12月に新築した自宅を固定資産税の課税日の翌1月1日時点で登記していなかった埼玉県坂戸市の女性が、その年の固定資産税を課されたのは不当だとして課税取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横田尤孝裁判長)は25日、「課税は適法」との判断を示した。女性側敗訴が確定した。
同小法廷は「所有者が課税日時点で登記をしていなくても、課税処分が決まるまでに課税日時点の所有者として登記されていれば納税義務を負う」と指摘した。固定資産税の課税実務ではこうした取り扱いをしており、司法が追認した形だ。
判決によると、女性は2009年12月に自宅を新築し、所有権を取得したがすぐに登記しなかったため、課税日の10年1月1日時点は未登記の状態で、課税台帳にも登録されていなかった。10年10月に「09年12月新築」とさかのぼって登記したところ、10年12月に市が10年度の固定資産税を課税したため、取り消しを求めて提訴した。
一審・さいたま地裁は「現に所有している人が納税義務を負う」として請求を退けたが、二審・東京高裁は「登記がない以上、女性に納税義務はない」として課税を違法と判断していた。
横田尤孝、固定資産税、新築家屋