『吉田調書』(朝日新聞)に見る「伝え方」「伝わり方」の妙

2014年05月27日(火) 山田 まさる
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朝日新聞が取り組む「伝わる仕組みづくり」

藤代さんのFacebookでの書き込みを含め、「吉田調書」は様々なジャーナリスト、メディアを評論する立場にあるオピニオンリーダーから高い評価を受けています。藤代さんは翌日、実際の記事を見て、「ちくしょー寝る」とその記事の出来の良さに悔しさをにじませていました。大新聞社とは全く違う立場をとりながらも、デジタル・ジャーナリズムを牽引してきたジャーナリストならではの"正直な感想"と受け止めました。

現代ビジネスでコラムを連載している牧野洋さんは、「『吉田調書』で特報を放った朝日はエゴスクープと決別できるか?」と題した記事の中で、ニューヨーク大学ジャーナリズムスクールの教授の話を引用しながら、「エンタープライズスクープ」(記者が独自に掘り起こしたニュースであり、記者の努力がなければ決して明らかにならなかった特報のこと)として、「吉田調書」を高く評価しています。

そのほか、この報道を受けた政府や自民党内の動向を各メディアが取り上げています。そして、その度に、朝日新聞の「吉田調書」が話題の起点になっています。まだご覧になっていない方は、朝日新聞デジタルの「吉田調書」を是非、チェックいただきたい。購読契約をしなくても、その雰囲気は感じられますから。以前このコラムでご紹介した「デジタル・ジャーナリズムの勃興」を感じさせる表現になっています。

中身のインパクトもさることながら、ウェブコンテンツとしてのデザインの工夫(インターフェイスとしては少し読みにくいという声もありますが)、連載シリーズ感の演出など、スクープ記事以上に、デジタルコンテンツとしての厚みを感じさせてくれます。そして、注目すべきはタイトル画面の右上の数字です。ツイート数は9000を、「いいね!」は45000を超えています(5月26日16時現在)。

朝日新聞デジタルの「吉田調査」は言うまでもなく、福島第一原発事故の真相を伝えるものですが、もう一つの側面として、朝日新聞(特に朝日新聞デジタル)の話題をつくり、評判をあげるコンテンツでもあると、私は思います。

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