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【芸能・社会】

87歳グレコ 1時間半 立ちっぱなし フランスの至宝3年ぶり来日公演始まる

2014年9月26日 紙面から

健在ぶりを示す圧倒的なステージを見せたジュリエット・グレコ=東京・すみだトリフォニーホールで(戸澤裕司氏撮影)

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 フランスの至宝、現代最高峰のシャンソン歌手と称されるジュリエット・グレコ(87)の3年ぶり22回目の来日公演が24日夜、東京・すみだトリフォニーホールで始まった。東日本大震災直後、予定を変更せずにやってきて人々を感動させ、「これが最後かも」と思われたグレコが、今年5月にパリのオランピア劇場で喝采を浴びたステージをそのまま大好きな日本に持ってきた。

 1曲目は「ブリュッセル」。同じくフランスを代表する歌手であり、俳優、映画監督としても活躍したジャック・ブレルの曲だ。1978年に肺がんのため49歳でこの世を去った盟友の35周忌にあたる昨年出したアルバム「ジャック・ブレルを歌う」をフィーチャーしたプログラム。全19曲のうち10曲がブレルだ。87歳にして新曲を5曲も取り入れ、スタンドマイクの前で、両手を自在に動かしながら歌うスタイルは相変わらず。時に映画のセリフのようなささやく口調で、時には独り芝居のごとく豊かな表情と手の動きが一体となり、字幕の歌詞が観客の胸に深く刻まれてゆく。

 「脱がせてちょうだい」ではユーモラスに大人の色気を振りまき、「孤独への道」では「けれど私は今まで死に向かって 歩いてきただけだろうか」とブレルの心を歌い上げた。シックな舞台に伴奏はピアノとアコーディオンだけ。約1時間半、ハイヒールで立ちっぱなし、水も含まずに演じたグレコは、聴衆をまるでパリの劇場で聴いているかのように引き込んだ。大きな拍手と「ブラボー」の声に、二度三度とおじぎして、投げキッス。アンコールでは、ハンドマイクで「桜んぼの実るころ」を甘くロマンチックに歌って、幸せムードを充満させた。

 公演は26日東京・オーチャードホール、30日大阪フェスティバルホールで。 (本庄雅之)

 ●ジュリエット・グレコ 1927年2月7日、フランス・モンペリエ生まれ。父親が家を出たため母親、姉と3人で暮らす。第二次世界大戦中、母親がレジスタンス運動に加わり、いっしょに収容所に捕らわれた。戦後、サルトルやボリス・ヴィアンと交流。45年、コメディー・フランセーズで初舞台。49年写真誌「ライフ」が特集、マイルス・デイビスと熱愛。50年歌手デビュー。ボーヴォワール、カミュら知識人が聴きにくる。「脱がせてちょうだい」「パリの空の下」「行かないで」など持ち歌多数。映画「悲しみよこんにちは」「日はまた昇る」などに出演。現在の夫は、彼女のピアニスト、ジェラール・ジュアネスト。

 

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