「後三年」時代建物跡 横手・陣館遺跡で発見
横手市教委は24日、同市金沢の陣館(じんだて)遺跡から、平安時代後期に起きた後三年合戦(1083〜87年)の時代のものとみられる建物跡が見つかったと発表した。遺跡周辺は、合戦によって滅亡した豪族清原氏の最後の根拠地金沢柵(かねざわのさく)と推定されてきたが、建物跡が見つかったのは初めて。
建物跡は標高92メートルの丘陵にあり横10メートル、縦14メートル。柱跡の位置関係から、四方に屋根のひさしが伸びていたことや仏像が安置されていたことなどが分かり、寺院があったと推定される。建物の正面とみられる東側では長さ15.6センチの短刀とみられる鉄製品が見つかった。
道路や住居を挟んで陣館遺跡の東に位置する金沢城跡は長年、金沢柵とされてきたが、証明となる遺物や建物跡は見つかっていなかった。
発掘担当の島田祐悦主査は「陣館遺跡と金沢城跡がセットで金沢柵であった可能性が高まった」と語る。
後三年合戦は、北東北を支配していた清原氏を源義家が滅ぼした戦乱。清原一族の養子となっていた清衡が義家と組んで生き残り、藤原と姓を変えて世界遺産の平泉文化を築いた。
八重樫忠郎岩手大客員准教授(中世考古学)は「見つかった建物跡は、東側を正面にして立つ向きなどが中尊寺の金色堂と似ている。平泉文化の根源を探る上で大きな発見だ」と評価する。
市教委は10月11日午後1時半、現地説明会を開く。
2014年09月25日木曜日