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<厚労省>脱薬物依存を支援…全国で治療プログラム導入へ

毎日新聞 9月21日(日)21時47分配信

 危険ドラッグが原因の暴走運転が相次ぐなど薬物乱用問題が深刻化していることを受け、厚生労働省は薬物依存症からの回復に効果がある「認知行動療法」に基づく再乱用防止プログラムを全国すべての精神保健福祉センターに一斉導入する方針を決めた。2015年度予算の概算要求に専門職員の人件費や研修費約1億4000万円を盛り込んだ。

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 日本の薬物行政はこれまで違法薬物の取り締まりという司法分野に重点が置かれ、依存症という病気の側面を重視した治療・回復支援策は遅れてきた。今回の施策が実現すれば薬物乱用対策の大きな転換となる。

 精神保健福祉センターは、都道府県と政令市に1カ所(東京都は3カ所)ずつ設置され、全国に69カ所ある。薬物やアルコールの依存症相談も業務の一つで、最近では危険ドラッグの相談も急増している。依存症からの回復を支援する地域の拠点として期待されているが、現在、再乱用防止プログラムを実施するセンターは11カ所しかない。

 プログラムは、平易なワークブックを使い▽薬物やアルコールへの依存がなぜ危険なのか▽再び使ってしまう「引き金」は何か▽どうすれば再使用の欲求を断ち切れるか−−などを集団で学ぶ。

 厚労省によると、各センターが提供するプログラムは16回の講義で1回のコースが修了するワークブックを使う。1回2時間の講義を週2回実施。各センターで年間3〜6コースの開催を想定している。薬物とアルコールの依存症者が対象で、センターへの相談者らに参加を促す。1回のコースの受講者は10〜15人。

 実施に向けての課題は、専門知識を持ち、講義を行える人材が不足している点だ。このため、各センターが医師や臨床心理士、精神保健福祉士などの専門職を1人、プログラム担当の非常勤職員として採用し、国立精神・神経医療研究センター(東京都)などが実施している認知行動療法の研修を受講してもらう。非常勤職員1人分の年間人件費約300万円の半額を同省が助成する。

 同省精神・障害保健課は「危険ドラッグの乱用など薬物依存症の問題は待ったなしの状態。回復プログラムを普及させ、依存症の支援体制を整備する必要があると判断した」としている。【江刺正嘉】

最終更新:9月22日(月)11時34分

毎日新聞

 

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