【社説】セ号遺族に見る韓国の歪んだ自画像

 17日に未明に発生した暴行事件の責任を取る形で、旅客船「セウォル号」沈没事故家族対策委員会の執行部が全員辞任した。現在までに明らかになっている事件の経緯はこうだ。キム・ビョンゴン委員長、キム・ヒョンギ首席副委員長など幹部や遺族5人は前日16日の夕方、ソウル・汝矣島で野党第1党・新政治民主連合の金玄(キム・ヒョン)議員と共に夕食を取った。この席で家族会のメンバーは酒も飲んだ。

 その後、一行は深夜になって運転代行を呼んだが、運転手が到着してから30分が過ぎても一行は出てこなかったので、運転手は「他の業者を呼んでください」と声を掛けてその場を離れようとした。すると遺族らは「国会議員に対してその態度は何だ」と因縁をつけはじめた。運転手が「国会議員にはぺこぺこしなければならないのか」と問い返すと、一行の一人が「お前は国家情報院の関係者だな」と叫んだ。当時の様子についてこの運転手は「わけの分からないことを言われたので抗議すると、4人の男性から集団で暴行を受け、止めに入った通り掛かりの若い人たちも殴られた」と主張した。これに対して遺族らは「われわれも暴行を受けた」と反論している。

 事件の正確な真相は後に警察によって明らかになるだろうが、何よりも国民を失望させたのは、この事件を通じて明らかになった遺族代表らの意識と行動だ。一行の一人はこの日、犠牲者を追悼するための黄色いリボンを胸に付けていたようだが、現場でこの黄色いリボンは、権力を思い通りに行使できる一つの印になっていた。通り掛かりの人たちから「警察を呼ぶぞ」と言われると、彼らは「俺たちが誰だか知っているのか」と大声を上げながら逆に絡んできたという。

 遺族の代表を名乗る彼らのこのような振る舞いは、ある程度予想されていたことだ。彼らは刑法と相いれない「捜査権・起訴権」をセウォル号調査委員会に与えよと求め、またセウォル号関連法とは関係ない他の法律を速やかに成立させるよう求める一般国民の声も無視してきた。さらに与野党がいったん取りまとめたセウォル号特別法の合意案を2回も無視したが、野党とその一部支持者らはどういうわけか彼らの言いなりになってばかりいた。最近では「遺族の代表は今や野党の上王(譲位した国王)」という言葉まで出始めている。

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