御嶽山噴火:硫黄のにおい「これは来る」写真家の津野さん

毎日新聞 2014年09月27日 18時25分(最終更新 09月27日 21時56分)

噴火した御岳山から下山する写真家の津野祐次さん。噴火時はコースガイドの仕事で山頂直下にいた。「『バチーン』という花火のような音がなってから『ゴロゴロ』と石が落ちる音がした。辺りは真っ暗になり稲妻がみえ、生きた心地がしなかった」と話した=長野県木曽町で2014年9月27日午後2時54分、宮間俊樹撮影
噴火した御岳山から下山する写真家の津野祐次さん。噴火時はコースガイドの仕事で山頂直下にいた。「『バチーン』という花火のような音がなってから『ゴロゴロ』と石が落ちる音がした。辺りは真っ暗になり稲妻がみえ、生きた心地がしなかった」と話した=長野県木曽町で2014年9月27日午後2時54分、宮間俊樹撮影

 長野県伊那市の写真家、津野祐次さん(68)は噴火の時、山頂直下約200メートルの地点にいた。登山の途中、いつもはしない硫黄のにおいがしたという。頂上付近から突然、煙が立ち上ってきた。噴煙が徐々に高くなり、津野さんが「これは来るぞ」と危険を感じた時、多くの登山者も走って逃げ始めた。

 津野さんは9合目付近まで写真を撮影しながら走って逃げたが、噴煙に巻き込まれた。10センチ前も見えないほど真っ暗になったが、それでも逃げようとして岩につまずいて転んだため、頭を抱えてうずくまった。暗闇の中、「バチーン」という打ち上げ花火のような爆発音が絶えず鳴り響き、バラバラと周辺に石が落ちて来た。さらに稲妻のようなものが走るのも見えた。

 大粒の砂のような火山灰が当たり体中が痛かった。灰は耳の穴にまでも入った。服に口を当て、灰を吸い込まないようにして耐えた。風は強くなったり弱くなったりし、これ以上温度が上がれば焼けるだろうと思うほど熱い時もあった。恐怖を感じ、20分ほどうずくまって耐えた。周囲が少し明るくなると、あたりは一変し、30センチほどの灰で覆われていた。

 9合目の下の山荘に着くと多くの人が避難していた。これ以上大きな噴火が起きれば危険と判断し、さらに下山を続けた。伊那市の事務所で取材に応じた津野さんは、服と体、カメラが火山灰だらけで、硫黄のにおいがした。【丸山博】

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