『吉田調書』(朝日新聞)に見る「伝え方」「伝わり方」の妙

2014年05月27日(火) 山田 まさる
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朝日新聞デジタルより

私は仕事で築地駅に出向くことがあるのですが、朝日新聞社のお膝元である築地では、ガッツ石松さんの看板をよく見かけます。それから、松坂桃李くんと共演するテレビコマーシャルも何度か見たことがあります。

購読者を獲得するための広告と、スクープ記事の効果を比較することはできませんし、この広告がいいとか悪いとか、評論するつもりもありません。ただ、私が言いたいのは、朝日新聞社という企業の存在を世の中に伝えようとする時に、広告枠の中でストレートに「伝える」と、このような表現や描き方になる、ということです。

「吉田調書」はどうでしょうか? 朝日新聞が自らの報道姿勢を貫き、プライドをかけて、それこそ命がけで入手したスクープでしょう。それが、大きな"看板"になって、暗黙のメッセージを放ち、世の中にじわじわと「伝わって」います。

伝達「伝える」=広告、伝播「伝わる」=PR、そんなちんけな話ではありません。伝える技術を磨く一方で、伝わる仕組みをつくりあげることは、同じようにプロの仕事であるべきです。もちろん、私は後者を担当しますが、朝日新聞には、いま、「伝わる仕組みづくり」を意識している人たちがいるということでしょう。
 

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