731部隊、医師の責任問う 滋賀医大名誉教授が著書
細菌兵器を開発した旧関東軍731部隊など、戦争に加担した医師の責任を探る著書「戦争と医学」を、滋賀医科大の西山勝夫名誉教授(72)がまとめた。人体実験の実態や、戦後も検証が進んでいないことを取り上げ、医師の倫理を問いかけている。
■人体実験、進まぬ検証
西山さんは社会医学が専門で、2000年に発足した「15年戦争と日本の医学医療研究会」の事務局長。文献の検証や中国での現地調査を重ね、医師と戦争の関わりを追及してきた。来年春に関西で開催される「第29回日本医学会総会」を前に、これまでの集大成として出版した。
著書では、731部隊に京都大出身の医師らが関与し、中国人捕虜の人体実験が行われたことなどを説明。終戦後は、「731部隊の実験結果を必要とした米国の思惑から、戦犯を免責された」という。戦後、同部隊の関係者らが、人体実験の結果を学位論文の資料に流用していることも指摘した。
07年に開かれた日本医学会総会で、西山さんらが医師の戦争加担を取り上げるように働きかけたが、実現しなかった経緯なども振り返っている。
西山さんは「二度と医師が戦争に巻き込まれ非人道的な行為に加担しないように、医学会自らが反省することが必要だ。来年の医学会総会でも議論してほしい」と訴えている。
文理閣刊。A5判、400ページ。3024円(税込み)
【 2014年09月24日 14時30分 】