御嶽山噴火:4県で降灰の可能性 長野・山梨・岐阜・静岡
毎日新聞 2014年09月27日 20時25分(最終更新 09月27日 21時44分)
気象庁は27日、御嶽山の噴火で長野、山梨、岐阜、静岡の4県の広範囲に灰が降る可能性があるとして、28日午前3時までに推測される降灰地域を発表した。過去の御嶽山の噴火では、降り積もった灰により農作物などに被害が出たこともあり、ふもとの自治体は農業や観光業への影響を心配している。
同庁によると、噴火後に御嶽山上空約6000メートルを飛んでいた航空機からの情報などから、噴煙の高さは最大3000メートルに達すると仮定し、降灰地域を推測した。同庁火山課の担当者は「灰が降った場合、家の窓を開けないことが重要だ。外出時には、目や気管に灰が入るのを防ぐため、マスクや傘をさした方がいい。灰が道路に積もったら、スリップする恐れもあるので運転にも注意が必要だ」と呼びかけた。
1979年10月の噴火では、長野県の旧開田(かいだ)村(現木曽町)で、収穫期の野沢菜、大根などが1〜2ミリ前後の灰をかぶり、野菜だけで被害面積は約150ヘクタールに上った。ヤマメなどの養殖池も被害を受けた。
木曽町の開田高原では現在、白菜を栽培。「御嶽はくさい」のブランド名で、関西や中京方面に高級漬物用として出荷している。町役場によると、27日夕には畑に灰がうっすら積もっているといい、役場職員は「収穫への影響が出ないか不安だ」と話した。
一方、御嶽山は、7合目までゴンドラやロープウエーが整備され、登り始めから頂上まで最短約3時間で登れる日帰りの山として人気が高い。頂上近辺では活火山らしい噴煙も見られ、富士山や立山などと並ぶ信仰の山としても知られている。
しかし今年は7月に豪雨があり、8月も雨に見舞われることが多かった。9月になって天候が安定し、下旬から紅葉も始まって、ようやく登山客らでにぎわっていたところだった。同県王滝村の担当者は「10月ごろまで観光シーズンでこれからという時だったので、観光への打撃は大きい」と嘆く。
一方、岐阜県側でも降灰の報告はあるが、御嶽山6合目付近の濁河(にごりご)温泉で旅館を営む同県下呂市小坂町の男性(38)は「ほとんど降っていないので影響はないと思う」と話した。
御嶽山周辺の木曽町と王滝村、岐阜県下呂、高山市によると27日夕現在、噴石などで窓ガラスが割れるなどの被害が出た民家は確認されていない。公共施設への被害もなかったという。【奥山智己、桐野耕一、狩野智彦】