京都からの富士山
山の展望と地図のフォーラムでの検討を整理したものです。(2014年9月25日記)
2009年2月6日
2009年7月18日更新
2011年5月6日サイト変更他
2012年9月16日更新
2013年5月7日追加
京都府から見える富士山は、三国岳南西の地点と言われています(こちら参照)。ただ、これは250mメッシュしかない時に、カシミールで調べたものです。
しかし、50mメッシュでは、可視域は見事に消えてしまいます。
 念のため、天狗岳からのシミュレーション画像を作成してみました。
剣ヶ峯の地名が表示されるので、計算上見えることになりますが、まさしくピンポイントで、肉眼ではまず無理でしょう。
剣ヶ峯までは269261qですが、カシバードの描画範囲の最小距離を214qとして、手前をカットして作成したのが下の図です。
南アルプスの稜線に隠されてしまう寸前の姿です。現地ではとてもではありませんが、識別できないでしょう。
そもそも、この山は、「奥深い山で、京都府下でも最も登りにくい山のひとつであると言われてきました」とのことですので、行くのが大 変で、しかも山頂の「展望はよくない」そうですから、京都府からの富士山の証拠写真をとることは、極めて難しいと言わざるをえません(引用は、こちらから)。
国土地理院が、2009年2月1日から10mメッシュの提供を始めました。 これをもとにしてシミュレーション画像を作成するとどうなるでしょうか。250mから50mになって可視域が減少したことを考えると、データがより精密に なることにより、さらに可視域が減ることが予想されます。カシバードによるCGも、50mメッシュではかろうじて見えていた剣ヶ峯が消えてしまうのではな いでしょうか。そうすると、京都府からの富士山は理論的にも見えないということになってしまいます(大気差はデフォルトとした場合)。10mメッシュによ る今後の検証を待ちたいと思います。
■品川地蔵 2月6日
 富士山側から展望図を描いても全く見えそうな気配はありません。
ただし別の箇所で可能性があります。
武奈ヶ岳の西北4.5km地点で京都府が滋賀県に食い込んでいますが、その突端の地点です。
北緯35度17分21秒 東経135度51分30秒  922 + 2m
図は画角30分で、富士山の見える部分の高さは約0.4分です。
手前の166km地点の山に20mの樹林があればちょうど0.4分くらいなので、どうでしょうか。気象条件によっては、見える可能性があるかもしれません。
品川地蔵さん、今日は。
早速ありがとうございました。

その場所は、以前話題になったかもしれないですね。
「西限界(京都)」という地名データを作っていました。
50mメッシュではそこから北にかけて可視行域が表示されます。京都はまさにそのつけねの部分ですね。
50mメッシュによる可視マップと展望図を掲載します。
■中村健2月6日
・・・
富士山の手前には蛇峠山が見えていますが、ここからは剣ヶ峰が見えることが実証されていたと思います。その蛇峠山の頭越しに見えるということは、京都から見えることの間接的証明になりそうですね。

なお、10mメッシュと50mメッシュでは蛇峠山の山頂付近の姿がかなり異なって見えます。50mメッシュでは誤差がかなり大きいなと思っていたのですが、10mメッシュでは修正されたようですね。 
■TYF 2月7日
みなさん、おはようございます。山尾さんからお話があった西限界からの富士山をやまおたく連続データを使って可視検討を行ってみまし た。中村健さんからもあったように、この西限界からと蛇峠山からの富士山はほぼ同一方向に見えますのでデータは蛇峠山からの検討を行った時のデータに蛇峠 山付近の稜線を追加してみました。蛇峠山からの富士山はこの方法でシュミレーションしたとほぼ同じ内容で HANAPY さんが実際に確認されています。

 左の写真がデフォルトの条件下での描画結果です。視点の位置と視点高さは品川地蔵さんから御提示のあった数値を使用しました(ただ し旧日本測地系に変換)。赤線が富士山で赤線の右端が剣ヶ峯で左端が白山岳の山頂になります。この条件下では剣ヶ峯が障害稜線の上にわずかに頭を出してい ます。真ん中の写真は障害となる稜線に高さ20mの樹木があると想定した場合で、厳しい状況になります。この場合に障害になるのは蛇峠山付近の稜線ではな く加加森山のすぐ東にある2381峰の北に派生する稜線になります。右端の写真が障害となる稜線に高さ20mの樹木があるとして気差係数を14.7から 15.0と僅かに増加させた結果ですが、この条件では超望遠レンズで何とか撮影可能と思われます。

 やまおたく連続データによる方法は Walstone さんが提唱された方法で微妙な可視判定では最も精度が高い方法です(データは数値地図データを使用せず2.5万地形図から直接読み取っています)。
整理
「 武奈ヶ岳の西北4.5km地点で京都府が滋賀県に食い込んでいるその突端の地点」でかろうじて見える。
下の西限界と書いた地点。
行政上は、京都市左京区久多川合町(くたかわいちょう)と滋賀県高島市朽木栃生(くつきとちゅう)の境界
(2011年5月追記)(ヤフー地図より)
赤丸の部分
(国土地理院 電子国土利用)
2011年5月6日追記
 京都から見える富士山については、これで決着がついているはずでした。しかし、新たに富士山の本を書くにあたって可視マップを作成したところ、10mメッシュでは上記場所が消えてしまい(西限界)、かつて話題になった三国岳が現れてきました。
少々焦り、両地点で、10mメッシュにより画像を作成しました。その結果、三国岳からはダメで、西限界からはやはりギリギリですが見えました。一安心しました。
少しアップで(963oで描画)
限界の場所では、カシミールによる可視マップと、カシバードによる描画との違いが生じることがあります。その理由についての検討をする必要があります(可視マップだけから単純に判断してはいけない場合があることを認識しておきましょう)。ちなみに、小著(『富士見の「謎」』)に載せる京都の可視マップ(原稿)は次の通りです。西限界以外にも少しありますね。誤解を招くといけないので、掲載時には消そうと思います(2012年記:消さないまま掲載されています(^_^;))。
2012年9月16日更新
(1)10mメッシュで再度作ってみました(精密に計算)。すると・・・。西限界はしっかり表示されます。2011年5月6日の追記で「10mメッシュでは上記場所が消えてしまい(西限界)」と書いていますが、これは一体何だったのでしょうか。また西限界以外にあった見える場所は無くなっています(縮尺は異なりますが、上と見比べてください)。
いずれにせよ、京都でピンポイントで見える場所が、「西限界」であることは間違いありません。
(黒い線は県境ですが、少しずれていますのでご注意ください)。
(2)西限界の場所の標高 921m
 2012年6月に国土地理院が試験公開を始めた「標高がわかるWeb地図」を使い測定しました。誤差がありますが、921mという値がでました。
2013年5月7日追加
ダイヤモンド富士の際に、シルエットで確認できるか? 
2013年9月18日午前5時41分5秒〜42分30秒が太陽がかかる時間
京都新聞2012年9月25日(リンク切れ)
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