マンガやアニメではよく空から女の子が落ちてきて主人公と仲良くなったりしますが、昨年11月公開されたアニメ映画「サカサマのパテマ」では、地下の穴から空に向かって落ちていく少女パテマが少年エイジと出会います。彼女は、重力の向きが正反対の地下世界の住人。空を忌み嫌う独裁国家に暮らしながら空への憧れを抑えきれないエイジは、パテマと一緒に空高くそして地下深く、世界の秘密をさぐる冒険へ飛び出します。
2012年夏の広島国際アニメーションフェスティバルで見た「head over heels」という英国の短編は、夫と妻が床と天井で“家庭内別居”しているお話でした。13年9月公開のカナダ・フランス合作映画「アップサイドダウン 重力の恋人」も、重力の方向が正反対の世界に生きる男女が困難を乗り越え愛を貫くSF。私は勝手にまとめて「愛のサカサマ劇場3部作」と呼んでいました。
ひと目で分かるビジュアル的な面白さは共通していますが、3作のサカサマの使い方は微妙に異なっていて、ザックリ言うと「head~」は心のすれ違いを、「アップサイドダウン」は恋を阻む障害を、そして「パテマ」は他者とわかり合うことを、サカサマで表現していました。私が一番好きで、そして優れていると思うのは「パテマ」です。
1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。文化くらし報道部でアニメやマンガを担当。ツイッターでもつぶやいています。単行本「1面トップはロボットアニメ 小原篤のアニマゲ丼」(日本評論社)発売中。
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