教育・スポーツ【フロントライン この人に聞く】
水泳飛び込み東アジア大会出場 板橋さん
普段は穏やかな板橋美波さん。飛び込みについては「遊びみたいな感じで始めたのに、ここまで本格的にやるとは思いませんでした」 |
10月に中国で開かれた東アジア大会の水泳飛び込み競技に、宝塚市立御殿山中2年の板橋美波さん(13)=JSS宝塚スイミングスクール=が出場した。シニア選手に交じり、世界で戦う少女が見据えるのは、7年後の東京五輪だ。踏み切ってから、水面に入るまでわずか2秒弱。その一瞬にかける思いを聞いた。
――東アジア大会では1メートルと3メートルの板飛び込みで、それぞれ5位と7位に入りました
初めての国際大会だったので、緊張しました。日本だったら、仲の良い選手が周りにいて、しゃべって緊張をほぐすんですけど、海外で知り合いがいなかったので。失敗しないようにやろうと思ったら余計に緊張しちゃって。
――飛び込みを始めたのはいつからですか
2歳上の兄が水泳をやっていて、私も小学1年生のときに水泳を始めました。小学3年生の終わりごろ、コーチに「飛び込みをやってみないか」と言われて、まずは1カ月間の体験でやってみました。体が硬かったので柔軟体操は嫌でしたが、走り幅跳びのようにプールに飛び込む練習が楽しくて、そのまま続けました。
――飛び込みの魅力とは
空中での演技は、2秒もありません。その中で、どれだけきれいに演技ができるか、最後の入水のときにどれだけ水しぶきをたてずにスムーズに入れるかがポイントで、そこが魅力でもあります。後ろに飛びながら3回半宙返りする技が得意です。うまくできたときはプールに入るときに手応えがあり、水中で「やった」と思っています。
――緊張しそうな競技ですが、板の上ではどんなことを考えていますか
板の先端に立って、踏み切ってから宙返りして、腕を耳の後ろまで伸ばす――。飛ぶ前にコーチに言われる、そんなことを考えています。踏み切ってからは、宙返りしながら水面や天井を見て、回転の数を確認し、最後に水面が見えたらまっすぐ伸びて入水します。足の力が強く、回転のスピードが速いのが自分の強みです。
――練習漬けの日々ですね
1日オフの日はほとんどありません。大会や合宿で学校に行けないときは、後で友だちにノートを見せてもらいます。小学生の頃はもっと学校に行きたいと思っていたけど、今は慣れました。練習が午前中で終わったら、友だちと大阪まで買い物に行くこともあります。それが息抜きですね。
――今後の目標を教えて下さい
2020年の東京五輪に出ることです。日本はまだ飛び込みで五輪のメダルをとったことがないので、自分がメダルをとれたらいいなと思う。今はまだ技の完成度は低いけど、7年後までに完璧にできるようにしたい。1本1本の飛び込みに集中して、無駄のないように練習していくつもりです。
◆いたはし・みなみ 2000年、宝塚市生まれ。昨年からシニアの大会に参加しており、今年9月の日本選手権では高飛び込みで3位に入った。身長148センチと小柄ながら、コーチ陣は「ジャンプ力と回転力がずば抜けている」と評価する。
◆◆取材を終えて
普段は小説や漫画が好きで、中学校の制服が大きく見えるほどきゃしゃな板橋さん。インタビューにも、にこやかに答えてくれたが、飛び込みの板の上に立つと一変。鋭く跳ね上がり、回転すると、1本の矢のように水面に吸い込まれていく。黙々と飛び込みを繰り返す姿に、馬淵崇英コーチも「つらいことに耐え、真面目に努力するのも彼女の才能の一つ」。目標について迷わず「五輪」と言い切る姿も含め、芯の強さを感じました。(井上裕一)
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橋本聡Satoshi Hashimoto
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