ここ数日でビットコインが急落した。450-480前後だったものが、一時380ドルまでさげた。20%前後の急落だ。
この理由については、いろいろな分析がとびかっている。以前までの暴落は中国ショックだったりと理由が明確だったが今回のものは、明確な理由がみえないのが不気味だ。
Forexnewsによれば、今回の暴落の理由は3つあるとしている。
ひとつは、米ドルの利上げだ。QEの出口が見えてきて、米ドルへの信頼感が増してきた。米ドル回帰へのトレンドは世界的なものだ。
もう一つは、アリババのIPOである。御存知の通り史上最大のIPOが先日なされ、ビットコイン暴落の開始とタイミングがぴったり重なる。中国の投資家が、ビットコインを投げ売りして、アリババを買った、という話がある。
3つめは採掘者からのビットコインの売り圧力だ。ビットコインは10分毎に25BTCが発行され続けているので、一日にすると、3600BTCだ。これは暴落前の450ドルの時価にして、1.6Mドル。日本円で、1.75億円程度だ。毎日コンスタントにこれだけの圧力が有る。
ビットコインの継続的な下落によって、電気代にあてなくてはならない採掘者が、ビットコインの投げ売りを強いられているというものだ。
以上の考察だが、私の意見は、2はあながち間違いではないだろう。アリババを買うためにビットコインを売った人はいるとおもう。ただ、IPO当日に売るわけではないと思うので、それ以前の話だ。
本質的なのは3だろう。
毎日3600ビットコインというのは、市場の取引量の1%に相当する。すべてが売りに出されるわけではないが、売りに出されるほうが多いとおもわれ、一定の圧力になる。
問題は、この売りが、信用買の投げ売りのような形に、結果としてなることだ。
御存知の通り信用買をしていた場合、損失が出始めると危険なので、買値をしたまわったら普通は売りに出す。そして、ロスカットレートを下回ると、証券会社のほうで自動的に強制決済がかかる。そういう強制決済があると、多量の売りがでてきて、一時的に相場を極端に下げることがある。
これと同じことが中国の巨大な採掘者におこっている。彼らには買値やロスカットレートはないはずだが、じつは、翌月の電気代という請求が有る。
ビットコインのマイニングは電気代との兼ね合いなので、電気代がどのくらいで、どのくらい儲かるといった計算をしているはずである。仮にその分岐点が1BTC=450ドルあたりに設定されていたりすると、これを下回った場合、即座にBTCを売りにだしておかないと、翌月の電気代が支払えない。
このマイニング時の想定BTC価格というのがひとつの強制決済ポイントになっている可能性がある。
仮に1BTC=300ドルとなれば、採掘者は電気代が払えず、すぐに倒産してしまう。なので、なにはともあれビットコインを売らざる得ない。そして、それにより更にレートがさがり、更に売りに出さねばならないというネガティブな連鎖がおこる。
まさに、信用買が積み重なって強制決済が連鎖したときのような、連鎖が連鎖をよんで相場が一気に崩壊するような力学がはたらいているのかもしれない。
これに関しては、信用売りがもっと幅広く導入される必要がある。しかも採掘に関してだ。すでに、採掘のハッシュパワーを、トレードできるという仕組みが中国ではじまった。ハッシュレートの買いと同じく、売りもできると聞いている。
この市場が十分に機能すれば、ビットコインの価格の安定に寄与するのではないかとおもう。
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