<出生届>50歳以上の母も国内出生証明書で法務局審査不要
毎日新聞 9月26日(金)20時42分配信
50歳以上の母親の出生届の取り扱いについて、法務省は、国内の病院の出生証明書があれば、法務局の審査を不要とする通達を出した。以前は50歳以上の女性の出産は難しいと考えられ、出生届が出されると、管轄の法務局が出産の事実を確認する審査を実施していた。不妊治療の技術の進歩によって高齢での出産例が増えており、法務省は「50歳以上だからと疑いの目で見られることを不愉快に感じる人が少なくなく、見直しを決めた」と説明する。
法務省は1961年、母親が50歳以上の出生届については、管轄の法務局に照会してから受理の可否を決めるよう、市町村に通達を出した。当時は、未婚の娘の子を自分の子と偽って届け出るケースがあったためだという。法務局は本人に出産時の状況を聞いたり、母子手帳を確認したりするほか、場合によっては出産した病院にも問い合わせをしていた。
しかし、体外受精や卵子の凍結保存など、不妊治療の普及によって、高齢で出産する女性が増えてきた。厚生労働省の人口動態統計(2013年)によると、50歳以上の出産は47人。00年は6人、03年は19人だった。
新しい通達は今年7月に出され、国内の病院の出生証明書があれば、市町村は法務局に照会する必要はないとした。ただし、海外の病院や、国内でも診療所が作った出生証明書の場合は、従来通り審査する。
過去には、この審査の過程で海外での代理出産だったことが判明し、出生届が不受理となった事例がある。民法や最高裁判例では、出産した人が「母」とされているためだ。また、一般的に50歳以上は出産時の危険性が高く、診療所で出産することはないと考えられている。
あるベテラン産婦人科医は「海外で卵子提供を受けて出産するケースもあり、通達の見直しは時代の流れだろう」と話す。【下桐実雅子】
最終更新:9月26日(金)23時44分
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