リビア:カダフィ政権崩壊3年 再び内戦危機

毎日新聞 2014年09月21日 14時00分

世俗派による東部トブルクの「暫定議会」排除を訴えるイスラム武装勢力の支持者ら=トリポリで19日、ロイター
世俗派による東部トブルクの「暫定議会」排除を訴えるイスラム武装勢力の支持者ら=トリポリで19日、ロイター

 【カイロ秋山信一】カダフィ独裁政権が内戦の末に崩壊してから3年が経過したリビアで、新たな内戦突入への懸念が高まっている。7月以降、首都トリポリや東部ベンガジでは、かつて「反カダフィ派」として共闘した複数の民兵組織同士の戦闘が激化し、400人以上が死亡した。こうした民兵組織は主に世俗派勢力と、イスラム教勢力の二つに分かれる。それぞれが互いに統治の正統性を主張するなど政府が二つできたかのような異常事態となっている。

 「9月から学校の新学期が始まったが、衝突を恐れて、登校する子供はほとんどいない」。トリポリで妻や0〜8歳の子供4人と暮らすジャーナリストの男性(40)が匿名を条件に毎日新聞の電話取材に応じた。

 男性によると、トリポリでは7月以降に衝突が激化し、燃料貯蔵施設が炎上するなどインフラも打撃を受けた。1日8時間程度は停電し、燃料不足のためガソリンスタンドには連日2キロほどの車列ができるという。政府庁舎はイスラム武装勢力が制圧し、行政機能はマヒしている。メディアも武装勢力の標的になり、男性は外出を控えている。治安悪化で半数以上の市民は仕事にも行けないという。

 リビアでは2011年8月、北大西洋条約機構(NATO)の軍事支援を受けた反カダフィ派が、約42年間続いた政権を打倒した。だが反カダフィ派として戦闘に参加した民兵や部族グループは内戦後も武装解除に応じず、互いに反目し合うようになった。この中で、イスラム主義を訴える武装勢力が台頭し、世俗派グループを攻撃するようになった。憲法を制定するために選挙で選ばれた制憲議会でも、イスラム政党と世俗派が対立し、その確執が武装集団間での対立と連動した。

 今年5月、世俗派民兵組織がベンガジでイスラム武装勢力への大規模な攻撃を始めたのを契機に、両者の対立は深刻化した。民意で決着をつけるため、6月に暫定議会の選挙が行われた。制憲議会に代わる最高機関との位置づけだったが、世俗派が多数派を占めたのを受けて、イスラム政党は暫定議会をボイコット。首都でも戦闘が激化した。

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