たかちのおんがく

サウンドクリエイター「NRTサウンド」所属、NR-Takaの音楽置き場。東京進出を目指し、楽曲制作のお仕事を募集しています。


テーマ:
いざいざDTM講座 編曲編
第5回 ベースの打ち込み


皆さん、おはようございます。
第5回の今回は、ドラム同様重要な楽曲の基礎となる、ベースについて講義します。


ベースとはBassと書きます。バスとも言います。
そのとおり、楽曲の礎となるパートです。(ちなみに基礎を表す「ベース」はBaseです、ご注意)
なお、ベースというと楽曲の基礎となる音を指し、バスというと「低音部・低音楽器」という意味合いがあるので、ちょっと注意です。

編曲において、ベースは他のパートを支える縁の下の力持ち的存在ですが、編曲次第ではベースがいない場合もあります。稀にベースがメロディアスに動くこともあります。
今回はベースを楽曲の一番下を支える楽器として講義を進めます。

ベースを担当する楽器

ベースを担当する楽器には、以下のものがあります

・ベースギター
・コントラバス・チューバ・ファゴット
・シンセベース
・ピアノ(左手)

楽器の中には、コードやメロディも担当しつつ、ベースを担うものもあります。
(例:ピアノの左手、アコースティックギターの第6弦)


■エレキベースギター

このなかでもベースと言ったらエレキベースギターを指すことが多いです。
エレキベースギター(以下ベースギター)とは、その名のとおり、ベースを担当するギターです。
一般的なエレキギターと形は似ていますが、まったくの別物です。

☆主なエレキギターとエレキベースギターの違い

・弦の本数(主流)  エレキギター:6 ベースギター:4(5・6弦もあります)
・重さ  ベースギターの方が重い。
・弦の弾き方  エレキギター:ピックが主流  ベースギター:指で弾く、ピックを使うこともある
・弦の太さ  エレキギターに比べてベースギターのほうが太い
・フレット  エレキギターに比べてベースギターはフレット間が長く、コードは不向き

エレキギターもベースギターも最低音はEですが、ベースギターのほうが1オクターブ全体的に低めです。
では、ベースギターについて触れて行きましょう。

ベースギターとは、先にも挙げましたが、ベースを担当するギターであり、左手で弦を押さえることで音の高さを変え、右手で弦を弾いて演奏する楽器です。弦は4(5)本あり、フレットを押さえない開放弦は、低い方から(C1,)E1,A1,D2,G2の音でチューニングされています。左手でフレットと呼ばれるネック上の突起を押さえることで音の高さを変え、押さえる位置を右手に近づけるほど高い音になります。2フレットを押さえるというと、ネックの頭から2番めのフレットを押さえることになりますが、2フレットではなく、1フレットと2フレットの間を押さえることが多いです。

たかちのおんがく-フレットの仕組み


「2フレットを押さえる」と言われた時に、第2フレットを押さえても、1フレットと2フレットの間を押さえても、弦を押さえるポイントは一緒なので、結局同じ音が鳴るということです。
フレット間を押さえる場合、押し付けられた弦が次のフレットに触れて音が変わります。利点としては、フレット間は広いので、音が安定しやすいことです。フレットを直接押さえる場合、押さえる指は不安定になりますが、音をしゃくりあげて演奏する(グライド)場合はこちらのほうが有利で、より表情豊かな演奏ができます。


なお、エレキベースギターの奏法には、ベースの太い音が出るフィンガー、ピックのアタックが強く出るピック、親指で叩きつけるように演奏するスラップの3奏法が代表的です。


▲試聴:エレキベースギター:フィンガー・ピック・スラップ▲

■フレットレスギター

エレキベースギターの一種ですが、その名の通りフレットがありません。
ベーシストが自分ないし人に頼んで、フレットを取り外すことも多いです。
フレットがないので指で押さえた位置でピッチが決定されます。

たかちのおんがく-フレット有りとなし


フレットレスベースで正しいピッチで音を鳴らすには、フレットの位置に指を置かなければなりません。なれないとピッチがずれて大変なことになります。特にベースは楽曲全体を支える基盤ですからなおさらです。

但し、フレットがないことのメリットもあります。弦を鳴らしてから左手をそのままスライドさせるスライド奏法など、シームレスにピッチを変える奏法との相性は抜群です。

▲試聴:スライド奏法:フレット有り・フレットレス▲

・エレキベース:スライド奏法すると音がおおよそ半音単位で変動する
・フレットレスベース:スライド奏法するとピッチが連続的に変化する

※実際、フレットのあるギターでも半音以下のピッチベンドはできますがスライド奏法では無理です。

フレットレスベースを使う際は、ピッチの変化が美味しいのですが、生演奏っぽくそういう情報を入力して行かなければならないので、ベースの中でも難易度が高いでしょう。
言うまでもないですが、フレットレスベース特有のデチューン(ピッチのズレ)を打ち込みでも表現しようとする必要はありません。ベースの音がずれると他の楽器とのピッチが噛み合わなくなり、フレットレスっぽさを出そうとして楽曲の協和がなくなれば本末転倒です。


■ウッドベース

オーケストラで使うコントラバス(ダブルベース)を指で弾きます。
ジャズと言ったらウッドベースは欠かせません。
胴が大きいだけあり、お腹にくる低音を響かせます。

ウッドベースも、フレットレスベース同様フレットが無いです。
なので、音をしゃくり上げたり、スライドさせたりといったピッチの変化に富んだフレーズが有効です。

ただ、フレットレスベースと違い、ウッドベースは出音そのものをアンプに通すといったことをしないので、ロングトーンを鳴らしっぱなし、というのは苦手です。(出音をマイクで拾ってアンプに通すことはあります)

▲試聴:ウッドベース▲

■シンセベース

シンセサイザーで作ったベース音です。
エレクトロな楽曲には欠かせません。

楽器のシミュレーションを考える必要は特に無いですが、低音部分はにごりやすく、高音部分は音が痩せてることが多い暴れ馬です。特にオクターブで弾くことが多いため、音域を見極めないと適正音域から外れることも少なくありません。

▲試聴:シンセベース▲

打ち込んでみましょう

たかちのおんがく-ベースパターン


エレキベースギターは、先に挙げましたが、最低音はE、5弦のものはCです。
打ち込みの時は、E1、C1を最低ラインとして、それを下回ることがないようにします。
(ベースギターは普通のエレキギターに比べて1オクターブ低いと言われていますが、打ち込みの際にそうすると音が低すぎて単なる低音にしか聞こえません)
注意すべき点としては、最低音付近は音が濁りやすく、音階を認識できないこともあります。
また、最低音は必然的に開放弦になるので、ピッチベンドできません。

エレキベースやエレキギターを使った楽曲は、音域の関係でどうしても相性のいいキー・悪いキーが出てきてしまいます。ベースラインを作ってC1~E1の音域を弾くことが多かったり、C2~の音域を弾くことが多かったりした場合、楽曲のキーを見直す必要があるでしょう。

▲試聴:ベースの適正音域:適正・低すぎる・高すぎる▲


ドラムとベースを合わせる

ベースは楽曲の基礎となるだけでなく、リズム隊の一つでもあります。
生ドラムを使う曲ではベースはドラムのキックと一緒のタイミングで弾くことが多いです。
むしろ、ベースにキックが追従すると言ったほうが正しいのかもしれません。キックが混ざることで、ベースのフレーズにアクセントがつき、強調されます。

たかちのおんがく-ベースパターン
たかちのおんがく-ドラムパターン



▲試聴:ベースのみ・ドラムのみ・ベース+ドラム▲

ベースラインのインパクトがほしいところにキックの音を重ねることで、低音が強調され、ノリが生まれます。
少し前にテレビでも放送していましたが、太鼓の生音とラジカセに収録した太鼓の音と流して盆踊りをしたところ、太鼓の生音の方が動きが良く、踊り手も戸惑うことがなかったという検証結果があります。低音の響きは、楽曲のテンポ感、ノリを作るのには必要不可欠です。逆に、ベースはスネアとタイミングをずらすことが多いです。キックとスネアの関係を(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!で表すのであれば、キックと同調することの多いベースは必然的に(」・ω・)」うー!に当たるので、自ずとそうなりますか。

また、ベースのノリには、キックとのタイミングだけではなく、デュレーションも欠かせません。

たかちのおんがく-ベースパターン

たかちのおんがく-デュレーション無視のベース


▲試聴:ベースのデュレーション:適切・不適切▲

後者はせっかく良いタイミングで演奏しているのに、切れが悪くだらしない感じがします。前者のほうが明らかにリズム感があり、ベースが締まりかっこいいです。
ベースにかぎらず、デュレーションを意識して「休符を演奏する」ことも、楽曲のノリを追求する一つです。

しかし、一概にキックと合わせるというわけでもなく、ベースがパターンを刻んでいることが様式美とされるジャンルもあります。ロックの場合、ベースは8分刻みで弾くことで楽曲に疾走感を出し、ディスコやエレクトロは8分のオクターブで演奏することでビート感を強調しています。

楽曲によるベースの動き、キックの落とし方などは、そのジャンルを聞いてものにして下さい。
ここではあくまでも、打ち込みについて講義している程度ですので。



ドラム、ベースと来たら、次はギターでしょう。
次回は、ギターの打ち込みを講義しようと思います。

しかし、この感じで講義を進めても、今ひとつな感じがするので、編曲講座用に1曲書きおろそうかと思います。
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いざいざDTM講座 編曲編
第4回 ドラムを打ち込もう


皆さん、おはようございます。
今回から編曲編の本格的な講義が始まります。
本格的というか、実践的というか、楽曲を制作する、ということを噛み締める講義ですね。


今回は、リズムセクションを司る代表的なパート、ドラムパートを作ります。

$たかちのおんがく-ドラム写真


ドラムセットの写真です。
生ドラム、アコースティックドラムと呼ばれることもありますが、ドラムセットの代わりに電子ドラムの音をドラムに用いることもあります。

ドラムは、以下の楽器で構成されています。

バスドラム

ドラムセットの中央下に構える、「ドッ」と、低音の強い音を出す大太鼓です。
ドラマーは基本、右足でビーター(バスドラムを叩くためのバチのようなもの)を備えたペダルを踏み、ペダルを踏むことでビーターがバスドラムを叩いて音が出ます。脚を踏み込むことでバスドラムを鳴らすことから、キックと呼ばれることもあります。

ビート感、グルーブ感(楽曲のノリ)を認識させる、重要なパーツです。

▲試聴▲ バスドラム


スネアドラム

「タン!」とか「パン!」とか鳴る、主に2,4拍に鳴らす(アフタービート)事が多い、インパクトの強い小太鼓です。
基本的に左手で叩く事が多いですが、ドラムソロやフィル(フレーズの変わり目とかでリズム感が変わる箇所のこと)などでは、右手で叩いたり、右手と一緒に連打したりすることがあります。

スネアドラムには、スナッピーと呼ばれる金属製の鎖が裏面に張ってあり、打面を叩くとその衝撃でスナッピーが揺れ、バスドラムやタムタム(後述)とは違い、鋭い音を発します。軽くスティックで打面を叩いても、スナッピーが揺れるジャラジャラと音がします。

打面だけでなく、スネアドラム打面の金属部分(リム)をスティックで叩くリムショットもあります。

▲試聴▲ スネアドラム


タムタム

バスドラムの上に乗っている小さな太鼓(ハイタム・ロータム)と、右足の右側に鎮座している太鼓(フロアータムタム)がこれです。
特徴は、それぞれのタムに大体の音階があることです。とはいえ、メロディックなものではないですが。タムタムを左から順に叩いていくと音階が下がるのがわかるでしょう。
タムタムと言ってますが、単にタムということが多いです。

タムは基本的にパターンをもって叩く、ということはないです。
曲によってはフロアータムを8分で叩く演奏とかもありますけど、基本的にはフィルで用いられることがほとんどです。

▲試聴▲ タムタム

ハイハット

ドラマーの左手側にある、シンバルを2個合わせたようなものです。ハットとも言います。
叩くと「チッ」と高い音がします。ドラマーは基本的に腕を体の前で交差させて右手で叩きます。
ハイハットをリズミカルに叩くことを「ハイハットを刻む」と言います。

ハイハットには、足元にペダルがあり、この踏み込みによって2つのシンバル(と表現します)の噛み合わせを調整します。
ペダルは左足で踏み、踏み込んでいる時はハイハットは密着している状態であり、シンバル同士お互いの揺れを殺すので「チッチッ」と音がします。踏み込みを緩めると徐々に広がり、その時に叩くと2つのシンバルが揺れてぶつかり合い、騒がしい音になります。
ペダルから足を離した状態をオープン、ペダルを踏み込んでいる状態をクローズ、この2つが主体となります。また、オープンからペダルを踏み込みクローズにした際にシンバル同士が密着して音が鳴る、ペダルハイハットの音もあります。ペダルハイハットの音を鳴らすと、当然オープンの音はそこでミュートされます。オープンの音を鳴らしっぱなしにするのか、良い感じの長さでハットを閉じてミュートするのか、それによってグルーブ感が変わってきます。
また、3つの音以外にも微妙にペダルの踏み込みを緩めているハーフオープンとかを含めると、こだわる分だけハイハットのアーティキュレーションは存在します。

▲試聴▲ ハイハット


シンバル

ドラムセットの中でも上方に設置されている事が多い、金属製の円盤です。
大きく分けて、クラッシュシンバル、ライドシンバルの2つにわかれます。
クラッシュシンバルは、叩いた時に大きな音が出ます。
フィルで叩いたり、フィルの直後に叩いたり、インパクトの強い楽器です。
叩いてから手で握って音を止めることもあります。

▲試聴▲ クラッシュシンバル


一方、ライドシンバルは、クラッシュシンバルと比べて直径が大きく、強く叩いてもクラッシュシンバルほど派手な音が出ません。その代わり、ハイハットのように右手で刻む使い方をします。
また、ライドシンバルには、外周近くを叩くだけでなく、中心に近い膨れた部分(カップとかベルとか言います)を叩くこともあります。外周近くを叩くと弱くシンバルを叩くような音がしますが、カップを叩くと「キン!」と鋭い音がします。

▲試聴▲ ライドシンバル(通常・カップ)


シンバル・ハイハットを「金物」とまとめて総称することが多いです。

■パーカッション

ドラムセットではないですが、リズムセクションとして用いられることが多いです。
その中でも頻出するものを紹介しましょう。

コンガ

カンパンの缶詰(お徳用)ぐらいの小太鼓が2つ、大きいのと小さいのがくっついた形をしてます。
軽快なリズムを刻むことができるので、ドラムキットでは構築できないグルーブ感を出すことができます。

大体Panで右か左に配置することが多いです。

シェイカー

「サッサカサッサカ」音がする楽器です。
似たようなものにマラカスとかありますが、それと比べても高い周波数の音しか出ません。
音量は小さいですが、楽器編成の中でも意外と音抜けがいい楽器です

※音抜けがいい…楽器編成の中でも特に音量を上げなくても他の楽器群に紛れずに聞こえること。

カウベル

CowBellと書きます。
そのとおり、雌牛の首にぶら下げた金属製のベルが元となった楽器です。
「コンコン」と、抜けの良い音が出ます。
ドラムキットに組み込んで、ドラマーが演奏することがありますが、そういうドラマーって変態ドラマーしかいないという偏見ががが…

トライアングル

学芸会で寂しく叩いている、というネガティブなイメージが強いトライアングルですが、実際はリズミカルでヌケが良い、デキる子です。
トライアングルの説明はもはや不要でしょう、奏法としては、トライアングルを吊るした状態で叩く「オープン」と、本体を手で握って叩く「ミュート」、本体の中にスティックを入れて叩くトリルがあります。
オープンとミュートをおりまぜてリズムを構築することで、かっこいいグルーブを作ることができるでしょう。


他にもいろいろ。

▲試聴▲ パーカッションアレコレ(コンガ・シェーカー・トライアングル・カウベル・クラベス)


ドラムマップ

ドラムマップとは、ドラムパートにおいて、音階がどのドラムセットの音に対応しているかを示したものである。基本的にはGM Standard Drum Mapに倣って配置されているが、ドラムシンセによっては別の楽器がアサインされていたり、別の楽器をアサインしたりできるので、この限りではない。

※アサイン:音色や機能などをセットすること。


A2クラッシュシンバル2
G#2カウベル
G2スプラッシュシンバル
F#2タンバリン
F2ライドシンバル:ベル
E2チャイニーズシンバル
D#2ライドシンバル
D2ハイタム
C#2クラッシュシンバル1
C2ミドルハイタム
B1ミドルタム
A#1ハイハット:オープン
A1ミドルロータム
G#1ハイハット:ペダル
G1フロアータム(H)
F#1ハイハット:クローズ
F1フロアータム(L)
E1スネアドラム
D#1ハンドクラップ
D1スネアドラム
C#1スネア:リムショット
C1バスドラム


使用するドラム音源により、細部が変わりますが…
基本的にC1がバスドラム、D1、E1がスネアドラム、F1~C2の白鍵部分がタムタム、黒鍵部分がハイハットと共通の設定にしている音源が多いです。ソフトウェア音源がmidiのドラムマップに従順である、といった感じですね。

パーカッションを打ち込む際も、ドラムマップを用います。


C5チャイム
B4ベルツリー
A#4シェーカー
A4トライアングル:オープン
G#4トライアングル:ミュート
G4クイカ:オープン
F#4クイカ:ミュート
F4ウッドブロックL
E4ウッドブロックH
D#4クラベス
D4ギロ(Lo)
C#4ギロ(St)
C4ホイッスル(Lo)
B3ホイッスル(St)
A#3マラカス
A3カバサ
G#3アゴゴL
G3アゴゴH
F#3ティンバルL
F3ティンバルH
E3コンガL
D#3コンガH:オープン
D3コンガH:ミュート
C#3ボンゴ(L)
C3ボンゴ(H)
B2ビブラスラップ


上はパーカッションのドラムマップです。
こちらは、高い音、低い音があるパーカッションにおいて、高い音が下の鍵盤にアサインされているので注意が必要です。


ドラムを打ち込もう

さあ、ドラムキットの説明は終わりました。
では、リズムパートを作って行きましょう。

ドラムパートは基本、規則性のあるリズムを1小節ないし2小節単位で演奏していきます。
まずは、バスドラムをいれましょう。

たかちのおんがく-BD4

▲このプロセスを試聴▲

バスドラムを入れることで、ビート感が生まれました。
スネアドラムをいれましょう。

たかちのおんがく-BD4SD

▲このプロセスを試聴▲

(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!のようなノリが生まれました。
今度はここに、ハイハットを足します。

$たかちのおんがく-BD4SDHH4

▲このプロセスを試聴▲

…これでは今ひとつなので、ハイハットの刻みを8分にしましょう。


たかちのおんがく-BDSDHH

▲このプロセスを試聴▲

良い感じにノリが出てきましたね。
でも、バスドラムが味気ないので、バスドラムのパターンを変えましょう。

たかちのおんがく-Rhythm1

▲このプロセスを試聴▲

ひとまず、リズムパターンは完成です。


フィルを打ち込もう

ドラムパートは、基本的にパターンを並べていくのですが、4小節ごとに微妙に変化させることが多いです。
叩いてるのは人間と考えると、4小節目だからちょっと味を出そう、と思うのはドラマーの心理。
キリが良い小節でパターンを変えることを「フィル」と言い、フィルを入れることを「フィルイン」と言います。フィルインは次の展開へのアプローチに欠かせません。
4の倍数ごとにちょっとパターンを変えることをハーフフィルインと言ったりもします。
ここでは、ドラムにフィルをおりまぜて行きましょう。

たかちのおんがく-Fill1

▲このプロセスを試聴▲

スネアドラムを使ったフィルを織り交ぜてみました。

$たかちのおんがく-Fill-TomCy

▲このプロセスを試聴▲

こんな感じで、リズム感を崩さず、さり気なく違いを出すことができました。
ただ、タムを用いるとリズム感が変わったというアピールが強すぎるようにも感じます。


次はフィルインを入れます。
フィルインは、ハーフフィルインと比べて、規則性を崩す力が強いです。
フィルインは、AメロからBメロといった、楽曲の展開が変化するときに用いられることが多いです。もちろん、リズム感を一切変えずにさりげなく次の展開へ、ということもありますが。

たかちのおんがく-Fillin

▲このプロセスを試聴▲

スネアドラムを使い、2小節のフィルインを入れてみました。
規則性を崩していますが、まだ崩し方が軽いです。
Aメロ前半-Aメロ後半といった、後半が前半のリピートを思わせる構成で有効です。

たかちのおんがく-Fillin-4beat

▲このプロセスを試聴▲

タムを織り交ぜたフィルインはこんな感じです。
フィルインは規則性を崩す、つまり、新しい規則性を構成するためにリセットする使い方が合います。逆に、フィルを混ぜずに展開を変えると違和感が半端無いでしょう。

たかちのおんがく-Fillin-End

▲このプロセスを試聴▲

フィルを作ろう、と思ったら勢いで終わっちゃいました。
ドラムの展開次第で、楽曲の雰囲気を作ることができます。


色々なジャンルのドラム

▲試聴▲ 16ビート・8ビート(アップテンポ系)・スイング・メタル系・電子ドラム・ボサノバ風

ジャンルが違えば、表現方法も異なってきます。
特に、トランスやハードコアなどのエレクトロ系の楽曲は電子ドラムを用いる必要があります。

なお、実際はベースやバッキング(コードなどをリズミカルに刻むこと)がいたり、ドラムにリバーブ(残響)などのエフェクトを掛けたりするので、物足りない感が拭えないのは仕方ないです。
編曲編では極力ドライな状態(エフェクトとか一切ない原音)で講義を進めていきます。


次回は、ベースの打ち込みについて講義したいと思いますが、リアルが忙しくなってきたので、少々時間がかかるかもしれません。
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いざいざDTM講座 編曲編
第3回 シンセサイザーの使い方


皆さん、おはようございます。NR-Takaです。

お気づきかも知れませんが、お気づきでない方もいると思うので改めて。
夏コミの後、改名しました。
こっちのほうがしっくりくるので…でも、今までどおり音楽活動は「たかちのおんがく」で続けていこうと思います。クレジットは、「たかちのおんがく」もしくは「NR-Taka」を使って頂ければと思います。

それでは第3回…本当は今回から打ち込みに入るはずでしたが、急遽シンセサイザーの使い方について軽く講義することになりました。その理由としては、シンセサイザーを通じて、音の出方、音の調整の仕方などを知っておいて欲しいからですね。編曲では音を選ぶことも大切な要素の一つ、大事な楽曲制作、音一つで良くも悪くもなります。


シンセサイザーって何?

簡単に言えば、電気信号を音にして発生させる装置です。
後述しますが、シンセサイザーは、まず出音を作るVCO(オシレーター)、出音の味をつけるVCF(フィルター)、出音の性格をつけるエンベロープ、出音の出力を調整するVCA(アンプリファイア)で構成されています。VCOが無いと音がでません、VCFやエンベロープが無いと音が調整できません、VCAが無いと肝心な音がでなかったり、音が出っぱなしになったりします。

シンセサイザーには大きく分けて2つ、(主に)鍵盤楽器であるハードシンセ、DAW内蔵に内蔵されてたりソフトウェアとして販売され、DAW上での使用を主とするソフトシンセがあります。が、両方共その作りは同じです。ハードウェアシンセには往年の人気モデルやライブ演奏で際立つものもあります。ソフトシンセには電気信号を音にする単純なものから人気ハードシンセを模したソフトシンセ、生楽器の音を収録しそれを使うサンプラーなどがあります。
ボーカロイドもソフトシンセの1つです。
ハードシンセ、ソフトシンセ共に、どちらにも個性的なメリットがあるので、ハードかソフトで争う必要はありません。ソフトウェアシンセはDAW上で立ち上げて使用しますが、ハードシンセはオーディオインタフェース経由で接続し、演奏したものをそのままオーディオ録音するかmidiを同期させてDAW側から操作するかといった使い方をします。

$たかちのおんがく-ES1


今回、シンセサイザーの使い方を講義するに当たり、Logicに内蔵されているソフトシンセ、ES1を使います。

ソフトシンセの説明

基本的な機能について説明します。
ソフトシンセによっては存在しなかったり、特定のソフトシンセには存在するような要素については説明を省略します。

■VCO

たかちのおんがく-VCO

ここで、シンセサイザーの出音を作ります。
出音を作る部分をオシレーターといい、ES1には2つのオシレーターが積んであります。
2個のオシレーターは、各オシレーターごとに生成できる出音が異なることがあります。
画像を見る限り、第1オシレーターより第2オシレーターの方が出せる音の種類が多いですね。
オシレーターのダイアル周りにある記号は、発生させる出音の種類です。当然、第1オシレーターと第2オシレーターで違う音を選択し、発生させることも可能です。右側にあるMIXをいじることで、第1オシレーター、第2オシレーターの音量バランスを変えることができます。MIXを0%、100%にすると、どちらか一方の音しか出ません。

なお、左側の2’、4’、8’…はオクターブを調整するもので、数字が2倍になるとオクターブが1個づつ下がります。

ここで、オシレーターで発生できる音の代表的なものを紹介しましょう。

◆Sin波

たかちのおんがく-Sin

こんな感じの波形で、柔らかい音がします。
このB3の音が俗にいう「ピー音」です。
※ES1では出力できません

◆三角波(Triangle Wave)

たかちのおんがく-Tri-Wave

Sin波を鋭くしたような感じ。
但し、変化がゆるやかなのできつい音がせず、優しい感じの音になります。

◆矩形波(Square Wave)

たかちのおんがく-Sq-Wave

「くけいは」と読みます。
KONAMI矩形波倶楽部の「矩形波」です。あの頃のコナミは神だった…
それはさておき、生成できる波形の中では音抜けがよく太い音作りができる優秀な波形です。
見ての通り、立ち上がりが急なのでかなり派手な音がします。

この画像のA、Bの長さ…このA:Bの比率を「デューティー比」と言います。
単純に矩形波といえば、デューティー比1:1の物を指します。
この差を大きくするほど、音は鋭く痩せ細ります。

◆ノコギリ波(Saw Wave)

たかちのおんがく-SawWave

これも派手な音がする波形で、複数のオシレーターでノコギリ波を発生させ、ミックスすることでダンスミュージックには欠かせない派手な音を作れます。

◆ノイズ

音階を認識できない、数多の周波数の音が混ざったもの。
テレビ放送終了後の砂嵐の音です。
実は、シンセサイザーにおける音作りでは、重要な波形だったりします。

音階がないのに一体何に使うんだろう…と思うかも知れませんが、「音階がないこと」がヒントです。音階がない楽器に使います。

・ドラムの音:バスドラム、スネアドラム、ハイハット
・パーカッション:ハンドクラップ、シェイカー
・サウンドエフェクト:風の音、波の音…

ただ、VCOで出したそのままの音ではまったくもって使えないので、それを使える素材に磨き上げるのが、後のセクションの役割です。


それでは、それぞれの音を聞いてみましょう。

たかちのおんがく-Sq-Waveたかちのおんがく-SawWave
たかちのおんがく-Tri-Waveたかちのおんがく-Sin
▲試聴:各種波形▲

・矩形波(デューティー比50%、25%、12.5%)
・ノコギリ波
・三角波
・Sin波
・Noise

また、先に紹介しましたが、第1オシレーターと第2オシレーターの音を混ぜることも可能です。

たかちのおんがく-Oscilator-Mix

▲試聴:音の混合▲
矩形波、ノコギリ波、矩形波とノコギリ波のミックスの順に流れます。
異なる波形を混ぜ合わせることで、複雑な波形を生み出します。


さらに、シンセによっては、各オシレーターごとにピッチ調整する機能がついています。
ピッチを原音(±0)から微妙にずらすことをデチューンといいます。
同じ矩形波でも、片方をデチューンすることで、微妙な周波数のズレに伴う音の広がりが生まれます。

▲試聴:矩形波同士(デチューン前)・矩形波同士(デチューン後)▲

デチューンは、1半音の100分の1、1セント単位で行います。
デチューンすることで、微妙なピッチの違いが良い感じに浮遊感を生み出しますが、あまりにもずれ過ぎると不協和音になり不快感を生むだけなので注意が必要です。

■VCF

たかちのおんがく-VCF

一言で言うと「フィルター」です。
コーヒー豆を砕いたものにお湯をかけ、ろ紙で漉されて出てきた液体をコーヒーとして飲みます。急須にお茶の葉とお湯を入れ、茶こしで漉された液体をお茶として飲みます。
もし漉さないでそのまま飲もうとすれば…それはきついですよね。

出音の余分な部分を濾し取り、音質を調整するのが役目です。
主な機能は以下のとおり。

・カットオフフィルター
・レゾナンス
・ドライブ

カットオフフィルター

カットオフ周波数で決めた周波数帯域をポイントとし、出音の周波数帯域をコントロールするのがこの機能です。


・HPF:ハイパスフィルター…カットオフ周波数よりも下の帯域をカットします。ローカットとも言います。
低域をカットすると、音が軽く痩せていきます。

▲試聴:HPF(HPFなし、カットオフ周波数20%・40%・60%)▲
※ES1にはHPFはついていません。講義用に擬似的に制作しています


・LPF:ローパスフィルター…カットオフ周波数よりも上の周波数帯域をカットして減衰させます。ハイカットとも言います。
高域をカットすると、音の鋭さが無くなり、モワッとした音になります。

▲試聴:LPF(LPFなし、カットオフ周波数80%・60%・40%)▲


で、LPFは特に全帯域ほぼ均等に音を含むノイズだとその効果は大きくなります。

▲試聴:NoiseのLPF(LPFなし、カットオフ周波数80%・60%・40%)▲

フィルターで高域を削り、エンベロープのDを小さく、Sを最少、Rを中ぐらいにすると、バスドラムのような太鼓のようなドンドンという音が出ます。
このように、ノイズはフィルターにおける味つけが大きな役割を果たします。


また、フィルター部の中央にある「12dB、18dB、24dB」は、カットオフ周波数を超えた音をどれぐらいの強さでカットするか、を調整するものです。
ココにある~dBは、カットオフ周波数の音を起点に、1オクターブ辺りどれだけ減衰させるかというもので、A4(884Hz)でHPFをかけ、12dBで設定すると、1オクターブ下のA3(442Hz)はフィルターをかけていない時に比べて12dB音量が低下します。24dBは更に強くカットすることになります。
カットオフ周波数を超えたからといって、そこから先の音がすっぱりと消えてなくなる、ということはありません(すっぱり消してしまうプラグインもありますが)。逆に、低域を抑えたいけど完全には削りたくない、という時には便利です。

▲試聴:NoiseのLPF(LPFなし、カットオフ周波数80%・12dB、カットオフ周波数80%・24dB)▲


カットオフフィルターにはこの他、カットオフ周波数付近を生かし、その上下をカットするBP(バンドパスフィルター)や、逆にカットオフ周波数付近をバッサリとカットしてしまうBR(バンドリジェクト)などがあります。

レゾナンス

レゾナンスは、前回の講義でも少し採り上げましたが、カットオフ周波数付近を強調する機能です。音は、カットオフすると、カットオフ周波数付近が強調される特性がありますが、レゾナンスを乗せることでそれが一層強調されます。

▲試聴:カットオフ周波数とレゾナンスの変化(カットオフ周波数0~100%、レゾナンスなし/レゾナンス100%)▲

なんという事でしょう、レゾナンスを高めた方は、カットオフ周波数を上げた際に不思議な音が乗りました。これは、レゾナンスが高いことによって自己発振を発生させたことによるものです。レゾナンスをあげるとカットオフ周波数付近が強調されるため、カットオフ周波数を動かすことによってクラブミュージックにあるような表現ができたりします。
ただ、エフェクト的な使い方をしないのであれば、レゾナンスの上げ過ぎは楽器を目立たせるどころかかえって音質を損ねます。ご注意。

ドライブ

ドライブは、出音を強くする機能です。
ドライブをかけると音は強く太く目立つようになりますが、その分音が大きくなりやすく、クリップ(DAWやオーディオ機器における入力過剰のこと)が発生しノイズが乗る原因にもなります。

シンセによっては、ここにフランジャーやコーラス、オーバードライブなどのエフェクトを独自に持っているものもあります。

■VCA・エンベロープ

たかちのおんがく-VCA

出音を決めました。
フィルターで周波数帯域をコントロールして味も整えました…

でも、まだ周波数帯域を整えた出音がずっと鳴りっぱなしの状態です。音が出たまま、さながらEndlessに流れ続ける流しそうめんのようである…これでは食べようにも食べられません。
流しそうめんを食べるなら、それを食べやすくしなければいけません。
大きさは一口大に、箸ですくって食べやすいように…

少し脱線気味ですが、VCA・エンベロープは、作られた音に個性をつける箇所です。

ボリュームコントロール

ES1には、ボリュームをコントロールするセクションが2つあります。
1つは、マスターボリューム。これが0だと音が出ません。
マスターボリュームは出音の一番最後に調整します。

もう1つは、画像の上部にある「Level via Vel」です。
「A via B」という表記は、「Aという変化対象をBの数値によって決定する」という意味で、これは、Vel…つまりベロシティにより音量を決定する、というものです。

Amplifierのところに、2つの三角がついています。
これは、viaで指定されたパラメーターの最大値と最小値の時のレベルを示し、上の三角はこの場合、ベロシティ127の時の音量、下の三角はベロシティ0の時の音量になります。
当然、0~Fullまで広げておけば、ベロシティ0で無音、ベロシティ127で最大音量、ベロシティ64でその中韓の音量となります。両方共同じ位置にあれば、ベロシティによる音量変化の影響を受けず一定のボリュームで再生します。ソフトシンセの中には、最大値と最小値の位置関係が裏返るものもあります。この場合、ベロシティが高くなればなるほど音は小さくなり、ベロシティ0で最大音量という事になります。ジャイアンリサイタルで渡された超高性能マイクと同じことが起こります。

たかちのおんがく-Vol-Velocity

▲試聴:Level via Velocity 0~100%、50~100%、80~100%▲

画像と同じ物を、ベロシティボリュームの幅を変えて再生しています。
ダイナミクスは変化させたいが音を小さくしたくない場合は、ベロシティ0の矢印を高めにすればいいでしょう。これはダイナミクスの幅を抑えることにも役立ちますが、ベロシティの値が他のフィルター効果に絡んでくる際に、フィルター効果を出した際に音量低下を起こさないようにする、といった使い方もできます。

エンベロープ

$たかちのおんがく-ADSR

前回講義したとおりです。
アタックが遅くなると、出音が最大音量に立ち上がるまでに時間がかかります。
リリースタイムが遅いと、出音が消えるまでに時間がかかります。
ディケイが早いと、サステインレベルで設定した音量まですぐに下がります。
サステインレベルは、ディケイタイム経過後の音量レベルであり、これが最大だとディケイの値にかかわらず音量は減衰せず最大音量を保ちます。これが最少だとリリースタイムに関係なくディケイタイム後に音が消えます。

また、エンベロープには出音だけではなく、フィルターにもエンベロープがあります。
高級なソフトシンセにはフィルタ・エンベロープがあり、フィルタ機能のかかりかたをここで調整します。
例えば、フィルターにLPFを強めにかけ、フィルタ・エンベロープのアタックを遅くすると、音を出した直後はフィルタによるLPFを影響を受けず音がそのまま出ますが、フィルタ・エンベロープで設定したアタックタイムの時間を経て徐々にフィルターが機能し始めるので、シュワ~ンという感じに時間をかけて高域が徐々にカットされていきます。また、フィルタ・エンベロープのサステインレベルを下げると、フィルタのかかり具合をその分緩めることができます。
 とはいえ、このフィルタ・エンベロープは説明するも扱うもなかなか難しいものです。これを搭載したシンセを使う際はフィルタ・エンベロープに振り回されるかもしれません…その場合は、フィルタ・エンベロープのアタックとリリースを最速、サステイン(とディケイ)を最大に設定しておけば、フィルタ・エンベロープを無いものとして考えることができます。


■LFO

たかちのおんがく-LFO

LFOとは、Low Frequency Oscilator(低周波発生装置)のことで、VCOと同じオシレーター(発振器)と書いてありますが、こちらは音を出すためのものではありません。そもそもLFOで発振する音は早くても30Hz程度と、人間の耳では聞こえませんし。

LFOは、出音をコントロールするためのトリガーを果たすものです。

例えば、出音にピッチの揺らぎ(モジュレーション)を掛ける場合、まずはモジュレーションの強さを指定します。モジュレーションホイールを上げるかモジュレーションの数値を上げれば変調が始まります…でもそれだけでは「じゃあどれぐらいのペースで変調させるの?」ということになります。
その時に役割を担うのがLFOです。
 モジュレーションによるピッチ変化を1半音、モジュレーションの値をmidiコントロール情報で127にし、LFOで3Hzと設定すると、出音は1秒間に3回の割合で原音と1半音上の間を行ったり来たりします。
だけど、もう一つLFOには重要な要素があります。
それは、波形です。
波形によって、モジュレーションのかかり方が変わってきます。下に試聴用ファイルを用意しました。

▲試聴:波形の違いによるモジュレーション▲

変調の種類はモジュレーション(ピッチ変化)、速度は3Hzです。
三角波、矩形波、ノコギリ波(UP)、ノコギリ波(Down)、S&H、ランダム の順です。

三角波とランダムは連続変化、矩形波・ノコギリ波・S&Hは非連続変化になります。
矩形波に至ってはサイレンの音ですね。
S&Hとは、矩形波のように非連続変化をする波形ですが、その変化が一定ではなく、ランダムに変化するものです。ランダムはS&H同様変化が一定ではなく変化量がランダムですが、S&Hと違い、ランダムに設定された値に達するまで連続変化をします。


今度は、LFOの波形を三角波、変化対象をモジュレーションで、LFOの速度を変えてみましょう。

▲試聴:速度の違いによるモジュレーション▲

速度は、2Hz,4Hz,6Hz,12Hz,24Hzです。
変調度合いとLFO周波数を調整することで、音に変化を出すことができます。
24Hzなんて、もはやビームの効果音ですよね。
こういう効果音を作ることだってできちゃいます。楽曲に使ってもいいんですよ。

基本的にLFOによる変化は、モジュレーションに対応していることがほとんどですが、モジュレーション(ピッチ変化)以外の変化対象を設定することもできます。

▲試聴:変調対象の変化(モジュレーション・カットオフ周波数・ビブラート(ボリューム))▲


また、LFOを利用した出音の変化だけでなく、ベロシティによる出音変化をさせることも可能です。ベロシティにカットオフを設定しておけば、ベロシティが小さい音は高域が削られ篭った音に、ベロシティが高い音は高域が損なわれず派手な音に、ということも可能です。ただ、ベロシティで出音に変化させる場合、先に挙げたベロシティによる音量変化の変化幅には注意が必要です。

◆その他の機能

オシレーターから始まったシンセの音が生まれるまでの冒険は、いよいよ大詰め…
残り幾つかの機能をくぐってゴールとなります。

Monophonic/Polyphonic/Legato

キーボードで演奏したり、midiノートを打ち込んだ際、複数のノートがノートオン状態にあるときの処理を表します。

たかちのおんがく-MPL
※ピアノロール上の紫色のノートは無視して下さい

モードにはMono/Poly/Legatoの3つがあり、それらに上の画像のノート情報を演奏させてみた。その違いを聴き比べてみてほしい。

・Polyphonic:ソフトシンセ上で複数のノートを同時再生させることが可能。
 和音を弾くことができる。
 但し、ソフトシンセで指定された最大発音数を超えて発音することはできない。
 発音数が多くなればその分だけCPUを食う

▲試聴:Polyphonic▲

・Monophonic:最大発音数にかかわらず1音しか発音できない。
 ノートが鳴っているときに別のノートオン情報が来ると、鳴っていたノートは強制的にノートオフされ、別のノートオン情報が処理される。

▲試聴:Monophonic▲

・Legato:最大発音数にかかわらず1音しか発音できない点はMonoと同じだが、違いとしては、ノートが鳴っているときに別のノートオン情報が来ると、鳴っていたノートが別のノートオン情報のピッチに変わる点である。そのため、後発のノートは、ノートオンの時のアタック音がなくなる。Monoは前のノートを打ち切って後発のノートオン情報を送信するので、ノートオン時にアタックが出る。

▲試聴:Legato▲


ピッチベンドレンジ

ピッチベンドホイールなどを回し、ピッチベンドを変化させた際に、どれだけ変化するかを決めます。
例えば、ここで12(半音)と設定すると、ピッチホイールを目一杯回した時に、原音から12半音、即ち1オクターブ変化します。
ソフトシンセの中には、上りと下りを別々に設定できるものもあります。
上りを2,下りを12にすれば、ピッチベンドがプラスの時は4096で1半音変化し、ピッチベンドがマイナスの時は682ごとに1半音変化します。どちらも同じだけ変化させたい場合は、上下とも同じ数字をセットするか、大体下りに「Linked」という項目があるので、これをセットしておけば、下りのベンドレンジは上りのベンドレンジに追従するようになります。

マスターチューン

シンセのチューニングを変化させる機能です。
オシレーターでデチューン機能がある場合、オシレーターのデチューンとマスターチューンの合わせた分だけ音がずれます。

グライド

ある音から次の音に移る際に、音の立ち上がりがピッチ・ベンドする…という表現しかしっくり来ません。
「らーらー♪」と歌う際に、「らーるぅあー♪」と次の音のピッチからずれたところからアプローチするのがグライドです。

たかちのおんがく-Gride

上記画像のノート情報を、グライド0.3secで、MonoとLegatoで演奏してみた。
なお、PolyはMonoとほぼ同じ結果になった。

▲試聴:グライド Mono&Poly/Legato▲

このように、Monoではノートオンとノートオフが重なってない状態でもグライドによるピッチベンドが発生する。
一方、Legatoではノートの発音が重ならない限りグライドによるピッチベンドは発生しない。


ちなみに、グライドに似た機能にポルタメントがある。
ポルタメントは、レガート演奏の際に次の音を弾く際にピッチベンドしてアプローチするものである。これはグライドと似ているが、ポルタメントは連続した2音間においてピッチベンドするが、グライドは2音が連続しているしていないに関わらずピッチベンドする点にある。

先の例で言えば、Mono,Polyの時のピッチベンドの仕方はグライド、Legatoの時のピッチベンドの仕方はポルタメントである。


そして、シンセサイザーから音が生まれるまで、最後の関門は…


外部機器

どんな音が、どんなコントロール変化が可能な音が、シンセサイザーから出るのは決まりました。
最後に必要なのは、その音を鳴らすためのトリガーとなるもの、音が出る装置です。

ソフトシンセの場合、トリガーとなるものは、ピアノロールに打ち込まれたノート情報や接続したmidiコントローラー(midiキーボードなど)です。
音を鳴らすには、オーディオインタフェースに接続されたモニタースピーカーです。



おめでとう!君の作った音が、シンセサイザーから奏でられました!

シンセサイザーから作られた音は、更にエフェクタを通して加工されたりして一層増強されることもあります。
今回はVCOが単純な波形を発生させるものでしたが、シンセによっては不規則な波形を発生させたり、発生させる波形を自分で作ったりすることができます。その反面、難易度が高く手がつけにくいものも少なくはありません。
でも、シンセサイザーの大まかな音の流れを知り、どんなシンセサイザーも基本は一緒であることを理解してしまえば、怖いものはありません。
あとは、友だちとおしゃべりするように、気軽に実験するように、シンセサイザーに触れる…それがシンセサイザーを使いこなす最短経路だと思います。



次回こそは、打ち込み作業に入ります。
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テーマ:
いざいざDTM講座 編曲編
第2回 midiを学ぼう


■講義の前の注意■

今回からの講義は、DAW上で「ソフトシンセ」を使用することを前提に行います。
各自、DAWについて必要最低限の扱いができる(DAWを用いて楽曲制作ができる、オーディオインタフェースの設定、音が聞こえる、リアルタイム入力ができる)ものとして講義は進めます。
DAWの扱い方などについては、専門的に扱う別のサイトを参照されますよう、お願いします。

また、ソフトシンセを使う都合上、midi音源を使用する、midiデータそのものを作る、という場合に触れるべき要素であっても触れない要素もあります、ご了承下さい。




皆さん、おはようございます。
編曲編第2回は、DAWでの作業を前にした、準備回とも言えます。


唐突ですが…midiって何ですか?


1990年代後半にインターネットに触れていた方であれば、ご存知かもしれません。
あの頃は、Yahooジオシティーズといった個人サイトが溢れ、そういう個人サイトたちに頭ひとつ抜き出よう…と言わんばかりに、サイトのトップページにくると突如midiで音楽が流れる、というのがありました。midi鳴ります!音量注意!という警告があるのがmidiの流れるトップページだった…そんな遅すぎる警告もよくありました。そして、サイトのコンテンツに移動すると音が消え、トップページに戻り、また頭から再生される…そんな時代もありましたが、20世紀末にその次代は突如、終焉を迎えます。

JASRACによる、個人サイトmidi狩りです。
その当時、個人制作の規模でJASRAC登録曲をmidiにしたものがあちこちに溢れ、それを個人サイトで使用していたり、配布してたりしました。
しかし、それに対してJASRACは登録曲の無断使用ということで、登録曲のmidi使用をしないよう警告しました。

…このあたりからJASRACに対して嫌悪感を示す人が激増したと思われます。わたしもその一人です。
無断使用を推奨するとかそういうわけではないですが、無用に厳しい制限を課すのは音楽コンテンツの衰退を招きかねないと危惧する人は少なくないでしょう。
それはさておき…


midiって何でしょう?
それなりに大多数の方が「音楽ファイル」と思っているかもしれません。
音楽ファイルといえば音楽ファイルなのですが…

…正解は楽譜です。
とはいえ、人間が読むための楽譜ではなく、コンピュータが読むための楽譜です。

midiには、以下の情報が含まれています。

・ノート情報(要は譜面)
・楽器セットアップ情報(要は楽器設定)
・コントロール情報(出音を制御する情報)
・その他情報(コピーライト情報、Vocaloid midiの入力文字情報とか)

これら情報を読み、コンピュータが積んでいるmidi音源(内蔵または外付け)に送りmidi情報に従って演奏することで、音が鳴ります。当然ながらmidi音源を積んでいないコンピュータでは音が鳴りません
 また、midiデータはあくまでも楽譜、こういう演奏情報で演奏しろという程度の情報しか積んでいないので、再生環境により楽曲の聞こえ方が異なります。特に、外部midi音源で再生する環境下で制作されたmidiデータでは、外部音源に依存する設定を組み込んだ場合普通のコンピュータでは再生できません。充実した制作環境で作ったmidiファイルも、そうでない普通のコンピュータで再生すると「アレっ!こんなはずでは…」ということになってしまいます。
midiで再生する音楽は、相対的なものということですね。


…とまあ、midiの説明はここまで。
今回はソフトシンセにおける、必要最低限のmidiについて講義します。


■ピアノロール

基本的にこの講座では、APPLE Logic Proの画面を用いて説明します。
LogicはMac専用のDAWなので、Winで制作されている場合、導入するにはMacを購入することから始めないといけませんが…
とはいえ、ほとんどのDAWはどれもそれなりに作りが似ていると思います。

$たかちのおんがく-pianoroll


これが、ピアノロールと呼ばれる画面です。
ボーカロイドを扱っている方は、ご存知かと思います。
ここは、横軸が時間(小節、タイミング)で、縦軸が音階です。


$たかちのおんがく-pianoroll2


ペンツールを使い、C3にマウスでドラッグしてまっすぐに引くと、こんな感じで描いたものが出てきます。これがノートです。
1拍の長さを持っているので、C3の4分音符と同じです。
この長さを半分にすれば、8分音符、更に半分で16分音符です。
逆に、長さを2倍にすれば2分音符、4倍にすれば全音符になります。

このように、DAW上でノート情報などを入力することを、打ち込みといいます。
midiキーボードなどでリアルタイムでmidi情報を入力しても、それも打ち込みに含まれます。


$たかちのおんがく-pianoroll


この状態で再生すると、4分音符でドレミファソラシド~と演奏します。
ノートの色については後述します

$たかちのおんがく-waon


和音を鳴らしたい時は、同じ位置でコードを構成します。
これはCメジャー・トライアドが鳴ります。

イベントリスト

$たかちのおんがく-eventlist

ここには、打ち込みしたmidi情報が表示されます。
入力したノート情報はピアノロールでも調整はできますが、細かな調整やコントロール情報の調整には、イベントリスト上での調整が適しています。

ノートオン情報
 主に音の高さ、音を鳴らすタイミング、ベロシティ(後述)、ゲートタイム(後述)が表示されます。

コントロール情報
 コントロールするパラメーター(後述)とコントロール値が表示されます。


その他、メタ情報、システムエクスクルーシブ(SYS-EX)などがありますが、本講義では割愛します。


midiの基本用語

イベントリストの紹介でも出てきた単語を含め、説明していきます。

■音符関連

たかちのおんがく-note


ベロシティ

音の強さ、という表現がしっくり来るかと。
midi音源では、単純にベロシティが大きいほど大きい音、という解釈になります。
ほとんどのソフト音源でも、ベロシティが大きい=強い演奏をする、という解釈になります。
楽譜ではベロシティ64を基準に、フォルテなら増やし、ピアノなら減らす、というのがおおまかな指標です。
上の画像を含め、以降で出てくるピアノロール上のノートの色はベロシティを表します。

 紫(1)~緑(64)~赤(127)
 黄色はベロシティ80(メゾフォルテ相応)です。

ただ、一定のベロシティで打ち込み続けると起伏のないベタッとした演奏になるので、人間の演奏を意識してシミュレートする時は、ベロシティの強弱をつけて演奏感を出します。(もちろんベロシティのみで生演奏感はでませんが)

但し、ソフトウェア音源によっては特定のベロシティを超えると音質が変わるものもあるので、ソフトウェア音源に合わせたベロシティの設定が必要です。生演奏をシミュレートしてベロシティの強弱をつけた場合、その点には注意です。最近の生楽器サンプラーシンセは、同じベロシティでも微妙に音素材が異なるといった機能を積んでいるので、そういう場合は案外ベタ打ちのほうが安定するかもしれません。

$たかちのおんがく-velo

▲試聴:ベロシティ▲


分解能

1拍の長さをどれだけに細分化するか…画像でいう所の解像度(DPI)に当たります。
細ければ細かいほど、コントロールするタイミングを細かく出来ますが、基本的に1拍=960という分解能が主流です。

・ゲートタイム

ノートオン命令(指定された高さの音を、指定されたベロシティで鳴らしなさい)から、ノートオフ命令(音を停止しなさい)までの間のことです。デュレーションとも言います。
分解能960の時、四分音符のレガート(音を十分伸ばす)時のゲートタイムは、960で、2分音符は倍の1920ということですね。

ただ、ゲートタイムの長さは、演奏した時の感触に影響するので、100%でベタ打ちするのはおすすめしません。
レガート時に100%、指定がない時は70~90%、スタッカートでの演奏は40~60%位を目安にするといいでしょう。
同じ音符でも、ゲートタイムの違いによってグルーブ感が変わってきます、これ重要です。

$たかちのおんがく-gatetime$たかちのおんがく-gatetime75$たかちのおんがく-gatetime50

▲試聴:ゲートタイム(100%-75%-50%) ▲


■コントロール情報

ノート情報が音の高さや長さ、強さといったオタマジャクシに関する情報を扱うのに対し、コントロール情報は音をリアルタイムで変化させるための命令です。

・ピッチベンド

ピッチベンドは、音の高さの相対値(ピッチ)を変化させるコントロールです。
ピッチベンドは、音の基準を0とし、プラスマイナス8191まで変化します。
※-8192~0~8191です

この数値を連続的に変化させると、音は「ぷう~ん」と降下/上昇していきます。
この数値を段階的に変化させると、いきなり音のピッチが下がります。

$たかちのおんがく-bend


▲試聴:ピッチベンド連続変化▲


たかちのおんがく-bend2


▲試聴:ノートとピッチベンド不連続変化▲

ノートで音階を作るのと、ピッチベンドを変化させるのではこう言った違いがあります。
ピッチベンドで音階を作った(後者)場合、ノートオンの時の音の立ち上がりがないのが特徴です。


ピッチベンドによる音の変化度合いは、ソフトシンセの「ベンドレンジ」を調整することにより、同じ値でも変化するピッチの幅が変わります。よく使われるベンドレンジは、2(最大値・最小値の時に2半音上下)、12(最大値・最小値の時に1オクターブ上下)です。個人的には「8」で設定したりしてますが…つまり


ベンドレンジが2の時、1半音変化させるためには4192動かします。
ベンドレンジが12の時、1半音変化させるには約682動かします。


なお、ピッチベンドを始めとするコントロール情報は、再指定しない限りその値を保ち続けるので、ベンドを変化させる必要がなくなったらコントロール情報の値を(初期値)に戻す癖を身に着けておきましょう。ピッチベンド情報を0に戻さないと、何気なく演奏する以降の音のピッチがとんでもないことになっちゃいますから。

midiキーボードを接続している場合、左側にあるピッチホイールやレバーの左右がピッチベンドのコントロールに対応しています。

エクスプレッション

エクスプレッションは、ノート演奏中のノートボリュームの変化である。
ゆっくりとボリュームが上がっていく、演奏中に徐々にボリュームが下がっていく…音に表情をつける重要なコントロールと言っても過言ではないでしょう。取りうる値は0~127で、初期値は127です。

たかちのおんがく-exp


▲試聴:エクスプレッション▲


たかちのおんがく-exp2


▲試聴:エクスプレッション(sfz・不連続)▲


但し、エクスプレッションを用いて音の立ち上がりを緩やかにするなら、ノートオンの前からエクスプレッションを下げる、音をフェードアウトさせるならノートオフの後にエクスプレッションを127に戻す…こういったノートオフの時点での設定が必要です。それを怠るととんでもないことになります。
「あれ、音が鳴らない!?バグか!?」と疑う前に、エクスプレッション設定の確認を。

midiキーボードの場合、エクスプレッションペダルに対応していますが、基本的に別売です。


モジュレーション

モジュレーションとは「変調」という意味です。
midi含めソフトシンセでは、主に音のゆらぎを出すためのコントロール情報として用いられます。midiキーボードでは左側にモジュレーション・ホイール(レバー)という形で備わっているものが多いです。
0~127の値を取り、基準値は0(モジュレーションがかからない)です。

たかちのおんがく-mod


▲試聴:モジュレーション▲

モジュレーションをかけると、音のピッチが微妙に揺らぎます。
ピッチベンドでも似たようなことはできますが、コントロール情報を打ち込むよりこちらのほうがはるかに楽です。モジュレーションによる揺らぎの変化度合い、揺らぎの速度は、ソフトシンセ側で調整できます。

ちなみに、似たようなものに「ビブラート」があります。
これも音が揺らぐのですが、モジュレーションはピッチの変化なのに対し、ビブラートは音量の変化です。
演歌歌手の「こぶし」はわかり易い例ですが、そこまで音量変化が顕著だと不自然な場合もあります。

なお、ソフトシンセでは、モジュレーションでピッチを変調させるだけでなく、音質を変化させるパラメーターを調整できるように設定も可能です。もちろん、モジュレーションコントロールでビブラートを操作することも可能です。

midiキーボードでは、左側にあるモジュレーションホイールもしくはレバーの上下方向が対応しています。


パン

Panとは、楽器の左右の偏りです。
モノラル環境では意味無いですが、楽曲制作は基本、ステレオ環境で行います。
楽器を左右に振り分ける際に調整します。
数値は0~64~127で、基準値は64です。

数値が63以下になるほど、左からの出力が相対的に大きくなり、65以上では右からの出力が相対的に大きくなります。
0,127の時、逆側からは一切音が出なくなります。

DAWでは-64~+63とか、L100~R100と表示することがあります

たかちのおんがく-pan


▲試聴:パン▲

ただ、この値は基本的にmidi情報としてではなく、DAWのトラック上で設定することが基本です。
じゃあ要らないのかというとそうでもなく、PANを切り替える頻度が高い場合、midi情報としてPANを設定するほうが作りやすい場合も存在します。なので、コントロール情報として採り上げています。

ホールド

ホールドは、ピアノなどの「サステインペダル」に相当するパラメーターです。
これもコントロールの値は0~127ですが、基本的には0:off、127:onの2つしか使いません。

ホールドをonにした状態では、ノートオフ情報が無視されます。
4分音符4つをテヌート(ゲートタイム100%)で入力するのと、4分音符をテヌートで入力し、その間ホールドをonにしておくのとでは演奏結果が異なります。

但し、ホールドをonにしたらoffの情報を入れておかないと、不要なところでホールドが掛かった状態になり音が飽和して大変なことになります。また、ソフトシンセに設定されている同時再生音をオーバーすれば音が鳴らなくなることもあります。


midiキーボードでは「サステインペダル」がホールドのon/offに対応しています。
基本的に別売です。

■ここで扱わないmidiコントロール


・ボリューム

トラックの音量を調整するコントロール情報です。
エクスプレッションと似ていますが、ボリュームはトラックそのものの音量の変化を調整します。
トラックの音量は基本DAW上で調整するので、ここでは扱いません。

・プログラムチェンジ(MSB・LSB)

midi音色の指定をするためのコントロール情報です。
midi音源を鳴らす際には必要ですが、ここではソフトウェア音源を使うという前提条件があるため割愛します。

なお、midi音源は、MSB(上位ビット)が0~127、LSB(下位ビット)が0~127…最大16384音色の中から選ぶことができます

※厳密にはドラムトラックとドラム以外のトラックとあるので、数値上は…です。

MSBは「楽器の種類」、LSBは「楽器の個性」といった感じです。
MSBを56にすると、トランペットの音色になります。
更にLSBを設定すると、トランペット音色の中の指定されたLSBに対応する音色が選択されます。


・midiチャンネル

midiチャンネルは、midiにおけるトラックの区別、といったところです。
1chにピアノ、2chにベースとチャンネルの音色を設定した場合、1chのノートオン情報が飛び込んだらピアノの音が鳴り、2chのノートオン情報が飛び込んだらベースの音が鳴る…といった具合です。
midiデータは、中身は結局8bitの数字の羅列なので、全てのコントロール情報、ノート情報などは8bitの数字の羅列として収納され、ファイルの頭から読み込まれていきます。なので、複数の音を同時に鳴らす場合は、処理する順番によって再生するタイミングがわずかに遅れます

※人間が判断できるほどのズレはなく、無視できる程度です


・midiエフェクトセンド(91~93)

midiエフェクトセンド、と言われるものです。
リバーブ、コーラス、ディレイ…といったエフェクトをかけます
これらエフェクトは、DAW上のプラグインで行うので、ここでは扱いません。

外部midi音源専用のエフェクトを用いることもできますが、割愛します


・フィルター部:レゾナンス(ハーモニックインテンシティ)、ブライトネス

ブライトネスは音の明瞭さ…ローパスフィルター(ハイカット)のことです。
ブライトネスを下げると、出音の高音域が削られ、刺々しさがなくなりモコッとした音になります。
特定の周波数より上/下の部分を削る(ローパスフィルターなら任意の周波数より上を削る)ことをカットオフといい、その時の周波数をカットオフ周波数と言います。

レゾナンスは、先ほど設定したブライトネスの値と連動します。
レゾナンスは、ブライトネスで設定されたカットオフ周波数帯域付近を際立たせます。数値が高いほどその際立ちが大きくなります。

これらも基本ソフトシンセ側で設定します。


・ピッチベンドレンジ

ピッチベンドを変化させた時にどれだけピッチが変化するかを指定しますが、ソフトシンセで指定するのでここでは使いません。
ピッチベンドレンジの設定については、1半音上下させるのに必要なピッチベンドの値は、8192÷ベンドレンジの値で算出できます。


エンベロープ

ソフトシンセ、シンセサイザー(ハードシンセ)では重要になる要素です。


エンベロープとは、出音の性格をつける要素です。
このエンベロープ各要素もmidiコントロール情報で変化させることができますが、ソフトシンセでエンベロープを調整できるのでコントロール情報は割愛します。ですが、エンベロープの説明は行います。

エンベロープは、以下の4要素で構成されています。
ソフトシンセによっては、2要素しかなかったり、5個以上の要素があったりしますが、基本4要素だけです。
エンベロープはADSRと表示することがあります。

$たかちのおんがく-ADSR


A:アタックタイム

▲試聴:アタックタイム▲


音の立ち上がりの速さを設定します。
アタックタイムで設定された時間で、出音の100%の音量まで上がります。
最低値で音が即立ち上がるようになり、数値を上げていくことで音の立ち上がりが遅くなります。
音の立ち上がりが早い設定の場合、アタックが早いと表現します。

但し、単調な音であればAを最速にすればノートオンですぐ立ち上がりますが、サンプリングされた音で、サンプリングされた音そのものの立ち上がりが遅い場合、どうあがいても音の立ち上がりを早めることができないので、注意が必要です。

R:リリースタイム

本当はDを扱うべきですが、便宜上Rから入ります。
シンセによっては、AとRしかパラメーターがないシンセもあります。

出音はノートオフ命令を受けると即消えます。
しかし、リリースタイムを遅くすることで、音がリリースタイムで設定した時間をかけてフェードアウトするようになります。
ノートオフから消音まで時間がかかる設定を、リリースが遅いと表現します。

▲試聴:リリースタイム▲


S:サステインレベル

これだけは時間ではなく、音量のレベルの設定になります。

▲試聴:サステインレベル(低・中・高)▲

D:ディケイタイム

ディケイとは減衰という意味です。
音が立ち上がり、サステインレベルに落ち着くまでの時間を設定します。

▲試聴:ディケイタイム(通常・早い・遅い)▲

アタックタイムに設定された時間で音量が100%に達した後、音は減衰します。
音は、ディケイタイムで設定された時間をかけて、サステインレベルで設定された音量まで減衰します。
ディケイタイム経過後は、音はノートオフまでサステインレベルの音量を保って鳴らされます。
ディケイタイムが早く、サステインレベルが低い場合、音量は「かっくん」と下がる表現がふさわしい聞こえになります。

サステインレベルを最大(100%)にすると、ディケイの数値にかかわらず、音は減衰せずそのままの音量でノートオフまで鳴り続けます。
サステインレベルを最少(0%)にすると、アタックタイム経過後、ディケイタイム設定時間を経て減衰し、音が消えます。この時、音は最大でアタックタイム+ディケイタイムの時間しか鳴らず、ディケイタイムがリリースタイムの役割を果たします。


サステインレベルを最大にしても、ピアノのように音そのものが減衰するサンプルを使用している場合、サステインレベルを上げても音そのものの減衰を妨げることはできません。サステインレベルを下げると、音の減衰する度合いを強めることができます。


ソフトウェア音源への対応

たかちのおんがく-ES1


これは、Logicに内蔵されているソフトシンセ「ES1」です。

出音はソフトシンセで決定し、エンベロープやベンドレンジ、モジュレーションを設定します。
エクスプレッション、モジュレーション、ピッチベンドなどのコントロール情報はトラックのmidiデータから読み込み、反映されます。



midiについて、必要な最低限を講義しました。
さあいよいよ、次回から打ち込みによる制作が始まります。


…と思いましたが、次回は、ソフトシンセの使い方について講義したいと思います。
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