1課長と斎藤啓二・長田署長はこの日午後に会見。容疑者が浮上したきっかけを、女児が失踪した11日の防犯カメラ映像だったと明かした。「こいつ誰や!」。160台以上の防犯カメラを調べる中で1つの映像が目に留まった。同日午後3時20分ごろの映像で、美玲さんの後ろを歩く不審な同容疑者の姿が確認された。酒に酔ったように千鳥足で、女児を気にする様子もうかがえた。

 矢野捜査1課長は「(美玲さんへの)声掛けなどはなかったが、少し気にしているような感じが認められたので、不審人物として捜査していた」と話した。

 11日の失踪から5日目の16日には、捜査員が同容疑者宅を訪れ、任意で話を聞いた。その際、同容疑者には特に変わった様子はなく、家の中に美玲さんの姿はなかったという。

 同容疑者は県警の取り調べに、「黙秘します」と口をつぐんでいる。女児との面識についても話していない。時折、雑談に応じる場面はあるが、少し疲れた様子もみられるという。

 県警によると、知的障害者に交付される「療育手帳」の所持が確認されたが、障害の程度や内容などの詳細は不明。通院歴についての情報は差し控えられた。今後は責任能力の有無、さらに遺棄した経緯や動機の解明を本格化させるとともに殺人容疑でも調べる。

<行方不明の経過>

 ▼11日午後2時45分 神戸市立名倉小1年、生田美玲さんが下校

 ▼同3時ごろ 祖母宅にランドセルが置いてあるのを母親が発見

 ▼同3時15分ごろ コンビニの防犯カメラに日傘を差して1人で歩いているのが写る

 ▼同5時半ごろ 自宅から南東約600メートルの大丸山公園から南に向かって1人で歩いているのを複数の児童が目撃

 ▼同7時5分ごろ 母親が長田署に通報

 ▼12日午後 兵庫県警が公開捜査

 ▼16日 県警が君野康弘容疑者宅を訪れ女児がいないことを確認

 ▼17日 約250人態勢で捜索

 ▼23日 神戸市長田区の自宅から約100メートルの茂みでポリ袋に入った子どもとみられる切断遺体が見つかり、県警が関連を捜査

 ▼24日 県警が殺人、死体遺棄事件として捜査本部を設置。遺体を美玲さんと確認。死体遺棄容疑で近所に住む君野容疑者を逮捕

 [2014年9月25日10時26分 紙面から]

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