終戦記念日対談
金子兜太さんといとうせいこうさんが「俳句」から戦争と平和を語り合います
【社会】鶴彬の「沈黙しない」見習いたい 川柳で反戦 戦前に訴え
日本が戦争へ突き進んだ昭和初期に川柳で反戦を訴え、当局に逮捕されて短い生涯を終えた鶴彬(つるあきら)(一九〇九〜三八年)。その生き様をテーマとした演劇や映画観賞、講演会が相次いで企画されている。研究者らは、特定秘密保護法制定や集団的自衛権行使容認の閣議決定が強行された現代と当時を重ね「鶴彬のように沈黙しない勇気が必要だ」と声を上げる。 (杉戸祐子) 「日中戦争が始まるころ、草の根の文芸の広がりを絶とうとする『言葉狩り』が広まり、鶴彬も逮捕された。今、国は着々と戦争へと進んでいるが、大衆の表現を黙らせてはならない」。二十日に東京都文京区で開かれた講演会で、文芸評論家の楜沢健(くるみさわけん)さんは訴えた。 鶴彬は石川県出身。貧しい家庭環境で育った。十代から新聞に川柳を投稿し、日本が対中開戦に向かう中、世相を批判する反戦川柳を発表した。 「手と足を もいだ丸太に してかへし」 「タマ除けを 産めよ殖やせよ 勲章をやろう」 戦時下の女性の立場にも心を寄せた。 「胎内の 動き知るころ 骨がつき」 「肺を病む 女工故郷へ 死に来る」 軍国主義に迎合した作品をつくる他の川柳人に同調しない鶴彬は、特別高等警察に告発された。三七年、治安維持法違反で逮捕され、獄中で赤痢に罹患(りかん)。翌三八年九月、東京・新宿にあった豊多摩病院で亡くなった。 新宿区で十一月六日から演劇「手と足をもいだ丸太にしてかへし−鶴彬の生涯−」が上演される。呼び掛け人に名を連ねる川柳人の乱鬼龍(らんきりゅう)さん(63)は、さいたま市の公民館が「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」という俳句の月報掲載を拒否した問題に触れ「表現の自由が弾圧されている。民衆が押し黙ったら国の針路は危うくなる」と訴える。 新宿に鶴彬の句碑を設けるための募金活動にも取り組む乱さんは、鶴彬の訴えを引き継ぐ決意を作品に込める。「世直しへ幾千万の鶴よ翔(と)べ」 杉並区の市民団体「高円寺南9条の会」は今月二十八日、鶴彬の生涯を伝える映画の観賞会「鶴彬ってだれ?」を開く。事務局の小林宏康さん(75)は「治安維持法施行を経て戦争に突き進んだ当時と現代は似ている。鶴彬を知ることで現代について深く考えられる」と話す。 ◇ 演劇は十一月六〜九日、新宿区のTACCS1179。問い合わせは実行委=電03(3978)4311=へ。映画観賞会は杉並区の日本学生キリスト教友愛会(SCF)会館。問い合わせは小林さん=電090(2226)4106=へ。 PR情報
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