福井悠介、高野遼
2014年9月26日20時52分
海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の乗組員のいじめ自殺をめぐって、東京高裁に文書隠しを指摘された幹部2人について、海自は26日、「故意の隠匿は確認できなかった」との検証結果を公表した。適切に文書を公開しなかったとして、2人のうち艦長(当時)を訓戒処分にした。
海上幕僚監部によると、幹部2人を含む関係者の聞き取りから、2人が文書は個人の資料で情報公開の対象ではないと誤解したり、文書の存在に気づいていなかったりして、結果的に文書が存在しない扱いになったと判断。道満誠一監察官は「過失や不適切な業務が原因で、意図的、組織的な隠匿は確認できなかった」と述べた。2人のうち、横須賀地方総監部監察官(同)は定年退職しており、処分対象にならなかった。
文書隠しをめぐっては、国などを相手取って損害賠償請求訴訟を起こした遺族が、いじめについて海自が調べた文書の開示を請求。海自は「破棄した」と答えたが、実際は保管していたことが内部告発で発覚。東京高裁は今年4月、幹部2人が「文書の存在を認識していたものと推認」などと判示し、違法な隠匿を指摘していた。
自殺した乗組員の母親(60)は取材に対して、「こんなに軽い処分であることが信じられない。形だけの調査だ。結局は反省していないのだろう。裁判所が隠蔽(いんぺい)を認定しても、なお組織の体質が変わらないのかと絶望を感じる」と話した。(福井悠介、高野遼)
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朝日新聞社会部
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