“強すぎる新入幕”逸ノ城(いちのじょう=21、湊)の勢いが止まらない。大相撲秋場所12日目(25日、東京・両国国技館)、逸ノ城は新大関の豪栄道(28=境川)を豪快な上手投げで破り、2日連続で大関を撃破、1敗を死守した。
2日連続で大関を撃破した逸ノ城は「立ち合いから思い切り前に出て相撲を取ろうと思っていきました。うれしかったです」と無邪気にはにかむ一方で、敗れた豪栄道は「情けない」と言って肩を落とした。前日11日目の稀勢の里(28=田子ノ浦)に続き、新入幕力士が看板力士を相次いで粉砕する異常事態。実は、逸ノ城は半年以上も前からすでに“大関級”の力をのぞかせていた。
今年3月の春場所前のことだ。初場所で初土俵を踏んだばかりの逸ノ城は、佐渡ヶ嶽部屋に出稽古に訪れた。すでに逸ノ城は十両や幕内中堅クラスとは稽古で互角に渡り合うなど怪物ぶりを発揮。そこで、大関琴奨菊(30=佐渡ヶ嶽)が胸を出すことになった。ところが、なんと琴奨菊の体重182キロの体をもってしても逸ノ城の圧力を受け止めきれない。
大関はズルズルと後退し、ついには俵に足がかかってしまった。琴奨菊は「圧力がハンパじゃない…」と思わず息をのんだという。大関が“本気モード”になりかけたことを察知してか、逸ノ城の師匠の湊親方(46=元幕内湊富士)は「大関、そこらへんで。(逸ノ城は)まだ入門して2か月なんだから」と慌てて稽古にストップをかけたが…。デビューしたての力士が大関を一気に押し込んでしまう光景は、見る者を驚がくさせた。その後の半年間を経て、さらにパワーアップしていることは言うまでもない。
いまや、大関陣の間でさえ逸ノ城は無視できない存在。「勢いのある新入幕力士」ではなく「難敵」との見方で一致している。琴奨菊は秋場所が始まる前から「新入幕だけど、負け越すことはまず考えられない」と断言。稀勢の里も今場所の快進撃を目の当たりにして「いい体勢になっても攻められない。(体重が)50、60キロ違うと寄り切れない。すぐに(番付が)上がってくるのでは」と、対戦する前から警戒感をあらわにしていたほどだ。13日目の相手は初の横綱挑戦となる鶴竜(29=井筒)。「モンゴルの怪物」は、横綱をものみ込んでしまうのか。
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