「この家は風水が悪いから、やっぱり買わない」

ニューヨーク・タイムズの伝えるところによると、そういう土壇場の心変わりを認める風水条項（feng shui contingency）を盛り込んだ売買契約書が米国ワシントン州シアトルで登場しているそうです。

中国の資産家は、近年、海外への投資を増やしており、家族ごと海外に脱出する例が増えています。去年、アメリカで外国人によって購入された不動産の４分の１が中国人バイヤーでした。彼らは海外からの最大の買い手であり、過去12ヵ月だけで220億ドルに相当する物件を購入しました。これは前年比＋72％です。

中国人は高級な物件を中心に購入する傾向があり、メジアン購入価格は5,700万円でした。これは全米平均の約2倍です。

中国の調査会社、Hurun Reportによると中国の億万長者の64％が今後数年のうちに海外脱出する計画を持っている、ないしは既に移住しているそうです。彼らが好む移住先は米国、カナダ、オーストラリアです。その理由として：

１． 教育が優れている
２． 空気が良い
３． 食品の安全
４． 自分が蓄えた富を守りやすい（政治・社会的安定）

を挙げています。

中国人は既に海外に72兆円に上る富を蓄えており、これが4年後には207兆円になるとボストン・コンサルティング・グループは試算しています。

シアトルはそんな中国人バイヤーが最近、目を付けた都市であり、シアトルがブームになった背景には「Beijing Meets Seattle」というヒット映画の影響があるそうです。



この映画を見てシアトルに行きたい！　と考えた裕福層は、湖畔のベルビューなどの高級住宅地を好みます。シアトルに到着したばかりの中国人バイヤーは、開口一番「ビル・ゲイツの家は何処だ？」と訊くのだそうです。

確かにシアトルには既に大きなアジア人コミュニティがあり、色々な意味で住みやすいと思います。また企業でいえばアマゾン、スターバックス、マイクロソフト、アムジェン、ボーイング、コストコ、ノードストロームなどがあります。

つまりユニバーシティ・オブ・ワシントンなどに留学した学生が活躍する場は幾らでもあるのです。