信じられないかもしれないけど、パチンコ攻略詐欺なんてものにひっかかりました。
前日にこんな記事を書かせてもらいました。
21歳、夏の終り、わずか数日で依存症といえるレベルになったわけだけれど、同時にもっと酷いことをやらかしているので今回はそのお話。
まあ、タイトルに書いてあるとおり、パチンコを始めてから1週間で攻略詐欺にひっかかりました。
被害額は約60万円。どんな流れで騙されたのかを簡潔に書いてみようと思います。
パチンコ攻略詐欺とは
パチンコには絶対に当たりを出せる裏技が存在していて、お金を払えばその裏技を教えますよ、というもの。もちろん、そんな裏技は存在しない。
もし存在していたとしても、誰にも教えず自分だけがこっそり儲かっている方が良い。下手に広めて店やメーカー側に対策されてしまえばそれまでだから。っていうか、パチンコ台を作るメーカーが店の不利益となる裏技を作るわけがない。
……と、少し考えれば分かることも当時の僕は考えもしなかった。いや、多分気が付いていたんだけど、なんだろうな、世間知らずだったというか、常識知らずだったというか、頭と心がおかしかったんだと思います。
攻略詐欺にあうまでの流れ
広告を見て電話
家の郵便受けに他の届け物と紛れて薄水色の封筒が入っていた。中には「パチンコ攻略法無料で教えます」という朱の内容が書かれている。今までなら目にもとめなかった内容だが、数日前からパチンコにどハマりして、ついさっきパチンコで負けてきたばかりの僕には魅力的な広告だった。
迷わず、書かれている番号に電話する。丁寧に対応してくれる担当者。「ぜひ、本社に来てみてください」と言われ、翌日新宿にあるパチンコ攻略会社へ出向くことになった。社名は『(株)KO企画』(パチンコ攻略詐欺の大手だ)
新宿にあるKO企画本社へ
新宿駅南口から徒歩10分程度のところにKO企画はあった。オフィスに入るが特に来客を出迎える受付のようなスペースはなく、偶然通りかかった女性社員(若くて美人)に声をかけられる。
担当者を呼んでくるということで待っていると、短髪で日焼けをした体育会系の男性が現れた。爽やかで見るからに好青年。年齢は28とか言っていた気がする。
攻略とは何かを説明され、実践される
「機種はどれが好き?」「主にいくホール(パチンコ店)は?」「パチンコだけ?スロットは打たないの?」
こんな感じのパチンコ雑談をしながら徐々に本題へと入っていく。
「パチンコでどのくらい稼ぎたいと思う?」「月、どれくらい勝てると思う?」
僕が適当に『10万?』と答えると、日焼けした好青年は溜息をついて「もっと欲張りなよ」と言う。攻略を使えば月30万は当たり前、年間300万は勝てると。
オフィス内には何種類かパチンコの機種が置いてあって、そこで攻略を実践してくれるらしい。パチンコ台についているボタンを好青年がポチポチ押し始める。ゲームの隠しコマンドを入力するような感じ。
「あと5回転以内に当りが来るから」と言って僕に席を譲る。実際、5回転を待たずして大当たりがきた。
この攻略法を教えてくれるのか!?と思ったが好青年は言う。
「この攻略法はもう使えないんだけどね」
金融機関でお金を借りるよう指示される
攻略法は2ヶ月から3ヶ月くらいで使えなくなってしまうものらしい。だから新しい攻略法が出るたびに買ってもらう必要がある。
「大丈夫、元は取れるから」
今思えば詐欺師の常套句だとも思うが、当時の僕は「なるほど」とかそんなことを言っていた。
攻略法を購入するにはKO企画のプレミア会員というのにならなければいけないらしい。そのためにはまず、シルバー会員というプレミア会員の2ランク下の会員になって経験を積まなければいけない。
シルバー会員になる為には60万が必要とのこと。当然、僕には用意できない。
じゃあ、金融機関で借りてきてください。
借金などしたことがなかったので、お金の借り方を親切丁寧に教えてもらう。借りてくる金融機関まで指定された。
一応言っておくと、金融機関でお金を借りさせるなんて99%詐欺です。
金融機関に行くと、窓口には『パチンコ攻略詐欺にご注意ください』『金融機関でお金を借りさせる詐欺が多発しています』というような札が置いてあったが…
なぜだろう、僕はパチンコ攻略のための借金であること、KO企画から来ていることを必死に隠した。受付の担当者も明らかに怪しんでいる(神奈川に住んでいる大学生がわざわざ新宿までお金を借りに来るなんてどう考えても怪しい)それでも頑なに「卒業旅行」と主張する僕に、金融機関は20万円を借した。
その後も、他の金融機関をはしごし計60万以上借金をして、その全てをKO企画に手渡す。
担当プロとの対面
無事、シルバー会員となった僕に担当のパチプロがつくようになる。今後は担当プロ指導のもと頑張ってください、と別室へ送り出された。
白いソファーとガラスのテーブルのみが置かれた部屋に、メガネをかけたおっさんが座っている。「これからガンガン儲けてもらうんでヨロシク」とのこと。
今後、どのようなやり方でパチンコを打っていくのか説明される。基本的には毎日データを収集してプロに報告すること。打つ台はプロの指示に従うこと。この2つを徹底された。
いざ実践!電話で打つ台を指示される
翌日、担当プロから電話がかかってきてホール(店舗)を指定される。現地についたら連絡をくれ、と言われたので現地についてから電話をかけるが「今ちょっとプロは席を外していまして…」とパチンコ店の外で1時間くらい放置される。
その後、折り返しの電話が来て打つ台を指示される。
「○○○番の○○(機種名)を打って、1箱できたら電話して」
当たりを引いて1箱一杯にする前提の指示。結果、軍資金として持っていた5000円が消えただけ、1箱を作れず終戦。結果を報告。
「今ちょっとプロは席を外しておりまして」
・・・・・・。
本社に呼び出し!さらにお金を…
初めて指示をうけた日から3日後くらいに担当プロから電話が入る。完全にパチンコ依存症になっていた僕に3日間パチンコを打てないことはストレスだった。
なにやら特別待遇でプレミアだかゴールドだかに格上げとなるらしく、明日本社に来てくれ、と言う。そこで攻略法も教える、と。
翌日、本社に行くとプロではなく以前担当してくれた好青年に出迎えられる。
簡潔に言えば、攻略法を買わせてあげるから今すぐ20万用意してくれ、とのこと。また金融機関を指定され、送り出される。
ところが、金融機関で既に60万円を借りている僕に今回は借金する許可が下りなかった。ここで始めて、金融機関同士が情報を共有していることを知る。
お金を借りられずKO企画へ戻る(3件くらい回らされた)
「頑張ってくれたから、特別に攻略法を教える」というわけの分からない対応をされるが、「詳しくは後日プロから電話が行くんで…」とのこと。今、プロはなにをしているのか?と訊くと……ちょっと席を外しているらしい。
ついに攻略法を教えられるが…
数日後、プロから電話がかかってくる。
攻略法を教える、1回しか言わないから確実にメモしてくれ、と。もの凄いプレッシャーのなか言われた方法をメモに残す。攻略法はゲームの隠しコマンドのよう。
「これを入力し成功していれば5回転以内にリーチがかかる、70回転以内に当りがくる」とのこと。当たりまくって玉が出まくっても動揺しないで打ち続けるようにと念を押されて通話終了。
翌日、攻略法を試しにパチンコ店に行くが当たるわけもない。
プロに電話をかけるが「席を外しておりまして……」
ここで僕自身はKO企画に騙されたことを受け入れる。同時にKO企画側からも滅多に連絡がこなくなった。
弁護士からの電話
パチンコ攻略詐欺にあってから1年近く頻繁に弁護士事務所から電話があった。
「パチンコ攻略詐欺は泣き寝入りするな」「KO企画はもう直ぐ潰れるから今がラストチャンス!」そう言うので、詳しい話を聞いていると「じゃあ事前に1万5千円を振り込んでもらって…」と言われる。
一応言っておくと、事前振込みなんて99.9%詐欺です。
パチンコ攻略詐欺から弁護士詐欺、バカからは徹底的に搾り取ろうと言う詐欺の二段構造なんだな。
当時の自分の心理を考察する
僕は専門家ではないので、詐欺にあう人間の心理はよくわかりません。
当時の僕の心理や行動は、現在の僕自身でも理解不能なことが多い。あまりに思考が停止しすぎていると思うし、騙されていると内心では理解していながら、自分自身を誤魔化して…誤魔化して…どんどん深みにハマっていったような気もするし、「もう、どうにでもなれ!」と自暴自棄になっていた部分もある。
「なぜ信じた?」と訊かれれば、「信じたかったから」と答えるしかない。楽して稼げる、パチンコで稼げるという夢のような話を信じたかった。そういう甘い考え方が結局のところ原因だったと思います(考えが甘いのは今もか 笑)
心にポッカリと開いた甘い部分にズバッと剣を刺して相手から搾り取るのが詐欺師だとも思うし。「世の中、おいしい話は存在しない」ということを、言葉ではなく心にしっかり刻んでおく必要があるのだと強く感じます。
普通の21歳ならどこかで身につけていなければいけないことだったんだろうけど。
なぜ書いたのか
今回書いたような経験を、社会勉強・高い授業料などとは思っていません。本当に愚かで情けなくて恥かしい。だから、コイツはクズだな、バカだなと思ってもらってかまいません。ただ、同時に「こうはならないようにしよう」とも思って欲しい。
特に、僕よりも若い方々、当時の僕と同じ大学生の方には知ってもらいたい。学生にとってパチンコは危険な存在でありながら身近な存在だということ。誰でも足を踏み入れることができるのに、抜け出すことは難しいということ。
アナタの周りにもし僕のようなバカ野郎がいたら言ってあげて欲しい。「パチンコなんてやめろ」と言って欲しい。本音を言うなら殴ってでも止めて欲しい。
とにかく、前回と今回で言いたかったのは「パチンコには絶対に手を出すな」ということ。パチンコが存在していることの異常性、パチンコの危険性が少しでも伝わっていればと思います。
(オマケ)KO企画で買わされたモノ
KO企画の会員になると同時に手渡された物がいくつか残っていたので紹介しておきます。
本(教材)
勝つための立ち回り方や、パチンコでの釘読み、スロットの高設定判別、優良店の見分け方などが書かれている教材。
裏技的だったインチキの攻略法ではなく、ちゃんとした攻略法が書かれている。これを完璧に実践できたら勝てるだろうな、という内容。実践するのはすごく大変そうだが……
本の厚さは週刊誌よりも少し薄い程度。膨大な情報が書かれているわけでもないのにお値段はこちら。
3万円の教材です!驚いたよ、全然読んでない!
DVD
中身は見ていない(開封もしていない)んだけど、KO企画の所属のパチプロが実践的なパチンコ術を説明しているDVDらしい。
こちらもお値段は大変頑張っております。
3万5000円です。教材の値段と比べたらお安いほうなんじゃないかな?
こんな買わされてる21歳の自分、ホント殴りたい。
ポケットPC
台のデータを記録してPCに入力していくと、その日その日でどの台が1番「出る」のかを教えてくれる超絶優れモノ。
コミュニケーションを大切にするKO企画さん。お世話になりました。また機会があればゆっくりお話したいものですね。
※明日の夜更新予定『同じギャンブルでも僕が競馬だけは否定できない理由』