切断遺体は神戸不明女児　近所の４７歳男逮捕

　神戸市長田区長田天神町の茂みでポリ袋に入った遺体が見つかった事件で、兵庫県警は２４日、遺体を１１日から行方不明になっていた市立名倉小１年・生田美玲（いくた・みれい）さん（６）と確認し、死体遺棄容疑で同町の無職・君野康弘容疑者（４７）を逮捕した。６つのポリ袋から、切断された頭部や体の一部のほかに、たばこの吸い殻などが見つかり、付着していたＤＮＡ型が君野容疑者と一致。県警は殺人容疑でも、君野容疑者を調べる。

　無事であってほしいという願いは絶望に変わった。前日発見されたポリ袋からは遺体のほか、君野容疑者の名前が書かれた診察券、たばこの吸い殻、美玲さんが身につけていたものと同一のワンピースやサンダルも見つかった。吸い殻に付着した遺留物が君野容疑者のＤＮＡ型と一致。遺体は切断されており、美玲さんの親のＤＮＡ型の特徴が一致した。

　逮捕容疑は９月１１～２３日の間、茂みに、美玲さんの遺体を遺棄した疑い。県警は長田署に捜査本部を設置。県警によると、君野容疑者は「黙秘します」とほとんど話さず、少し疲れた様子だという。

　県警によると、ポリ袋は６つあり、切断された頭部や体の一部が分けて入れられていた。複数枚重ねて縛った状態で、茂みの半径数メートルの範囲に置いてあった。２３日午後４時１０分ごろ、県警の捜査員が発見。２４日午後にも、茂みで遺体の一部のようなものが見つかり、県警は未発見の遺体の一部の可能性もあるとみて調べている。

　君野容疑者は、ポリ袋が発見された茂みから約３０メートル、美玲さん宅から約１００メートル離れた集合住宅住まい。捜査関係者によると、美玲さんの足取りが分からなくなる直前の１１日午後、防犯カメラに、美玲さんの後方で酒に酔ったようにふらふらとした足取りで離れて歩く君野容疑者の姿が写っていた。美玲さんを気にするようなそぶりもうかがえ、不審人物として捜査線上に浮上。１６日には捜査員が容疑者宅を訪れ、容疑者が承諾した範囲で家の中を調べたものの、美玲さんの姿は確認できず。本人から話も聞き、異常はなかったが、その後も捜査対象としていた。

　ポリ袋が見つかった茂みは、美玲さん宅から東に約１００メートルの住宅街。県警は１７日には周辺の空き家などは調べたが、茂みには手をつけず。現場は急な坂道の上で、住民が「この辺の人でも通ることはない」と口をそろえるような場所。捜査員が２３日午後、周囲の異臭に気づき、初めて茂みに足を踏み入れた。

　捜査が難航した背景を、ある県警幹部は「捜査すべきところはごまんとあり、どこかを重点的に絞れない。限界があった」と漏らす。美玲さんは不明になる前日、一時迷子になって警察に保護された経緯があり、別の県警幹部は「またすぐ見つかるだろうと、当初の態勢が甘かったとの見方もあるかもしれない」と語った。