ある日の事。
小鳩書房の小泉が社長を連れてやって来ました。
・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」
(花子)門倉社長ごきげんよう。
(門倉)どうも。
「アンクル・トムズ・ケビン」の時はお世話になりました。
こちらこそ。
(小泉)村岡先生は翻訳や講演のお仕事で大層お忙しいと言ったんですが社長がご意見だけでも伺いたいと言うので。
何でしょう?少し前に弊社では「風と共に去りぬ」の復刊本を出しまして。
ああ大ベストセラーですね。
あれは翻訳もすばらしかったです。
弊社としては「風と共に去りぬ」に続くような女性読者をつかむ新しい作品を探しているんです。
まだ日本に紹介されていなくて村岡先生が「これだ!」と思うものはないですか?新しい作品ですか。
はい。
ええ。
ちょっとお待ち下さい。
(美里)お母様。
それ前にも小鳩書房さんに見せて断られたんじゃなかったっけ?ええ…。
ほかの出版社にもさんざん断られたし駄目でもともと。
6年間花子は出版してくれるところを探し回りましたがいまだにどこも見つかっていないのでした。
これは!「ANNEofGREENGABLES」。
「緑の切り妻屋根のアン」です。
(小泉)主人公のアンが魅力的だったのでよく覚えています。
ああ…まだ出版されてなかったんですね。
ええ。
日本では知られていない作家だから皆さん冒険したがらなくて。
「ANNEofGREENGABLES」?覚えてませんか?終戦後すぐに村岡先生から「アンクル・トム」と一緒にご提案頂いたものですよ。
ただ新しいものではないんですよ。
原作が書かれたのは40年以上も前の話ですし「風と共に去りぬ」のようにドラマチックな展開もありません。
けどアメリカやカナダでは大変人気のある作家なんです。
いや〜僕は大変面白いと思いました。
どうですか社長?今なら冒険する余裕もあるじゃないですか。
本当にそんなに面白いの?えっ?
(小泉)社長!ひょっとして読まずに断ったんですか?いや〜…おわびしなきゃいけないですね。
実は読んでないんですよ。
あのころは知名度の低い作家に手を出すほどうちも余裕がなかったんです。
タイトルもパッとしないじゃないですか。
緑の屋根の家に住んでる女の子の日常を描いた話なんでしょう?
(戸が開く音)
(美里)ひどすぎます!読みもせずに断っただなんて許せないわ!ちょっと美里!母はこの原書命懸けで翻訳したんですよ!それなのに読んでない?本にも母にも失礼です!美里。
お客様に何を言うの。
お母様。
こんな心ない人がやってる出版社に大切な原稿を…。
ちょっと!いい加減になさい!でもお母様…。
門倉社長小泉さん申し訳ありません。
このように私のしつけがなっておりませんで…。
美里も謝りなさい。
申し訳ありません。
いえ。
お嬢さんが怒るのも無理ないです。
すいません。
社長も何か言って下さい!分かりました。
読みます。
これから読みますから。
原稿をお借りしても?ええもちろん。
本当に読んで下さいね。
美里。
よろしくお願い致します。
確かに。
お邪魔しました。
お邪魔しました。
(もも)反省中?もも叔母様…。
私ってどうしてこうなのかしら。
カ〜ッとなると自分を抑えられなくなってしまうの。
お母様の大切なお客様だからちゃんと謝らなきゃね。
でも許せない事は許せないわ。
そういうとこお姉やんそっくりだね。
えっ?お姉やんも小さい頃からカ〜ッとなると自分を抑えられなくなって幼なじみの朝市さんにも「はなは怒るとおっかねえ」って言われてたの。
でも…私の本当のお母様はもも叔母様なんでしょう?ええ。
生みの親は私よ。
でも美里ちゃんもよく分かってるでしょう?お姉やんは美里ちゃんを心から愛してる。
あんなにあなたの事を思ってる人は世界中で2人だけよ。
お母様とお父様?そう。
後でお母様にちゃんと謝らなきゃね。
あの…お母様。
さっきはごめんなさい。
お母様のお客様にあんな失礼な態度をとってしまって反省しています。
そうね。
いくら頭に来たからといって目上の人に対してああいう態度はよくないわね。
美里ももう大人なんだからわきまえないと。
本当にごめんなさい。
でも…正直言うと少しすっきりした。
えっ?美里が怒ってくれなかったらお母様が怒ってたかもしれない。
読まずに原稿を突き返すなんてひどいわよね。
お母様…。
それからね…。
何?私…お母様の娘でよかったわ。
自分でも困った性格だと思う事もあるけど私は自分のほか誰にもなりたくないわ。
その夜遅くなってからの事でした。
(英治)誰かいるみたいなんだ。
こんな時間に?今日は休館日なのに…。
誰かいるんですか?門倉社長…小泉さん。
遅くまでお邪魔してすみません!今まで原稿読んでらっしゃったんですか?はい…。
社長読み始めたら止まらなくなってしまって。
あの…昼間はついカ〜ッとなってしまって…。
申し訳ありませんでした。
いいじゃないですか!アン・シャーリーのようで!はっ?それより僕は今自分に腹が立ってしょうがない!えっ?こんなに面白い物語を何で僕は今まで出版しなかったんだ!まず言葉がすばらしい。
ありふれた日常を輝きに変える言葉がちりばめられています。
これは村岡先生の優れた表現力によるところが大きいでしょう。
あ…ありがとうございます。
そしてアンの夢みる力がすばらしい。
さあ小泉君社に戻ろう。
えっ?すぐ出版の準備に取りかかるんだよ!社長!すみません。
すみません…。
つまり…出版できるという事?そうだよ。
お母様よかったわね。
ついに本になるのね。
曲がり角の先がやっと少し見えてきたような気が致します。
ごきげんよう。
さようなら。
2014/09/25(木) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(154)「曲り角の先に」[解][字][デ][再]
ある日、小泉(白石隼也)が社長の門倉(茂木健一郎)を連れて村岡家を訪れ、新しい物語を出版したいと言う。花子(吉高由里子)は『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』を…
詳細情報
番組内容
ある日、小鳩書房の小泉(白石隼也)が社長の門倉(茂木健一郎)を連れて村岡家を訪れる。まだ日本に紹介されていない新しい物語を出版したいと言うのだ。花子(吉高由里子)は、美里(金井美樹)に無理ではないかと言われながらも、手元に残しておいた『アン・オブ・グリン・ゲイブルズ』の原稿をもう一度提示する。小泉は『アン〜』をよく覚えていて、今なら可能性があると前向きだが、門倉が思いがけないことを言い出す…
出演者
【出演】吉高由里子,鈴木亮平,土屋太鳳,金井美樹,白石隼也,茂木健一郎,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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