小山8回1失点6勝!東京D無敗8戦5勝、決定CSも任せろ
◆巨人4―2ヤクルト(20日・東京ドーム)
巨人が先発・小山の力投と、アンダーソン、阿部のアーチで4連勝。貯金を今季最多の21とし、セ・リーグ一番乗りでクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。小山は8回1失点で6勝目。本拠地・東京Dでは今季負けなしの5連勝だ。アンダーソンは初回、7月26日以来の一発となる11号3ラン。2位・広島が勝ったため、優勝マジックは1つ減って「5」、最短Vは24日(中日戦・ナゴヤD)となった。
試合後のお立ち台。小山は謙虚に胸を張った。優勝へのマジックを5に減らし、セ・リーグでのCS進出一番乗りを引き寄せた主役は、「大事な時期ですごい緊張しますけど、いい経験になると思って投げています」。8回5安打1失点で6勝目。ヒーローインタビューでは初々しく両手を挙げたが、マウンドの投げっぷりは見事だった。
切れのいいフォークが武器だが、序盤から直球で押した。「相手が勝手に(フォークを)意識しているかな、と思った」と女房役の阿部。裏をかいて速球主体に組み立てた。「なかなかフォークのサインが出なくて、『大丈夫かな』と不安になるくらいだった」と小山は言う。しかし、そのリードに応えて、4回までは完全投球を披露した。
ピンチでもストレートだ。6回、川端の中前適時打で2点差とされ、なおも2死一塁。4番・バレンティンを迎えたが、高めの直球で右飛に仕留めた。「阿部さんを信じて投げた」。小山が投じた6球中5球が直球。強打者に力勝負を挑んで投げ勝った。
昨季までの3年間、コーチ陣から「少しいいと、すぐに調子に乗る」と精神面の未熟さを指摘された。今季、後半戦から先発に定着したが、「僕は常に後がない。『ローテに入った』とか『ローテ投手』とか書かないでください」と報道陣に話していた。試合後、原監督は「小山は先発陣の中でもいいレベルにいるのでは」と担当記者に水を向けられると、「このところ粘り強く、精度も良く、ゲームをしっかりと作るという意味では一番安定感がある。課題はあるが、少しずつ成長して、いい投手へと向かっている」と右腕をたたえた。
これで東京Dでは今季8戦5勝。防御率1・69と抜群の安定感だ。「意識すると…あまり気にしないようにしています」と小山は無関心を装った。リーグ3連覇目前で、チームが臨むCS最終ステージの舞台は本拠地となる。先発は4人編成となりそう。現状では菅野、内海、杉内、沢村に小山が候補となるが、本拠地で無類の強さを見せる小山を使わない手はない。
チームは今季4度目の4連勝で、CS制度が導入された2007年から8年連続のCS進出となった。試合終了から40分後。ロッカールームから出てきた小山は「美容院の予約があるので…」と足早に東京Dを飛び出していった。身だしなみを整え、気持ちも新たに次なるマウンドへ向かう。(岸 慎也)
◆セCS日程メモ セのCS第1ステージは10月11日から2位チームの本拠地で、2位対3位の間で2戦先勝方式で行われる。最終ステージは同15日から優勝チームの本拠地で、優勝チームと第1ステージの勝者が対戦。先に4勝した方が日本シリーズに進出できる(優勝チームは1勝のアドバンテージあり)。