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 朝日アマ名人の今泉健司さん(41)=広島県福山市=が戦後の将棋史上、最年長のプロ入りをめざすプロ編入試験の五番勝負第1局が23日、大阪市福島区の関西将棋会館で指され、140手で宮本広志四段(28)に勝った。若手プロ相手に残り4局で2勝すればプロになる。第2局は10月5日、同所で星野良生(よしたか)四段(26)と対局する。

 将棋のプロ棋士になるには原則、プロ棋士養成機関「奨励会」で半年ごとに行う三段リーグで、26歳までに上位2人に入り四段に昇らなければならない。

 五番勝負最初の相手の宮本四段は奨励会時代、年齢制限にかかったが、リーグで勝ち越せば在籍期間を1期延ばせるという救済規定で退会の危機をしのぎ、「負けた方が退会」という奨励会史に残る勝負を制した苦労人だ。「奨励会を辞めていった仲間がたくさんいる。その気持ちを考えると、いい加減な将棋は指せない」と、真剣勝負で迎え撃った。

 一方の今泉さんは6年11回にわたり三段リーグを戦ったが、年齢制限にかかり奨励会を退会。その後、特例でリーグに復帰したが、これもプロの条件を満たせず再び退会している。

 ともに地獄を見た者同士の対局を制した今泉さんは「ずっと苦しい将棋でした。勝てたのは幸運。初戦がすごく大きいと思っていたので、うれしい」と話した。宮本四段は「途中、良くなったと思ったが勝ちきれなかった。全力を尽くした結果ですが、悔しい」と振り返った。(佐藤圭司)