中国:新疆同時爆発 政府が恐れる「イスラム国との合流」
毎日新聞 2014年09月27日 07時30分
【上海・隅俊之】中国の新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州で21日に起きた同時爆発事件で、自治区の政府系ニュースサイト「天山網」は25日、ウイグル族とみられる容疑者を含めて死者は50人に上ると伝えた。自治区では7月に大規模な襲撃事件が起きたばかりで、ウイグル族をめぐる民族問題は泥沼化の様相を呈している。事件が過激化する中、中国当局は一部のウイグル族が中東で勢力を拡大するイスラム過激派組織「イスラム国」などに合流することにも警戒を強めている。
天山網によると、同自治州ブグル県内で21日夕、市場や商店街入り口、派出所など計4カ所で、同時に爆発物が投げつけられた。現地ホテルの漢族の従業員は電話取材に対し「(爆発があった)商店街の店舗の多くは漢族の経営だ」と答えた。
警察当局は「テロ事件」と断定。射殺・拘束された約40人の容疑者グループの主犯としてウイグル族とみられる人物の名前を挙げた。
自治区では区都ウルムチで4、5月に爆発事件が続発。7月にはカシュガル地区ヤルカンド県で、住民ら37人が殺害され、容疑者59人が射殺される襲撃事件も起きた。
中国当局は、一連の事件は自治区の分離・独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」が関与したと強調した。中国当局はウイグル族の一部が出国し、過激派と合流しているとの見方を強めている。
インドネシアの治安当局は今月、「イスラム国と関わった」として偽造パスポートで入国したウイグル族4人を逮捕した。インドネシアの過激派を通じて中東で戦う兵士を勧誘していたとみられる。
中国当局が懸念するのが、こうした過激派が国内でテロ事件を起こすことだ。中国政府の呉思科・中東問題特使は7月、「中国のイスラム過激派分子が中東で訓練を受けている」と述べた。その数は約100人とも指摘される。
王毅外相は24日の国連安全保障理事会で、欧米諸国の「反テロの戦い」と中国政府のウイグル過激派との戦いは同じだとの考えを示した。