iPhone の修理補償のためにAppleCare+や携行品保険に入ってはいけない
新しい iPhone 6、6 Plus、買いましたか? 僕は iPhone 6 を買いました。iPhone 5 からの乗り換えです。
AppleCare+ とは
さて、新品の iPhone には「AppleCare+ for iPhone」という追加サービスを有償で付帯させることができます。AppleCare+ を購入すると、本体の保証期間を延長させたり、使用者の過失による本体故障の修理代が補償されます。
iPhone 6、6 Plus 用の AppleCare+ の金額は 9,400円です。
AppleCare+ のサービスは他にもいろいろありますが、最もインパクトが大きいものは、過失による本体破損時のガラス交換、本体交換などの修理代補償でしょう。
その他にも2年間のメーカー保証延長や、優先サポートなどの追加サービスもあります。付帯させられるタイミングは、本体と同時か、購入後1ヶ月以内なら後からでもできます。
iPhone の修理代目的に入ってはいけない
AppleCare+ に入るべきでしょうか?
僕の言いたいことはタイトルの通りで、iPhone の落下などで画面を割ったりしたときの修理代が怖いからといって、AppleCare+ に入ってはいけません。また、携行品保険などにも、入ってはいけません。(それ以外の理由がいろいろある場合は、この限りではありません)
修理代目的に AppleCare+ に入ろうと思っていた人は、その 9,400円を、どうか使わずにとっておいてください。
実は昨年、iPhone 5 の修理に保険を適用してみて、「これは意味ないな」と確信に至りました。以下にその理由を長々と説明します。
ガラス交換でやっとトントン
iPhone 5 の例になりますが、ガラス交換代は約17,000円です。おそらく iPhone 6 でも大差ないでしょう。
AppleCare+ の補償範囲でガラス交換を行った場合、追加で 7,800円が必要です。ということは、AppleCare+ の 9,400円とあわせて、約17,000円でガラス交換ができることになります。はい、AppleCare+ に入っていない場合と同額ですね。
このように、1度のガラス交換では、元がとれただけで、全く得しません。仮にiPhone 6のガラス交換代が2万円だったしても、数千円の差です。9,400円をかけて、数千円得するような保険は不要でしょう。
液晶や基盤まで影響するような破損や水没などは本体交換となり、約28,000円になります。支払額との差はそれでも11,000円です。
修理代は高価だが、AppleCare+ も同じくらい高い
ここからわかるのは、iPhone の修理代金は、AppleCare+ の金額を基準にすると大した額ではないということです。修理代金が安いというより、AppleCare+ が高いのです。
本体交換時の1万円の差額はそれだけでみると無視できない金額ですが、9,400円の払い損リスクで得られる金額としては少なすぎます。
また、修理代の 28,000円はさすがに大きな出費ですが、AppleCare+ に入っていても、結果的に 17,000円は支払うことになります。
もっとも、修理代金は公開されておらず、17,000円はこれまでの事例ですので、もしかしたら iPhone 6 からは全て本体交換になる可能性もありますし、5S 以前の機種についても今後も同じ金額とは限りません。ですが、AppleCare+ の金額は iPhone 5 時代と変わらず 9,400円だということは、修理代もそう変わらないと思われます。(修理にかかる金額が大きくなれば、保険料も上げなければならないため)
ひどい破損は対象外、本体修理の回数は2回まで
また、本体が滅茶苦茶に壊れてしまった場合は、補償対象外だそうです。あくまでも水没や落下程度の軽い過失のときのみ補償されるんですね。まあ、本体がバラバラになるようなこと自体が少ないですけど、認識はしておきましょう。そして過失による本体修理の補償は2回までです。
運が悪く、Apple を信用しない人が入る保険
では、AppleCare+ はどんな人が入るべきでしょうか。例えば、とても不注意な性格で、iPhone にカバーをつけず、本体を落としまくるような人。修理代金がAppleCare+ よりかなり大きい金額になると思う人。そして、Apple 製品の品質を低く見積もっており、運悪く自分の端末が故障すると思うので、保証期間を2年に伸ばしておきたいといった人でしょうか。
そんな人は iPhone を買うなよ、という例になってしまいました。
携行品保険も、微妙
実は昨年、モンベル野外活動保険の加入期間に iPhone 5 を落としてフロントガラスを割り、修理代金の約17,000円が全額補償されました。
保険金額は年間11,910円で、携行品特約適用時の自己負担額が3,000円です。補償にかかった費用は合計約15,000円となり、修理代よりも約2千円ほど安く済みましたが、保険としてはほとんど意味がありませんでした。
まあ、保険なんてもともと損したほうが「幸運」なものですけどね。仮にiPhone 5を壊さなければ、自己負担額も不要で、11,910円で済んでましたから。
モンベル野外活動保険・携行品特約とは
モンベル野外活動保険は、自宅外での他人へ賠償責任と、救援者費用の補償がメインの保険です。他人への賠償責任とは、例えば自転車で走行中に人や物に接触してしまった場合などの過失です。救援者費用は、山岳活動中の遭難の救助にかかった費用の補償などです。
Apple Care+ と同等の24時間いつでも携行品を補償するプランが、現在は1年契約で 12,450円からです。iPhone だけのことを考えた場合、2年で 9,400円のApple Care+ に比べたら、かなり高価です。
ただし、補償対象が iPhone だけではなく、住宅外で使用する物全般が対象となります。iPhone 以外のPCやデジカメを持ち歩くことが多い場合は、有益な保険になり得ます。電子機器以外のスキー板やスノーボードも対象です。破損状況の限度もありません。iPhoneを車道に落として車に踏まれて粉々になっても、たぶん、大丈夫です。
僕は過去にMacbook Airを外で壊したことがあり、デジタル一眼を持ち歩くこともあります。また自転車にも乗っているので、補償範囲の違いは大きいとみて Apple Care+ ではなくモンベル野外活動保険にしました。
ただし、携行品の補償金額には10万円の上限があります。iPhoneに加えてPCやデジカメのレンズの補償としては、足りない可能性が出てきます。
ちなみに AppleCare+ を補償金額に換算したらお幾らでしょうか。本体交換費用が 28,000円 なら、56,000円です。最大 56,000円の補償を、9,400円(年換算 4,800円)で買うようなものです。そして対象は1台の iPhone に限られます。
AppleCare+ や携行品保険に入らなければ、そのお金は「何にでも使えるお金」になる
保険全てに言えることですが、補償される対象は限定されています。AppleCare+ や携行品保険は、その「モノ」だけを補償する、とても狭い範囲の保険です。
一方、現金は何にでも使えます。1万円を使わずにとっておけば、iPhone の修理代金にあてられますし、iPhone を壊さなければ、1万円が丸儲けです。また、現金は病気や怪我の治療費用にも使えます。不幸な出来事だけでなく、急なお祝いなどにも使えます。めちゃくちゃ便利です。手元にある現金は、最高の保険なのです。
保険とは、現金を用意できない場合に備えるもの
保険とは基本的に、想定する多額の現金が必要な事態に対して、その金額を用意できない場合に入るものです。典型的なものは自動車運転の賠償責任や、家屋の火災保険などです。
iPhone を買う余裕と、携帯電話料金を支払い続けられるほどの財力があるなら、たかだか数万円のために1万円を差し出す必要など、ないのです。
AppleCare+ は「お守り」
まあそれでも AppleCare+ には無視できない効能があります。それは「安心感」です。修理代がいくらになるかわからない、保証期間も1年で足りないかもしれない、優先的にサポートしてくれないと困るかもしれない、、、そういった不安を解消してくれる効果があります。
まあ、AppleCare+ があることでそういう不安を作り出してる側面もありますが、もともと人間は本能的に不幸を過大に評価する性質があります。将来の不幸に怯えるストレスから開放されるのであれば、この「お守り」に、金銭的な意味は無くとも、心理的な意味はあるのです。
AppleCare+ は途中解約すると返金される
AppleCare+ は途中解約すると残りの期間分が返金されるそうです。返金率がどれくらいなのか詳細は未調査ですが、この記事を読んでもし加入済みの方が心変わりした場合は、問い合わせてみるとよいと思います。
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