女性には、女性であるがゆえに女性特有の病気がある。
がんでいうなら、女性のがんでの死亡率の第4位は乳がん、第6位は子宮がん、第7位は卵巣がんと以外に高い。
乳房
女性の乳房は、人間のみならず哺乳動物のすべてが、生まれたばかりの子に栄養を与え、子供を育て、子孫を維持するための重要な器官である。
女性の乳房にはもう一つ大事な役割がある。他の哺乳動物は、単に子供に栄養を与えるだけの器官であるのに対して、人間の場合は、雄性に対して私は女よ、魅力的でしょうとセックスアピールしているのである。
乳房は脂肪と乳腺からなっており、その90㌫は脂肪であり、乳腺はわずか10㌫でしかない。だから、女性の乳房は柔らかく、雄性を惹きつけるのである。
乳がんは、昭和50年(一九七五)頃までは、そう多い病気ではなかった。
ところが、昭和50年を100とした場合、平成17年(二〇〇五)には約5倍(国立がんセンターがん対策情報センター)と、この30年間に急激に増えている。
何故、こんなに増えたのであろうか。
もう一つ、ここにある統計がある。
それは、出生率の統計である。
昭和49年(一九七四)の第2次ベビーブームを頂点に、昭和50年以降、平成17年(二〇〇五)の約30年間に出生率が半減(厚生労働省)してしまった。
しかも、初婚年齢は昭和50年が24・7歳であったのに対して、平成17年には28歳と晩婚化してきている。
当然のことながら、第1子の出産年齢も25・7歳から、29・1歳(厚生労働省)と遅くなっている。
また、結婚しない女性も増えている。
乳がんと、出生率と、晩婚化と、結婚しないことと何の関係があるの?誰でもそう思うであろう。
乳房の90㌫は脂肪であるから、脂肪ががんになることはない。乳がんは乳腺にできるがんである。
実のところ、何故乳がんになるのかはっきりわかっていない。が、女性であるという特性と関係があるだろうといわれている。
つまり女性は、子供を産み育てるという、種保存の重要な役割をになっている。
女性が結婚しない、あるいは子供を産まないということは、その役割を放棄するということになる。
女性は、子孫を残すために、卵巣から月1回排卵する。
このとき、卵子と同時に女性ホルモンの一種である卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌する。
この二つのホルモンは、子宮内膜に作用して、受精した卵子が着床しやすいように子宮内膜を厚くする。
受精しない場合には、その厚くなった子宮内膜が剥がれ落ち、体外に排出される。これが月経である。
受胎しない場合は、これが繰り返されるために、エストロゲンが多く分泌されることになる。
乳がんにかかる女性は、高齢出産や子どもを産まない女性、あるいは肥満女性に多いことから、このエストロゲンが作用しているのではないかといわれている。
したがって、乳がんの一番の予防は、結婚して子供を産んで、子供におっぱいを吸わせる、女性本来の目的を遂行することである。
女性の乳房の9割は脂肪であり、乳腺はわずか1割に過ぎない。だから女性の乳房は柔らかく男性を惹き付けるのである
子宮は、厚さ1㌢もある平滑筋でできた丈夫な袋で、子供が体外にでるまで子供を保護し、育てる器官である。
子宮の両側に二つの卵巣があり、成熟した卵子が、卵巣から交互に卵管に送られる。ここで精子と出会うと受精ということになる。
と、同時に卵巣で女性ホルモンがつくられている。
女性は個人差はあるものの50歳前後で閉経する。
なぜ閉経するかというと、女性は生まれたときすでに卵巣の中に何十万個という未成熟な卵子を持っており、その中から選ばれた約500個ほどが成長し排卵される。それが無くなると排卵が終わり、同時に女性ホルモンも作られなくなり、女性としての子供を産むという基本的な機能が失われる。それが閉経である。
子宮がんの、80~90㌫が子宮頸がんである。
子宮頸がんのほぼ100㌫が、ヒトパピローマウイルス(HPV)の、長期間の感染によるものである。
したがって、原因がはっきりしているので、HPVワクチンを接種することでがんの発症を未然に防ぐことができる。
子宮頸がんは近年、性交開始年齢の低年齢化などにより、20代にも子宮頸がんが増加している。性交経験のある女性の全てに感染の可能性があるが、妊娠回数や出産回数が多い女性、不特定多数の性行為などは、子宮頸がんのリスクが高まり、要注意である。
子宮は、厚さ1㌢もある平滑筋できた丈夫な袋である。まさに御袋である。子供が体外にるまで、子供を保護し育てる大切な器官である