Amazonはサーバ環境もWebサービス化
September 19, 2006 8:16 PM by ooi1
大井宏友です。
Amazonの方がWEBサービスについて話をしてくれる、 という機会がありました。AmazonのWEBサービスといえば、 Amazonの全ての商品情報にアクセスすることができるもの、 という認識でいたのですが、実はそれ以外にもいろんなことを「Webサービス」として公開していることを初めて知りました。
Amazonは11のWEBサービスを公開しているのですが、その中で非常に興味深かった、 S3とEC2という二つのサーバ環境のWEBサービスについてまとめてみます。
EC2+S3の概要(間違っていたら教えてください)
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3):ストレージサービス
- $0.15/GB(month)、転送$0.20/GBと激安。
- ファイル単位のアクセス権管理
- 常時レプリケーション、99.99%アップタイム。
- 静的なストレージだが、WEBサービスとしてリクエストする。なので、AJAX使えばWEBサイトも作れちゃったりする。
- 実例:smugmug(バックアップがs3)、chicago crime
たとえば、パラパラ写真。この画像たちの容量は合計で約6MBあるのですが、このパラパラ写真が毎月1000アクセスあったとすると、 S3の利用料は、$0.15+$0.20×6≒$1.35程度。
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2): 論理server
- Amazon Machine Image(OSのディスクイメージみたいな感じ)をS3に作っておいて、 必要なインスタンスを作る。RubyやらPerlも動く
- 起動 監視 停止 管理は WEBAPIでおこなう(現時点ではコマンドライン+Javaみたい)
- 1instance $0.10/hour、転送 $0.20/GBと、やっぱり激安な気がする。
- 1-数千のinstance OK
- S3へ直接連動(無料で使える)
新規事業の立ち上げとかで、いくら利用予測したってふたを開けてみないと分からないのに、 ピークを予想してでかいサーバを用意するのは大変。EC2だと従量課金なので、でかいserverをあらかじめ用意しなくていいので、 初期投資や固定資産が大幅に減少することになります。
Eコマースの会社が何で自社インフラもWEBサービス公開しちゃうの?
実はAmazonもGoogleと同様にテクノロジーオリエンテッドな会社だそうです。 「コストがかかってもいいから客の experience があがればいい。」という企業風土で、自分たち(Amazon.comサイト)も客の一人だと考えている。 さらにDIY主義::外注の前に、まず自分で作りましょう、という文化。
だから自分たちの事業をするために「まかない飯」をつくり、 うまいまかない飯を作ることには意義がある。 うまいまかない飯が作れたらそれを自分たち以外にもふるまってもいい。わずかな対価とともに。そうすることで、 WEBサービス利用者も安価で高品質なサービスを使えてうれしいし、 Amazonにとってもたくさんのヒトがサービスを使うことで自分たちのインフラコストが下がる(みんながサーバコストを分かち合う) というWIN-WINな関係が得られる。
Amazonの売り上げからすると、このWEBサービスの利用料収入なんて1%もないと思いますが、 それでも顧客のためにサービスを提供してくれていることがうれしいなと思います。
「チープ革命」のもう一つのアプローチ
Googleと同じようにAmazonもテクノロジーを非常に大事にしています。 もちろんビジネスモデルや提供するサービスがしっかりとしてないとだめですが、 今まで出会ってきたWEBサイトの会社はもれなく全て社内に優秀な ITエンジニアを抱えて、社内で開発をしています。 そうじゃないとWEB世界の速度についていけないんでしょうね。 WEBで成功し続けるためにはやはり自社内にITエンジニアを抱えて社内で手を動かすことが必要だなという思いを強くしました。
また、ヒトが来るのかどうか分からない実験サイトを立てたり、ベンチャーでサービスを立ち上げたりする上では、 実はEC2ってすごく低コストで高スペックな環境だと思います。梅田望夫さんがいうところの「チープ革命」は、 確かにインフラコストは低いですが、それを実現するためには非常に優秀な(腕っ節のいい)ハードウェアやサーバのエンジニアが必要で、 そういうエンジニアは非常に少ないし、人件費も高い(ハズ)。それが「チープ革命」の最大のハードルでもあると思います。
しかし、Amazon EC2+S3を使うことで、 腕っ節のいいハードウェアエンジニアがいないベンチャーでも非常に安価なところからサービスを立ち上げることができる。 アクセスが集中しすぎたらそのときに自前のサーバを用意すればいい。
これはもしかしたら「「チープ革命」の革命」かもしれません。
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