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【昭和天皇実録を読む】
青年君主、田中義首相を叱責、総辞職招く 「若気の至り」との後悔、後の失敗へ
■大権干犯罰せず
昭和6年9月18日、満州事変が勃発。19日《(首相から)事態を現在以上には拡大せしめないよう努めるとの方針を決定した旨の奏上を受けられる》。21日《(参謀総長から)朝鮮軍隷下の混成第三十九旅団が朝鮮軍司令官の独断を以て国境を越え奉天に向け出動した(中略)旨の奏上を受けられる》。22日《(朝鮮軍の独断越境に対し)天皇は、この度はやむを得ざるも、今後気をつけるようにと戒められる》
朝鮮軍司令官が大命を受けずに独断で兵を動かしたのは、天皇大権の干犯(侵害)だ。この時こそ昭和天皇は大元帥として陸軍を強く叱責し、厳罰処分にすべきだった。
大命なき独断越境が契機となり、陸軍はますます暴走、昭和天皇の苦悩は深まっていく。