男子200メートル自由形予選に出場した萩野公介=仁川(共同)【拡大】
リレーを含め最大で8種目を泳ぐ今大会。勝機は薄いとみられた最初の種目で自己ベストを更新し、高速水着時代の日本記録も0秒01塗り替えた。近年は日本が世界に通用しなかった花形の自由形で、新たな風を吹き込んだ。
高校3年で出場したロンドン五輪の400メートル個人メドレーで、日本勢でこの種目初となる銅メダルを獲得。さらに世界新記録を目指し、多種目への挑戦を開始した。1年の4分の1は高地トレーニングのため、米アリゾナ州に身を置く。多くの選手が低酸素にもがく中、萩野は「速く泳げるようになりたい。ただそれだけ」と苦にしない。
「将来の種目選びが難しくなる」と指導する平井ヘッドコーチはうれしい悲鳴だ。萩野はわずか30分後、100メートル背泳ぎの決勝に出場。3位に終わると「ふがいない」と、過酷なスケジュールを言い訳にはしなかった。
「大会は来年、再来年と続く。きょう勝てたからといってまた勝てるとは思わない」
2年後のリオデジャネイロ五輪、そして2020年東京五輪へ。目指すものが高いからこそ、萩野は強い。(角かずみ)