英スコットランド 中央政府へ不信の声も9月21日 4時51分
スコットランドの独立を巡る住民投票を前に、イギリス政府が約束した自治権の拡大について、与野党の対立が早くも表面化し、スコットランドの住民からは、中央政府への不信の声が聞かれました。
スコットランド最大の都市、グラスゴーでは、住民投票で独立が否決されてから1日が過ぎても、住民投票についての記事が、新聞の紙面を埋めています。
中でも注目を集めているのが、イギリスのキャメロン首相が、スコットランドに独立を思いとどまらせようと約束した自治権の拡大についての議論です。
これについては、スコットランドばかりを優遇するものだとの批判が上がり、キャメロン首相は19日、イングランドについての法案は、イングランド出身の議員だけで採決することを提案しました。しかし、今度は、スコットランド出身の議員が多い野党・労働党が激しく反発し、スコットランドへの対応を巡り、住民投票から僅か1日で、不協和音が生じています。グラスゴーの市民からは、「慌てて行った約束だからもめるのはしかたがない」といった声が聞かれたほか、「独立を阻止するために行われた約束だから守られないのでは」と、中央政府への不信の声も聞かれました。
スコットランドでは、住民投票をきっかけに中央政府への批判が表面化し、キャメロン首相は、スコットランド以外の地域にも配慮しながら、こうした不満をどう和らげていくのか難しい対応を迫られています。
金融市場は
スコットランドの独立を巡る住民投票の直前まで神経質な動きを続けていた金融市場は、独立が否決されたことを受け、ひとまず落ち着きを取り戻しています。
このうち、外国為替市場では、今月8日、住民投票を前に独立賛成派が優勢になったという世論調査の結果が投資家の動揺を誘い、イギリスの通貨ポンドが急落。
一時、およそ4か月ぶりに1ポンド=170円台を割り込みました。その後は、世論調査の結果など住民投票の情勢をにらみながら、一進一退の動きとなります。
そして、独立が否決された19日、市場では、安心感が広がってポンドは急上昇。
およそ5年11か月ぶりに1ポンド=180円台をつけました。
また、19日のロンドン株式市場でも独立の否決を受けて、金融関連の銘柄などが買われ、株価は値上がりしました。
イギリスのGDP=国内総生産のおよそ8%を占めるスコットランドが独立すれば、イギリスは経済規模が小さくなるうえ、ポンドの急落などによる景気の悪化や、政治的な混乱も懸念され、住民投票は、金融市場の波乱要因になるという見方が強まっていました。
このため、投票前まで続いていた不透明感が後退したことを、市場では、ひとまず歓迎する形となっています。
ただ、市場では、独立賛成派が反対派の得票に迫ったことで、スコットランドが独立することへの懸念は、くすぶり続けるという指摘もあり、長期的なイギリス経済の先行きには、慎重な見方も出ています。
グラスゴーでは
スコットランドの独立が住民投票で否決されたあと、最大都市グラスゴーでは、19日夜、中心部の広場に、独立賛成派と反対派の住民たち700人以上が集まり、一時、緊張した雰囲気に包まれました。
独立を支持する人たちはスコットランドの旗を、反対する人はイギリスの旗をそれぞれ振り、互いをののしり合う場面もありました。こうした事態に警察が出動し、賛成派と反対派の集団の間に入って引き離そうとしたほか、騎馬警察も出動し警戒に当たりました。
それでも一部では殴り合いが起き、イギリスBBCによりますと、11人が逮捕されたということです。
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