朝日が今すべきことは、これまで他者に求めてきたことを自ら実践することです。それをせずに信頼を取り戻すことは不可能で、いくら黙りを決め込んでも批判が収まることはもはやないでしょう。秋の臨時国会では間違いなく、朝日のこの問題は取り上げられると思います。
前回のコラムでも書きましたが、その前に社長はじめ編集幹部が記者会見を開くべきです。朝日は「紙面のことは紙面で回答する」とし、自らの読者に対して説明すればいいという姿勢をとっていますが、国内外とくに日本の国と国民の名誉に与えてきた影響を考えると、記者会見という公の場で説明責任を果たすことが不可欠です。
その場で誤報とそれが与えた影響をどう受け止め、謝罪するのかしないのか、そして今後の対応としては理研に求めたような内部または外部の調査や人事を含めた組織改革を行うのかどうかなどを、自ら説明し、質問にもきちんと答える必要があります。
このままでは、朝日の現場の記者は取材や記事の執筆で萎縮してしまい、たまったものではないでしょう。何よりも朝日を購読してきた読者が「裏切られた」という気持ちになっているのではないでしょうか。その状況を放置するのかどうかは、朝日の行く末に関わることですから勝手かもしれません。
しかし、慰安婦問題に関して世界中に拡散された日本への誤解を解き、おとしめられた日本の国と国民の名誉を回復するためにも、朝日新聞社の幹部には決断を求めたいと思います。