LINE社の公表資料から算定したところ、同社は昨年の1月から6月だけで、App StoreおよびGoogle Playストアに約41億円の手数料を支払っていることが分かった。そして推定になるが、そのうちおそらく24億円強がGoogleへ払われていると概算できる。LINEの運営するNAVERまとめやライブドアブログのまとめサイトは、内容がスパムなのに検索でペナルティを食らわずにアドセンス契約はほとんど停止されない。これで不思議がる人もいるが、Googleは利潤を追求する私企業なのだから大口のビジネスパートナーを大事にしている、というのが最も筋の通る説明である。
まず、LINE社がウェブサイトで公表している昨年前半の、アプリ事業の売上額119億円と、売上の中のアプリストア経由課金サービス(スタンプおよびゲーム)の割合80%から算出すると、同社がApp StoreやGoogle Playストアに支払った手数料の総額が目算できる。
Google PlayストアとApp Storeは、手数料がいずれも決済金額の30%で、これらの資料を基に計算するとGoogle PlayストアでのLINE社からグーグルへの支払は2013年の1がつから6月で最低24億と推論できる。概算方法は煩雑なので、記事末尾に載せる。
ただ、簡単に言うと96億(2013年1〜6月のLINE社アプリ売上119億円のうち、顧客から徴収するゲームとスタンプの割合である80%をかけたもの)×7分の3(LINEの売上に対してスマホのアプリ決済ストア側が請求する手数料)×60%(スマホの中でのアンドロイド端末のシェア、つまりGoogle Playストアのシェア)の計算で、この24億円という数字が求められる。なお末尾の通り、この計算ではいくつかの不明な要素について数字を控えめに算出してある。
ところで、日本のネットユーザーからは、このLINE社が運営する、NAVERまとめやライブドアブログを利用したいわゆる「まとめサイト」がGoogleの検索上位に来て、邪魔だという不満がしばしば聞かれる。そしてこれらのサイトはほとんどが著作権法に違反しており、中には名誉毀損など、Googleのアフィリエイト広告が下記の通り禁止する内容を含むものも少なくない。
そして、これらの事項への違反は検索順位を下げるペナルティを課すスパム認定の理由とされているとともに、アドセンス契約の、Google側からの一方的な解約事由として定められている。にも関わらず、腹を立てたネットユーザーや著作権者がGoogleへ通報しても広告が引き揚げられることは極めて少ない。これで多くのネットユーザーは首をかしげて、人によっては頑張って何度も何度もGoogleへ通報したりする。
(スパムサイトは非常に悪質であると考えている、というのがGoogleの建前である。これを信じてしまう人間が非常に多い)
しかし、もしGoogleが言っていることが本当なら、LINE社の運営する、NAVERまとめや2ちゃんねるまとめサイトのライブドアブログがいつも検索上位に上がってきて、しかもグーグルの広告が剥がれないのはどうしてだろう。また、通報してもほとんどレスポンスがないのはなぜだろう。グーグルが、スパムサイトを巡回するプログラムの開発費やマンパワーで監視する人間を雇う人件費も捻出できないのが原因だろうか。
筆者はむしろ「人間は嘘をつく」という当たり前の前提から出発するべきと考える。Googleを間違っても公平無私な存在と考えてはならず、自己の経済的効用を追求する私企業だという出発点に立つべきである(「Googleは表現の自由という価値を尊重しているから、細かい違反に目くじらを立てないのだ」などと勝手に解釈してあげるのは、「2ちゃんねるはボランティアが運営する無償の個人掲示板」という考えと同じくらい筋が悪い。)現実を見ると、グーグルは建前と相違して非常に悪質なスパムサイトを検索でも上位に出している(これらのサイトが行う強力なSEOのため検索で上位に来ているといわれることがあるが、別にグーグルも手動でこれらのサイトを弾くくらいは簡単なはずである)。