2014-09-23
■コレジャナイSTARWARS
意外なほど意外に知られていないのが、STARWARSだと僕は思う。
たとえば「スターウォーズ好きなんですぅ」という人が現れるとする。
まあこの手の人は良く居る。
掃いて捨てるほど居る。
さて、その人が好きなエピソードはいくつなんだ?
と聞くと、「エピソード1,2,3」派と、「エピソード4,5,6」派に別れる。
当然、世代が違うわけだ。
なにしろ最初のスターウォーズ、つまりエピソード4が公開されたのは1977年。今から40年近くも前で、僕の世代というのは、産まれた頃からスターウォーズが存在していた世代なのだ。
僕の世代でスターウォーズが好き、というと、ちょうどこの4,5,6が好き派と1,2,3が好き派に奇麗に別れるのである。
そして、僕よりほんの少し若い世代になると、もうスターウォーズといえば1,2,3であって4,5,6ナニソレってなもんである、ような気がする。
たとえば攻殻機動隊のテレビシリーズをDVDボックスで全部揃えていて、家には藤子不二雄全集がズラリ、という感じの30代女性でも、スターウォーズというと1,2,3しか見たことがないという人は多い。
しかしもともとスターウォーズエピソード4に衝撃を受けて育った世代としては、そもそも1,2,3はなんかスターウォーズを真似て作られた同人作品のように見えてしまうのだ。
エピソード1,2,3は、いわば旧作ファンのための仕掛けと、新しいファンのための仕掛けが両方鏤められたスターウォーズ風映画であると言えると思う。
公開当時は、たとえばアナキンが可愛いとか、アミダラが美人、とか、R2-D2△みたいなポイントで素直に喜べたが、ポッドレースとラストの宇宙戦闘はどうにも馬鹿にされてる気がしなくもなかった。
エピソード2は、美し過ぎる銀河評議員であるアミダラを鑑賞し、R2-D2が空を飛び、最強のジェダイであるヨーダが大暴れするシーンだけで旧作ファンは悶絶した。そしてついにクローン戦争が描かれるという事実だけで充分興奮できた。
エピソード3は、もはやなにがなんだかわからない。
結局、オビ=ワンのせいかよ、というオチで終わる。
さて、もちろん1,2,3のほうが4,5,6に比べると最新のCGで緻密に描かれているわけだけど、なんだかどうもやっぱり騙されてる気がする。
まず、カメラアングルが下品というか、まるで初めてCGを監督して浮かれている初心者みたいなゲーム的な動きをしてる。こんなのはスターウォーズじゃない。スターウォーズといえばダサいワイプに愚直なまでのカメラアングルで充分なのだ。
特に2のクローン戦争の描写は、白組が担当した宇宙戦艦キムタクのCGのようで、どうもなんつうか、絵そのものは奇麗なんだけど、作り物感がハンパなかった。
この作り物感はいったいぜんたいなんだろうか。
そこでエピソード4,5,6を改めて見直すと、色褪せない圧倒的なリアリティを感じるのだ。そこにある「モノ感」というか、オーラというか、どんなレンダリング方程式でも決して到達できないリアリティが何かそこにあるのである。
それで思ったのは、4,5,6にあって1,2,3にないもの。
それはX-Wingとミレニアム・ファルコン号だ。
帝国軍でいえばAT-ATであり、スピーダーバイクである。
4,5,6にはいい意味での若気の至りがあり、できる手元の技術でどこまで真に迫れるか、という挑戦を感じる。が、1,2,3にはそれがない。テクニックが上手い人が上手にそつなくこなした感じだ。
それはX-Wingやミレニアムファルコン号の造形にもみることができる。
スターウォーズを代表するこのふたつの宇宙船は、もともとリサイクル部品の寄せ集めで作られたという前提がある。だからいくつかの部品が剥き出しだったり、左右がアンバランスだったりするのだ。
もちろんこれは、造形上の迷いだとか、宇宙空母ギャラクティカのような、この時代特有の「SFメカ感」という背景がある。
デザイン段階の初期のX-Wingのデザインはもっと野暮ったかったし、それはダースベイダーも同様だった。
日本のマンガ、特に松本零士の作品に影響を受けて最終的な形になったとも言われているが、X-Wingの美しさ、カッコ良さは映画史に残る傑作だろう。
それに比べてナブー・スターファイターは一体なんなのだ。
確かに造形は美しい。
王女を護る優雅な時代には相応しいかもしれない。
けど、あれに乗りたいとは思わない。
エピソード4の制作にあたっては、現実の第二次世界大戦の空中戦で撮影されたフィルムからX-Wingとタイファイターの格闘線を再現したという。
そうした愚直なまでの「リアリティ」の追求に比べて、ナブースターファイターの闘い方は雑過ぎる。
言うなれば、4,5,6は板野一郎が関わった初代マクロスやマクロスプラスであり、1,2,3はマクロスセブンやマクロスIIだと言うと解っていただけるだろうか。
つまり僕にとっては、確かにエピソード1,2,3は目に気持ちいいアイキャンディとしては珠玉の映画作品ではあるものの、長年、それは強烈過ぎるキャラクター性とファンサービスに目くらましされていたのだ、ということにようやく今頃気がついた。冷静にスターウォーズとしてみたらキャラクターだけ借りて来た「コレジャナイSTARWARS」なのだ。
そういう意味ではジョージ・ルーカスはもう年も年だし限界なのかもしれない。
J・J・エイブラムスに7の制作を譲るのは大正解だろう。
なにしろスタートレックをあれだけ完璧に演出した監督だ。
今、スターウォーズを彼より上手くリメイクできる監督が居るとは思えない。おそらくルーカスより上だ。
そうなると気になるのはX-Wingの行方だ。
新生スタートレックでも、あれだけフェティッシュにUSSエンタープライズ号を描ききったエイブラムスだからこそ、X-Wingをないがしろにはしないに違いない(というか、しないで欲しい)。
X-Wingは、そもそもX-Wingという名前からして美しいのだ。
そして4,5,6のR2-D2は単なるロボットやCGだけで再現された無機質なものではなく、ムズムズと可愛く身体を揺らしたりという「演技」が実に達者なロボットだった。中に人間が入っていたのだから当然だけど。
樋口監督が「巨神兵東京にあらわる」を敢えてCGに頼らず特撮だけで撮り、「進撃の巨人」を特撮だけで撮るというこだわれの源も、もしかするとそういう1,2,3になくて4,5,6にだけある「ナマっぽさ」を表現するには実物を作るしかないと考えているからかもしれない。
それでブルーレイボックスが安くなっていたので一気に見てみた。
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今見直すとエピソード4も、かなり腑に落ちないストーリーだ。
謎が多過ぎる。
いきなりエピソード4から始まるし。
ルークがジェダイの修行をしたと思ったら師匠のオビワンはアッサリ負けちゃうし。
結局、ライトセイバーの使い方を覚えたのに、決戦ではX-Wingにフォースという謎の力で勝つ。
すごい。よくこんなわけわからないストーリーに世界中が熱狂したものだ。
しかもキャラクターが多過ぎる。
レイア姫、R2-D2、C-3PO、ルーク、オビワン、ダース・ベイダー、ハン・ソロ、チューバッカ。メインのキャラクターだけでも八人居る。
ワイルド7だって、5名紹介したあと残りの2名は紹介される間もなく1ページで二人とも死ぬ
それでもこの映画が空前のヒットを記録したのは、良く練り込まれた独特の世界観と魅力ある映像表現によるものだったことは疑いようがない。
ライトセイバーのシーンやラストのデススターのシーン、ハン・ソロのミレニアムファルコン号のシーンはアイキャンディとして今見てもドキドキ・ワクワクする。5のスノースピーダーやAT-ATも感動的に気持ちいい。6のスピーダーバイクもイウォーク族も艦隊決戦もゾクゾクする。
それに比べると、やっぱり1,2,3は見せ場に欠ける気がする。
敵がドロイドという、かなりマヌケな存在のせいもあるのかもしれないが、あまりにアッサリ死ぬし、あまりに頭が悪い。
とにかく量産されて数だけが頼りという、情けないを具現化したらこうなる、という感じだ。
もちろんところどころ凄いんだけどね。1,2,3も。
けどやっぱり主役メカはX-Wingでしょ。主人公の愛機になるような機体がないとやっぱり寂しい。
ダース・ベイダーの若い頃なら、やはりタイファイターの原型みたいなカッコイイ戦闘機に乗ってガンガン闘って欲しかったのに、どうもパンチ力に欠ける宇宙船をしかも乗り換えて行くのが腑に落ちない。ずっとX-Wingに乗り続ける息子をもっと見習え。モノを大事にしろ、父よ。
ということを考えたなあ、と
↓このエントリを見て思い出した。
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