学校でも街でも見ない天使みたいな女の子を大手予備校の週一回の授業でみる。
白い肌にリスみたいなパチクリした目、鼻筋も通っている。
いつも彼女は疲れた顔をしている。線が細いという言葉がピッタリだ。
授業の時は、中年の講師のくだらないギャグが疲れた彼女の顔をたまにニコッとさせる。
太陽のような眩しい笑顔ではなく、儚いすぐに消えちゃいそうな笑顔だ。
ある日の授業終了後 彼女は、教科書や参考書が詰まったプラスチック製のケースを手を滑らせたのか落としてしまった。
彼女は落としたプラスチック製のケースを暫く眺めてから拾い、大急ぎで予備校から出て、JRの駅の方に消えていった。