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多くの国で財政悪化から国民の税負担が増す一方で、グローバル企業は、国ご…
多くの国で財政悪化から国民の税負担が増す一方で、グローバル企業は、国ごとの税制の違いを利用して節税に励む。税制への信頼を揺るがす現状に、経済協力開発機構(OECD)が新しい国際ルールを示した。
発端は、著名企業の税逃れが表面化したことだ。
例えば昨年、米上院に提出された報告書は、米アップルの税逃れを詳述している。
アップルはアイルランドに子会社数社を設立。中国の委託先が製造したアップル製品をアイルランドの子会社が仕入れて各国の販売会社などに売る形をとり、米国以外で得た利益をアイルランドに集めた。特許などの知的財産権の一部もアイルランド子会社に持たせ、米国での課税対象となる利益を減らした。
一方でアップルはアイルランド政府と個別に優遇税制の取り決めを結んだ。適用された税率は2%未満、日本の法人税の実効税率約35%と比べれば極めて低い。一部の子会社は米国とアイルランドの課税対象企業の定義の違いを使い、どちらの国にも納税していなかった。
違法でなくとも、一般の納税者には到底、受け入れがたい。そんな実態が、グーグルやアマゾン、スターバックスなどでも明らかになり、欧米の議会で強い批判を浴びた。
OECDがまとめたルールは、税制の隙間や抜け穴を埋める作業だ。
特に注目されるのは、多国籍企業の各国での利益や納税額、グループ内の国際的な取引の内訳について、関係国の税務当局に報告するよう義務づける勧告だ。税率の低い国の子会社に知的財産権を持たせ、その使用料を払うことで各国での利益を低税率の国に集めることは、アップルの例で見られるように、多国籍企業では珍しくない。報告義務づけは、グループ内で支払われる使用料などが適正な水準かどうか、税務当局が判断する材料とすることが目的だ。
OECDがまとめたルールに強制力はないが、主要20カ国・地域(G20)の会議にも報告された。各国政府は税法などを改正し、新しいルールを実効あるものにしなければならない。
多国籍企業の納税に対する一般国民の不信感は、どこの国でいくら稼ぎ、いくら納税しているのか、明らかでないことに根ざしている。多国籍企業も、税務当局に報告する情報の一部を自主的に公表してはどうだろう。自社への信頼だけでなく、税制への信頼を高めることにもつながる。そういう貢献を考えてもいいはずだ。
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