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堀込泰三堀込泰三  - ,  10:00 PM

死がモチベーションを高めるとき。それは、死を感情的に認識するとき

死がモチベーションを高めるとき。それは、死を感情的に認識するとき

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99u:作曲家、レナード・バーンスタインはかつて、皮肉を込めてこう言いました。

「偉大なことを成し遂げるには、2つのことが必要だ。それは、計画と、あまり十分でない時間である」

そう、私たちを動かすのはたいてい、納期や制約です。宇宙の法則と言ってもいいぐらい、納期はプロジェクトの目標よりもずっとずっと重要なことが多いのです。生きているうちに創りたいと思っているものを創り上げるには、時間は有限であると知ることが最高のモチベーションになるのです。

私は、著書『The $100 Startup』において、仕事をクビになってから起業し、成功を収めた人のストーリーを紹介しています。どのストーリーもインスピレーションにあふれいるのですが、もっと刺激を受けたのは、そのような明確な後押しがなくても自ら自由を切り開いた人たちです。すべてがうまくいっているときでも「変わらなきゃ」と感じられる人に、私たちは"本気"を見るのです。


人生が変わるキッカケ


どんな瞬間だって、あなたの人生を変える力を持ちます。例えば、何気ない会話が、可能性のドアを開くことがあるでしょう。それはビジネスチャンスかもしれないし、新たな人間関係かもしれません。場合によっては、人生観が一瞬で変わることも。「こんな風に生きなくてもいいじゃないか」と。

アダム・ワーナー氏の人生を大きく変えた瞬間は、もっと深刻なものでした。アダムは、韓国で英語教師をしていたときに、同業のメーガン・ベイカーと知り合います。2人は恋に落ち、すぐに将来の計画を立てるようになりました。アダムはアメリカ人で、母国でのルーチンから解放された生活を楽しんでいました。メーガンはカナダ人。学校に戻り、看護師になりたいと思っていました。

メーガンには、人生の目標がたくさんありました。「ハーフマラソンを走りたい」「他国語を習得したい」「30カ国を旅したい」「カナダを鉄道で横断したい」「湖のほとりに小さなコテージを持ちたい」など、そのほとんどが、ありふれたものでした。そのほか、「海外でボランティアをしたい」「地域の組織を支援したい」など、利他的な目標も。

悲劇は、2人が出会って1年後に訪れました。26歳のメーガンは、乳がんと診断されたのです。2人は、それぞれの祖国に戻ることにしました。アダムは故郷のワシントンDCに住み、メーガンはオンタリオ州の病院で治療を受ける日々。アダムはできるだけカナダに出向いては、メーガンのそばにいました。やがてアダムは、会いに行きやすいよう、デトロイトに引っ越します。

メーガンのがんは進行が速く、1年にも及ぶ治療もむなしく、余命宣告を受けてホスピスに転院しました。メーガンのリストには、「結婚する」という目標があります。彼女はその横に、カッコ書きでこう付け足しました。

「プレッシャーをかけているわけじゃないからね」

アダムに説得は必要ありませんでした。2010年3月28日、2人はオンタリオ州の自宅で結婚式を挙げたのです。メーガンが亡くなったのは、その1カ月後のことでした。

わかっていたとはいえ、死の悲しみを癒す近道はありません。アダムは非常に若い年齢で、人生の伴侶を失ったのです。そんな悲しみの中でも、アダムは目指す道を見つけました。メーガンの目標を受け継いで、その意欲的なタスクを、できるだけ多く達成しようと決めたのです。若き妻の夢をベースに、次のステップを歩もうと。

この考えは、時間をかけて育まれたわけではありません。アダムは、瞬時にその考えに至ったそう。「妻に死なれたばかりの私にとって、そのアイデアが慰めになりました。病院を去るときには、妻の目標を引き継がなければならないと確信していたのです。それこそが私のプロジェクトであり、どんなに時間をかけても達成するのだと」

メーガンの死から2週間後、アダムはFacebookページを立ち上げ、メーガンの目標とそれぞれの進捗を公開し始めました。半年後には、インドの学校でボランティアをしていました。デリーの秩序あるカオスをシェアしたり、列車に18時間揺られて旅をしながら、メーガンが一緒にいるように感じていたそうです。アダムは、毎日ミガンを思って悲嘆に暮れながらも、彼女の目標の追求に、目的意識を感じていたのです。

アダムのストーリーを知ったのは、私のブログの読者がきっかけでした。その読者が、アダムを探求に向かわせたのは、メーガンの死ではなく命であると書きこんでいたのです。アダムは、メーガンの目標を追求したことで、目的意識を得て人生が変わった。アダムの友人たちは、そう口を揃えます。アダムは現在、もともとはメーガンが始めたブログを更新しています。アダムは、メーガンの病気の進行が速くてかなわなかった、トロントブルージェイズの試合を見に行きました。まじめにランニングに取り組み、ハーフマラソンを完走しました。そして今、ゆっくりながらも、縫い物と編み物を習得しています。

メーガンが立ち上げてアダムが維持しているブログを読み進めていると、あるストーリーが目につきました。メーガンがホスピスに転院する前日、放射線治療を終えたばかりの彼女は、外出を希望しました。メーガンにとって街中の軽い散歩はアウトドアのうちに入らないので、アダムを連れて湖に行くと、2人でカヌーに乗りました。予定より遠くまで漕いでしまった2人。メーガンが疲れていたので、帰りはアダムがひとりで漕ぎました。2人がランニングを始めたのは2年ほど前。まだメーガンが病気になる前でした。そのころ、アダムは2マイル、メーガンは3マイル走るのが習慣でした。メーガンは何にでも全力投球。後々のために何かを取っておくなんてことはありません。それが、彼女の生き方だったのです。アダムは、このメッセージを世界にシェアしたいと思いました。

私は、アダムに会ったとき、このストーリーについて聞いてみたくなりました。

「あなたの行動に価値があると思うのはどんな時ですか?」

そう聞くと、アダムはこう答えてくれました。

「彼女の目標を達成してリストから消すたびにそう思います。メーガンが何気なく選んだ目標は、自分をバージョンアップできるようなものばかり。だから、1つ1つの目標を達成するたびに、自分の成長を感じることができています」


死の感情的な認識


人は、いつか必ず死にます。でも、誰もがその現実を積極的に意識しながら生きているわけではありません。ボブ・ディランの名曲に、こんな歌詞があります。

「生まれることに忙しくないやつは、死ぬことに忙しい」

きっと一部の人は、誰よりも忙しいのでしょう。

キャスリーン・テイラーは、ホスピスで20年以上働いていました。ベッドサイドカウンセラーとして働き始めた彼女は、人生の最終章を迎えた人々に、できる限りの安心を与えていたのです。さぞかし気がめいる仕事だろうと思いますか? でも、それは違います。キャスリーンは、その仕事に充足感と意義を見出していました。彼女はその仕事の素晴らしさを、このように説明しています。

「死を控えた人は、たわごとを言いません。邪魔なものはすべて姿を消し、あなたはあなたでしかいられなくなるのです」

執筆のために取材した人の多くが、人生の終わりを早期に認識した人たちでした。死の瀬戸際に立たされる前から、何が大切かをじっくりと考え始めた人たちです。「死ぬつもりで生きなさい」「毎日が人生最後の日だと思って生きなさい」という言葉はあまりにも陳腐ですが、探求に生きる人たちがやっているのは、まさにそれです。このように、「人はいつか死ぬ」という知識を「感情的な認識」に変えることが、本当に大切なことを見つけるための光を灯してくれるのです。

死の知識:「誰も永遠には生きられない

死の感情的な認識:「私はいつか死ぬ

死を自分事として捉えることができたなら、もう些細なことは気にならなくなるでしょう。このような新しい認識は、友人の死や急病などの外的事象への反応として現れることや、深刻な病気との闘いによって生じることがあります。それから、魂が揺さぶられ、無視できないほどに増大することも。何にせよ、自分の死を感情的に認識できるようになったら、目的意識を持って生きなければならないと感じることができるでしょう。


How Death Motivates Us All|99u

Chris Guillebeau(訳:堀込泰三)
Photo by Shutterstock.

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