36枚撮りのカメラアプリ

36枚あれば1回の旅の思い出を残すには充分かもしれません。
記録する時間を少なくすることで旅の楽しみは増えるかもしれません。
こどもにじーっとiPhoneを向けるより
こどもをじーっと観察する方が楽しいかもしれません。

Tomoについて

Tomoは約半年前に出張の帰りの飛行機で思いつき、つくろうと決めた。

身の回りにあるもの、便利なものが多い。けど快感を感じるものは少ない。ぐるぐると、スマートフォンがなかった時代、今では経験できない楽しかったこと、過去のことを思い返してみると、写真という1つのキーワードが出てきた。

大学時代にフィルムで撮影し暗室で写真を焼いていた。1枚の写真をつくるためにお金と時間をかけて、そんなことを毎日毎日くりかえしていた。

24歳の時に一眼のデジタルカメラを買い、フィルムカメラの出番がなくなった。お金も時間もかからない、すばらしい道具を手にいれた。しかし、どんどん写真を撮らない生活になった。iPhoneを手に入れてからはデジタルカメラすら使わなくなり、写真を撮るということを全くしなくなった。

子供ができて、さすがに写真を残したいなと思いiPhoneで撮影するようになった。

旅行でインスタントカメラを使っていた世代はよく知ってると思うが、旅行での写真なんて36枚あれば充分である。旅先で子供の記念撮影。iPhoneで撮影しては撮った写真を確認し、撮り直し、子供がうんざりしている姿をたまにみかける。ひょっとすると我が家もそうかもしれない。と思ったらゾッとした。

現在iPhoneの中に1500枚の写真が入っている。

その1500枚の写真、このアプリをつくろうと思うまで見返すことはなかった。ハードディスクにたまってる写真も見返した記憶がないしどんな写真を撮ったか記憶がない。ほとんどの写真は撮った瞬間のことが思い出せない。どこで撮ったか、何で撮ったか。昔フィルムで撮った写真とは何かが違うと感じた。

デジタルカメラが出てきた頃、写真はアナログかデジタルかという議論がいろんなところでされてた。比較は1枚にかかるコストや画質であり、本質的なところに何か違いがあるという議論はあまり見かけなかった。デジタルが主流になった今、見えてきたこともあるのでこの議論をすると面白いかもしれない。

撮った瞬間・記憶が写真で結ばれる。そんなことがiPhoneでできればおもしろいなと考えてたらTomoという表現になった。撮れる枚数に制限をかけ、撮ってもしばらく見れないことで写真に対して一時的に新しい見方ができると考えた。

しかしながら、写真とは?というのは人それぞれである。個人の経験で批評するのは限定的で安っぽい。Tomoで写真への考え方を変えよう!というのではなく一度使ってみて欲しいという思いでつくってみた。色を変えるフィルターはない、SNSでシェアできない、他社には標準でついてる機能がTomoにはついていない。非常に不便なアプリ。

それでもTomoをつくった。

Tomoで撮影された作品 #01

美術家として活躍されている野村浩さんにTomoアプリを使用して36枚の作品を制作していただきました。